転生した俺は破壊と再構築スキルで這い上がってやる!

浅上秀

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試しに絡んできた少年を陥れてみた

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「まてぇ、貴様ら、まてぇええ。己ぇえええ、今度は貴様らを支配してやるうううう」

彼は怨念めいた声で襲い掛かってくる。

「どうやら思った通り支配が彼のスキルのようだね」

「あぁ、一度でも自分のことを恐れた相手を支配する。怖いスキルだなぁ」

ただし一度切れたら使えないようだが、今まで切れた経験がないのだろう。
支配という人間の関係を切ることが破壊スキルに可能だと知れただけでも俺にとっては十分な収穫だ。

「さて、こいつどうする?」

俺たちを恨めしそうに睨んでいるヘイデュ男爵子息。

「うがっ」

が、あっという間に気絶してしまった。

「ザール!!」

俺たちを睨みつけている男爵子息をさっさと気絶させてくれたらしい。

「…終わった」

「あぁ、え、もう今日の分終わったの?じゃあ、帰るか」

ザールが男爵子息を担いで、俺たちは散らばった彼の荷物をもって集合場所に戻った。
指揮監督していたグレールに事の顛末を伝えるとあきれ返っている。

「わかった。こちらで彼の身はあずかろう。苦労を掛けたな」

「いえいえ」

俺たち三人はジェイク、ケイトと合流して仕事が終わったのでさっさと街に帰ることになった。

「終わった人から帰っていいって楽だよなぁ」

「終わらなかったらどうなるんだ?」

「時間切れでクエストは達成したことにならないらしいですよ」

「へぇ」

五人で他愛もない会話をしながら

「あいつの吠え面拝めてすっきりしたぜ!」

ケイトが空に向かって伸びをした。

「ぼ、僕たち中々のチームワークだったと思うよ」

ジェイクが言った。

「たしかに」

「この五人でパーティ組むのもありなんじゃないか?」

ダニエルが冗談めいた口調で言うが視線は真剣だ。

「賛成」

ザールがポツリとつぶやいた。
俺はどうしても賛同できなかった。
ヒカルの存在が後ろ髪を引く。

「レイ、どうかしたのか?」

思考の波にのまれていつのまにか俺は皆よりも後ろを歩いていたようだ。

「いや、なんでもない」

「レイ、レイは俺たちと組むの嫌?」

ジェイクの問いに俺はすぐに答えることができなかった。

「…嫌ではないんだ。でもどうしても俺の中で踏ん切りがつかないというか」

「そんな気はしてましたよ」

ダニエルが言った。

「なんか腹に一物かかえてそうな感じ、してるもんな」

「おバカなケイトにまで気づかれるとは」

「おい!おまえ今俺のことバカにしただろ!!」

「ははっ、みんなありがとう…少し長くなるけど聞いてくれないか?」

そうして俺は初めて誰かにヒカルとの思い出や約束を話すのだった。


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