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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
黒猫の探し物 9
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帰宅途中、100円均一の雑貨店で黒猫のおもちゃと猫用のお皿を買って自宅に向かう。着いた頃には曇天は更に厚くなって夕方の日差しは遮られていた。雨は強さを増して土砂降りになる。
自宅の玄関にはお父さんの靴があった。珍しく早く帰ってきたらしい。
リビングではお父さんが新しく買ってきたであろう猫じゃらしで早速黒猫と遊んでいた。
「ただいま」
「おかえりなさい。あら、おもちゃ買ったの?」
お母さんは雑貨店のビニール袋に入った猫用グッズを見て言った。
「うん。ないから。もう買っちゃったの?」
「お父さんがね。無表情だけどはしゃいでいるのよ。早く帰ってくるし、猫用のグッズも揃えたのよ」
呆れて笑うお母さんに反論せず、お父さんは無表情のまま猫じゃらしを振るう。黒猫は末端に付いたふわふわの毛玉を捕まえようと狙いを定めて跳ねる。
あの様子だと怪我は心配ないみたい。
「夕飯の準備するから早く着替えなさい」
私は頷いて自室に戻る。お母さんが夕飯を作っている間、着替えと課題をこなす。
本当は黒猫に構いたかったけど、お父さんが夢中になっていたからその機会はなかった。それにあの子とはこれからも時間を共有するわけだから、今だけはお父さんに譲ることにした。
夕食と入浴を済ますとお父さんが入れ替わりでお風呂場に入る。
それが頃合いだと判断した私は黒猫を攫って、自室に行こうとしても肝心のあの子がいない。
「ねぇ、あの子は?」
さっきまでリビングにいたのに気がつくといない。
「階段を上がっていくのを見たわよ。もしかして、清音の部屋じゃない?」
確かにそうかもしれない。黒猫は私の部屋で目覚めて、その後も私の部屋で寝ていたみたいだから、あのピンクのクッションを自分の居場所だと決めたのかもしれない。
「もし、清音の部屋に猫ちゃんがいたらご飯お願いね」
開封したばかりのカリカリの餌を猫用のお皿に乗せて、手に持つ。
お母さんが言った通り、黒猫は自室にいた。外が気になるようで、足場の少ない窓枠に四本足を器用に乗せる。
「ご飯持ってきたの。食べるでしょ?」
猫用のお皿をカーペットに置いて様子を見守る。
しばらくの間、黒猫は漆黒の風景を見ていたけど空腹に耐えきなくなったのか、窓枠から降りて餌のある私のところまで寄ってくる。
私が帰ってから大体2時間位経っている。その間、黒猫の顔をしっかりと見ていなかった。お父さんと遊んでいる時は元気そうだったし、気にすることでもなかった。
でも、まさか黒猫の顔にお面をつけているなんて。
変わったお面だった。猫を模したような木製の半面。
「その面、お父さんが買ってきたの?」
お父さんは猫に必要なグッズを買ってきたと話していた。でも、ペットにアクセサリーや服といったアイテムを買うほどおしゃれな性格をしていない。お母さんが好むようなデザインでもない。
猫は夢中になって餌を食べていた。私がお面の疑問を投げるとまるで驚いたような動作で食べるのを止めてこちらを見上げる。
自宅の玄関にはお父さんの靴があった。珍しく早く帰ってきたらしい。
リビングではお父さんが新しく買ってきたであろう猫じゃらしで早速黒猫と遊んでいた。
「ただいま」
「おかえりなさい。あら、おもちゃ買ったの?」
お母さんは雑貨店のビニール袋に入った猫用グッズを見て言った。
「うん。ないから。もう買っちゃったの?」
「お父さんがね。無表情だけどはしゃいでいるのよ。早く帰ってくるし、猫用のグッズも揃えたのよ」
呆れて笑うお母さんに反論せず、お父さんは無表情のまま猫じゃらしを振るう。黒猫は末端に付いたふわふわの毛玉を捕まえようと狙いを定めて跳ねる。
あの様子だと怪我は心配ないみたい。
「夕飯の準備するから早く着替えなさい」
私は頷いて自室に戻る。お母さんが夕飯を作っている間、着替えと課題をこなす。
本当は黒猫に構いたかったけど、お父さんが夢中になっていたからその機会はなかった。それにあの子とはこれからも時間を共有するわけだから、今だけはお父さんに譲ることにした。
夕食と入浴を済ますとお父さんが入れ替わりでお風呂場に入る。
それが頃合いだと判断した私は黒猫を攫って、自室に行こうとしても肝心のあの子がいない。
「ねぇ、あの子は?」
さっきまでリビングにいたのに気がつくといない。
「階段を上がっていくのを見たわよ。もしかして、清音の部屋じゃない?」
確かにそうかもしれない。黒猫は私の部屋で目覚めて、その後も私の部屋で寝ていたみたいだから、あのピンクのクッションを自分の居場所だと決めたのかもしれない。
「もし、清音の部屋に猫ちゃんがいたらご飯お願いね」
開封したばかりのカリカリの餌を猫用のお皿に乗せて、手に持つ。
お母さんが言った通り、黒猫は自室にいた。外が気になるようで、足場の少ない窓枠に四本足を器用に乗せる。
「ご飯持ってきたの。食べるでしょ?」
猫用のお皿をカーペットに置いて様子を見守る。
しばらくの間、黒猫は漆黒の風景を見ていたけど空腹に耐えきなくなったのか、窓枠から降りて餌のある私のところまで寄ってくる。
私が帰ってから大体2時間位経っている。その間、黒猫の顔をしっかりと見ていなかった。お父さんと遊んでいる時は元気そうだったし、気にすることでもなかった。
でも、まさか黒猫の顔にお面をつけているなんて。
変わったお面だった。猫を模したような木製の半面。
「その面、お父さんが買ってきたの?」
お父さんは猫に必要なグッズを買ってきたと話していた。でも、ペットにアクセサリーや服といったアイテムを買うほどおしゃれな性格をしていない。お母さんが好むようなデザインでもない。
猫は夢中になって餌を食べていた。私がお面の疑問を投げるとまるで驚いたような動作で食べるのを止めてこちらを見上げる。
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