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さびれた商店街に出資してみた

1話

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「最近、こういうとこ増えたよな」

俺は久しぶりに年末に実家に帰省して、地元の駅前を歩いていた。
学生時代、賑わっていた商店街も今は高齢化が進んでシャッターを下ろしている店が多く見受けられる。

「しかし寂しい街並みになったもんだ」

スーパーが近くにないからか栄え続けている八百屋や魚屋、肉屋を除いて他の店は軒並み元気がないように見える。

「まぁしょうがないよな」

俺はなんとなく残念な気持ちを胸に地元を後にするのだった。



年明けは仕事がラッシュで襲い掛かってきた。
休んでいた分のツケだと言わんばかりに昼休みの時間もまともみとれないまま、一週間ほどバタバタと働き続けた。
クタクタになっている俺とは対照的に能天気な後輩は実家に帰省した時の話を俺に聞かせてきた。

「年末に実家に戻った時に同窓会もどきやったんですけど、元カノが結婚しててマジビビりました~それで、」

「うるさい、黙って飯を食え」

俺は忙しさと後輩ののんきな声のギャップに苛立っていた。

「いや、ここからがいいとこなんですって!」

後輩が俺の腕にそういって縋り付いてくる。

「なんだよ…」

俺のにらみにも負けずに後輩はヘラヘラと話し続ける。

「俺の地元に大きなアーケードの商店街があったんですけど、なんか商店街の会長的な人を思い切って俺の同級生にしたらそいつがクラウドファンディング?だかで金をがっぽり稼いできたらしくて、今めっちゃバズってたんですよ」

そういって後輩は一枚の写真を見せてくれた。
その写真の中の商店街は人、特に若者で溢れて、俺の地元の錆びれた商店街とは対照的すぎた。

「へぇ、すげぇな」

俺は残っていた紙パックの中身を飲み干すと、後輩を置いてさっさと仕事に戻った。
ただ頭の中には後輩に見せられた写真の商店街の様子が残り続けていた。

「ったく、何かできるってわけでもないのによ」

苛立たしい気持ちを抑えながら俺はパソコンのキーボードをたたき続けた。



怒涛の仕事ラッシュから解放された休日、俺は裏クラウドファンディングのサイトを見ていた。

「ん?」

運営から珍しくメッセージが届いていたので開いてみる。
そこにはイベント開催のお知らせがあった。
開催場所はなぜか俺の地元。

「どういうことだ…」

イベントの内容はその日までのお楽しみ、ただ参加費が徴収されるようだ。

「参加費は全額、当日のイベントの運営にあてられますって、にしても高いな」

参加費はいつものクラウドファンディングのページで二回くらい出資できるほどの料金だ。

「あ~悩むな」

二回、好きなサイトに出資して男を呼ぶか、お楽しみ会なるものに参加してみるか。
俺の心は揺れに揺れた。



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