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3章 死神が誘う遊園地
遊園地 2
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一先ず、夢園や項の痛みを置いてあたしはケイを部屋に招き入れた。
「毎回ご苦労様。この高さをどうやって登ってきてるのよ」
猫は木登りが得意と言うけれどマンション10階の高さまで登るのは感服する。
これが猫本来の能力か、それともケイが特殊すぎるのか曖昧なところね。
「キヨネが起きない」
言葉が足りないのがケイの性質と言える。だから、挨拶もあたしの嫌味にも返さない。自身が重要視することだけを告げる。
今回もケイらしい口調だけれど、その一言には切迫した情景が見られた。
「9時にもなっていないのよ。寝坊でしょ。まぁ、夏休みだからって生活リズム変えるのはどうかと思うけど」
そういえば清音の目にはクマができていたわね。不眠症になっていたのかも。
眠れない夜が続けば精神が追い詰められる。そして、清音は快眠効果のあるサプリを思い出す。
カンダタもそこまで想像して事態の深刻さを理解する。
「清音はいつ寝た?」
「俺が帰ったのは夜明けだ」
つまり、ケイが帰ってきた時には清音は眠っていた。
「清音の匂いがしない」
「起きないじゃなくて?」
前後の台詞に矛盾点があり、光弥が問う。
「床にはいる。匂いはしない」
3人は顔を見合わせて、ケイの矛盾に考えを巡らす。
「来ればわかる」
ケイは落ち着かない挙動で3人の足元をぐるぐると回る。取り敢えず、来て欲しいのだとその仕草はあたしたちを急かしていた。
言葉の足りない説明よりも直接、清音のもとに行けばわかる。
あたしは白鋏を取り出し、マンションの部屋と清音の自室に繋いだ。
あたしは足を忍ばせてカーテンが閉まった部屋に足を踏み入れる。
下の階から家族の人が家内で日常を過ごす。侵入した来客も知らずに。
あたしたちは玄関から来たわけじゃない。白鋏の瞬間移動は楽でいいけれど、人目を考えないといけない。
清音は侵入した来客にも目を覚まさなかった。彼女は自室のベッドで静かに寝息をたてる。
「死んではいないみたいね」
あたしは潜めた声で言う。
朝方なら眠りも浅くなる。侵入した3人にも変わらずに眠り続けているのはそれほど眠りが深いことになる。
そこを踏まえたとしても穏やかに寝息をたてる姿は切迫さがないわね。
「それよりさ、この部屋芳香剤強すぎない?」
光弥の意見も最もでこの部屋に入った時から甘く強い芳香剤が部屋に充満していた。
しかし、ケイとカンダタはそれほど気にしていないようだった。
「清音は寝不足だったんだろ?」
カンダタが状況を詳しく知ろうとケイに聞く。
「寝不足?」
ケイは顔を傾げる。
「色々あったからな。気が滅入っていたんだろ」
「それでこれを飲んだ」
カンダタの推測にあたしは補足する。清音の机にはピルケースが置かれていた。
ケースの中身は黒と紫のカプセル剤。これが夢園だとすぐに気付いた。
「そうだったのか」
ケイは俯いてベッドに眠る清音を想う。
「それで、匂いがしないっていうのは?」
サンプルを置いて話を進める。
「魂のことだろ」
ケイの代わりに答えたのは光弥だった。光弥はわかりやすく解説する。
「生体は現世で寝ていても、魂は別世界だ」
「一応確認するけど、ハザマではないのよね?」
「これに関しては無関係だよ」
ハザマでもない、地獄でもない別世界に清音は連れていた。
演劇部惨殺事件でもプラネタリウムという装置を用いて学校と似た世界を作り出していた。清音が渡った世界は桐 首が作り出したものでしょうね。
それがどんなものかは知らない。あの会合では楽園があると語っていた。
「毎回ご苦労様。この高さをどうやって登ってきてるのよ」
猫は木登りが得意と言うけれどマンション10階の高さまで登るのは感服する。
これが猫本来の能力か、それともケイが特殊すぎるのか曖昧なところね。
「キヨネが起きない」
言葉が足りないのがケイの性質と言える。だから、挨拶もあたしの嫌味にも返さない。自身が重要視することだけを告げる。
今回もケイらしい口調だけれど、その一言には切迫した情景が見られた。
「9時にもなっていないのよ。寝坊でしょ。まぁ、夏休みだからって生活リズム変えるのはどうかと思うけど」
そういえば清音の目にはクマができていたわね。不眠症になっていたのかも。
眠れない夜が続けば精神が追い詰められる。そして、清音は快眠効果のあるサプリを思い出す。
カンダタもそこまで想像して事態の深刻さを理解する。
「清音はいつ寝た?」
「俺が帰ったのは夜明けだ」
つまり、ケイが帰ってきた時には清音は眠っていた。
「清音の匂いがしない」
「起きないじゃなくて?」
前後の台詞に矛盾点があり、光弥が問う。
「床にはいる。匂いはしない」
3人は顔を見合わせて、ケイの矛盾に考えを巡らす。
「来ればわかる」
ケイは落ち着かない挙動で3人の足元をぐるぐると回る。取り敢えず、来て欲しいのだとその仕草はあたしたちを急かしていた。
言葉の足りない説明よりも直接、清音のもとに行けばわかる。
あたしは白鋏を取り出し、マンションの部屋と清音の自室に繋いだ。
あたしは足を忍ばせてカーテンが閉まった部屋に足を踏み入れる。
下の階から家族の人が家内で日常を過ごす。侵入した来客も知らずに。
あたしたちは玄関から来たわけじゃない。白鋏の瞬間移動は楽でいいけれど、人目を考えないといけない。
清音は侵入した来客にも目を覚まさなかった。彼女は自室のベッドで静かに寝息をたてる。
「死んではいないみたいね」
あたしは潜めた声で言う。
朝方なら眠りも浅くなる。侵入した3人にも変わらずに眠り続けているのはそれほど眠りが深いことになる。
そこを踏まえたとしても穏やかに寝息をたてる姿は切迫さがないわね。
「それよりさ、この部屋芳香剤強すぎない?」
光弥の意見も最もでこの部屋に入った時から甘く強い芳香剤が部屋に充満していた。
しかし、ケイとカンダタはそれほど気にしていないようだった。
「清音は寝不足だったんだろ?」
カンダタが状況を詳しく知ろうとケイに聞く。
「寝不足?」
ケイは顔を傾げる。
「色々あったからな。気が滅入っていたんだろ」
「それでこれを飲んだ」
カンダタの推測にあたしは補足する。清音の机にはピルケースが置かれていた。
ケースの中身は黒と紫のカプセル剤。これが夢園だとすぐに気付いた。
「そうだったのか」
ケイは俯いてベッドに眠る清音を想う。
「それで、匂いがしないっていうのは?」
サンプルを置いて話を進める。
「魂のことだろ」
ケイの代わりに答えたのは光弥だった。光弥はわかりやすく解説する。
「生体は現世で寝ていても、魂は別世界だ」
「一応確認するけど、ハザマではないのよね?」
「これに関しては無関係だよ」
ハザマでもない、地獄でもない別世界に清音は連れていた。
演劇部惨殺事件でもプラネタリウムという装置を用いて学校と似た世界を作り出していた。清音が渡った世界は桐 首が作り出したものでしょうね。
それがどんなものかは知らない。あの会合では楽園があると語っていた。
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