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浅上秀

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上京してきて金がない大学生に出資してみた

1話

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最近、仕事が立て込んでいて家にいる時間がなかなか取れずにいた。

「はぁ疲れた」

ようやく週末になって休みが取れた俺は缶ビールのプルタブを開けてパソコンを立ち上げた。
碌に休みが取れていなかったおかげで性欲は溜まる一方。
久しぶりに一発、ヤリたい気分だった。

「久しぶりに漁るか」

裏クラウドファンディングのサイトにアクセスするとそこは相変わらず賑わっているようだ。

「どれにすっかな…」

ポチポチと情報を探っていくと、目立つカラーで強調された気になる文言を見つけた。

「なんだこれ」

どうやらサイト内にサービスが新たにできたようで、新着情報として大々的にアピールされている。
その名も即お届け。
入金したらすぐに希望の場所に来てくれるサービスらしい。
すぐに会えるというメリットを売りにしてサイト初心者でも出資額が稼げるようにしたようだ。

「てことは、即お届けは新人ばっかなのか?」

タグを押してみてリンクしてきたものは大体、出資額がまだあまり集まっていないものばかりだった。
しかもそのほとんどが今まで出資を募ったことがない未経験者ばかりのようだ。

「なるほどな…」

通常、裏クラウドファンディングのサイトでは出資をした相手に会うとき、どのような人であっても完全予約制になっている。
それは人気があって出資額の規模がえげつない人でも、まったく人気のない人でも等しく同じシステムだった。
そのため俺も忙しくなる前に出資していた時も、予約を取ったうえで俺の家に来てもらうなり、ホテルで会うなりしていた。

「試しに一人呼んでみるか」

新着の赤い文字が光っていた所を押してみる。
すると何件か即お届けがひっかかってきた。
その中で何件か気になったものをみていく。

「デリヘルみたいだな…ふーん、親の仕送りだけでは生活が厳しくこのままでは学費が払えません、か。今時こんなやついるんだ…」

俺自分も学生時代に借りた奨学金を返済するのに社会人になってから苦労したことが頭をかすめる。

「こいつでいっか」

薄い同情心を抱えながら適当に大学生とかかれた若い男に決めた。



出資額をサイトで入金してから30分後のことだった。
サイトからそろそろ到着するという通知が来てすぐ、家のインターホンが鳴った。

「はーい」

モニターには黒いキャップを目深に被った若い男性が映っている。

「ど、どうも…」

男はインターホンをのぞき込んでいる。

「あがって」

俺は短くそういうとインターホンを切って鍵を開けに玄関にむかった。




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