81 / 138
海外ロケとスキャンダル
涙の理由
しおりを挟む互いの唇の狭間で戯れるように擦り合わせていた舌が、離れていく。
「今回は我慢できたな」
僕を見下ろす顔が、蠱惑的に濡れた口角を吊り上げた。
言われた言葉を理解するより先に、繋がったままの腰を揺すられ、圧迫感が波紋のように広がる。
「ぅ、んっ……」
それでも、挿れた直後ほどの苦しさはなかった。自分の体が、急速に三間のカタチに馴染んでいくのがわかる。呼吸もままならないほどの圧迫感が、徐々に「苦しい」から「気持ちいい」という感覚に変わっていく。
「ほら。ちゃんと全部入ってるぞ」
膝裏を抱えられ、結合部を見せつけるように左右に大きく足を開かれて、思わず「ひっ」と喉が引き攣れた。
ゆるく勃ち上がった自身の性器の先――、赤みを帯びた縁がめいっぱい広がり、怒張した雄を根元まで飲み込んでいる。黒々とした彼の下生えもぐっしょりと濡れていて、堪らなく卑猥な光景だった。
咄嗟に顔を横に背けて視線を逸らす。
何故、そんなものを見せつけるのか。
単に辱めたいだけなのか。あるいは――。抱いているのが自分だと、誇示したいとか?
だとしても、それは別に相手が僕だからではなく、アルファの習性なのだろう。
濡れた下腹を、軽く押される。
「わかるか? ここまで来てる」
薄い腹壁を間に挟み、三間の掌にゴリゴリと撫でられたものが飲み込んだ雄だと悟り、思わず下肢に力が入る。結果的に中のものを締め付けてしまい、三間が、くっ、と小さく呻いた。
「なじむまで、動くの我慢してやってんだぞ」
左手が頬に触れ、背けていた顔を正面に戻される。
恨みがましく睨む顔は、確かに何かを我慢しているようにも見える。不覚にも、可愛いと思ってしまった。
愛おしさが募り、奥がきゅんと疼く。
「ちゃんとした発情期じゃないから、泣くほど痛いんだろ?」
濡れた目尻を指の腹で拭われる。
感極まって泣いてしまったのを、痛みの所為だと思われたらしい。僕としては、そのほうがよかったけど。
「大丈夫……から……動いて……」
大丈夫だから動いて。喘ぐように言った。
繋がったまま、三間が覆いかぶさるように上半身を屈めてくる。自身の薄い腹と、彼の硬い腹筋に、僕の半勃ちの性器が挟まれ、擦れる。
自ら唇を開いて、彼の舌を受け入れた。
不思議だ。
キスをすること自体、今回の人生では今日が初めてなのに。エレベーターに乗って以降、目が合うたびに欲しくなって、キスをしている。
一度目の人生のときもキスをしたけど。それは欲情を発散させる手段の一つでしかなかった。
なんか、今日のは、まるで――……。
こんな恋人みたいな扱いをされて、明日から何事もなかったかのようにただの共演者としてやっていけるのかと、ちょっとだけ不安になった。
キスをしながら、三間が、ゆるゆると腰を揺らす。
抜いて、挿れる、というゆっくりとした動きは、徐々に激しくなっていく。僕は声を堪えるために、脱ぎ散らかしていたシャツを手繰りよせ、口の中に入れた。
指で弄ばれた浅いところの膨らみを、指とは比べ物にならない硬さと太さで小刻みに擦られるのは、髪を振り乱して悶えたくなるほどの気持ちよさだった。
1,365
お気に入りに追加
3,041
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい
雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。
延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる