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目指せ、スキルのレベルアップ

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コカトリスもどき(毒化していないコカトリス)の丸焼き、ケーラと違ってあまり苦みのないチャベツというキャベツのような見た目だが茶色く枯れ葉のような色味をした野菜のサラダ、お気に入りのライマのジュースを注文した。
これだけでスライムもどきの約10倍の値段になる。

「一杯食って大きくなれよ」

「はひぃ」

カイルさんはビールのようなアルコール飲料とコカトリスもどきのフライ、そしてモーイという里芋みたいにコロコロとしていて粘り気のある芋のスープを食べている。

「はぁ、食った食った」

二人でお腹いっぱい食事を楽しんだ。
ライマのジュースをお代わりした俺はカイルさんの近況を尋ねた。

「カイルさん、最近はどこらへんにいるんですか?」

「ん~、まぁ国内をウロウロって感じかな」

カイルさんは具体的なクエストの話はあまり教えていくれない。
国家にかかわることもあるのでおいそれと話してはいけないらしい。

「レイは最近どうだ?」

「実は全然、スキルのレベルが上がらなくて…」

「そうか、もうすぐDランクになれるんだもんな」

「はい。俺もそうなんですけど、パーティを組んでるやつらも全然スキルが上がらなくて」

「ならとっておきの方法を教えてやる」

「え?」

カイルさんはニヤリと意味ありげに口角を上げた。

「ただし今日はここまでだ。明日ゆっくり話してやる」

そういうとカイルさんは席から立ち上がって食事代を支払った。

「ごちそうさん」

「カイル、この前は差し入れありがとうね。みんな喜んでたよ」

「なんてことはないよ」

お礼を言う食堂の料理人にヒラヒラと手を振って食堂を出ていくカイルさんの背中を俺は慌てて追いかける。

「ど、どうして今日、教えてくれないんですか」

家に帰る道すがらカイルさんに俺は追いすがった。
一刻も早く知りたいし、一刻も早く俺は強くなりたいのだ。

「焦るなってことだよ」

カイルさんはアルコールが入っているにもかかわらずそれを感じさせない冷静な顔で俺に言った。

「焦ってなんて…」

「いいや、俺にはわかるよ。何年レイのこと見守っていると思ってるんだい」

「ううっ…」

「とにかく今日は俺もレイも疲れてるから休む。そして寝て頭をスッキリさせてから話す、いいね?」

「はい」

ノーとは言えない元サラリーマンの俺だった。



ただし家について身体を清めてベットに潜り込んでも一向に眠れる気配がしない。
窓に近づいて夜空を見上げる。

「この世界にも月があるんだよなぁ」

前世の地球と似ているようで全く違うこの世界。
いつか復讐を遂げられたら見たことのないこの世界の端っこに行ってみたい。
月にも行けるのだろうか。
色々なことを考えていたらズルリと身体から力が抜ける気がしいて俺はそのまま窓辺で眠りについてしまうのだった。



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