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試しに絡んできた少年を陥れてみた
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次の日の朝から俺たちは行動を始める。
「それじゃあ作戦通り、よろしく」
サクっと彼の貴族としての自尊心的なものをポキっと折れればいいかなと思っている。
とりあえずジェイクとザールには今日の分の任務をこなしてもらう。
ダニエルのスキルでお坊ちゃんの位置情報を把握しながら、ケイトが剣で木や草をかき分けて道を作ってくれる。
俺はというと自分のスキルの実験がしたかった。
最近スキルを発動した時に、人から伸びる線が見えることがあった。
ぼんやりとしたそれは人から人へ、また別の人へと伸びている。
憶測だが人との関係をつなげる線だと思った。
ただ安易な気持ちで自分から伸びている線を切るのは危険なのでちょっと試させてもらおうと思う。
「いたぞ」
件のヘイデュ男爵子息は敷物を敷いた岩のようなものに腰かけて、他の人たちに薬草を集めさせていた。
「早くせぬか!日が暮れてしまうぞ」
まだお昼にもなっていないが。
「どうする、ここから」
ダニエルが俺に尋ねる。
「ケイト、あっちで獣用の罠が仕掛けられてたから適当にワイヤーとか切って作動させてくれ。そのまま逃げてジェイクとザールに合流してほしい」
「わかった、囮になればいいってことだな」
「そういうことだ。ダニエルは俺と一緒にいてほしい。たぶん作動した罠を自分では見に行かないだろうから、あいつは一人になるはずだ。その隙を狙う」
「了解。万が一、近くに誰かいたら風でも起こして吹っ飛ばすよ」
「頼もしいなぁ…」
ケイトが茂みの奥に進んだことを確認して俺とダニエルは一歩ずつヘイデュ男爵子息に近づく。
ピーっと罠に獲物が掛かった合図がした。
「ぬ!何かかかったぞ!ほれ、さっさと見て来ぬか!!!」
へこへこと薬草を集めていた男たちが走り出す。
「ふん、全くとろくさいのぅ。これだから平民というものは…」
愚痴を垂れている男爵の目の前に俺たちは姿を現した。
「どうも、昨日ぶりですね」
「な、何用だ。庶民の分際で頭が高いぞ」
「弱い奴ほどよく吠えるって言うよねぇ」
ダニエルが煽る。
その間に俺はこっそり破壊スキルを発動した。
「な、なに!!誰か、誰かおらぬか!!こいつらを跪かせよ!!!」
破壊スキルで男爵子息から藪の中に伸びている線だけをキレイに破壊してあげた。
「誰か!!誰か!!!」
彼の叫び声に誰も反応しない。
「おやぁ、誰も来ないけど?」
「そ、そのようなはずは…」
ガサガサと茂みが揺れて男たちが戻ってきた。
「レイ、失敗した?」
ダニエルが俺にだけ聞こえるように尋ねてくる。
その声にこたえようとしたその時だった。
「おまえ、よくも俺たちをこき使いやがって!」
男爵子息は地面に叩き落とされた。
「い、痛い!庶民のくせになんだ!俺様を傷つけるとは!!!」
「もうお前の指図なんか受けない。俺たちは解放されたんだ」
男たちはヘイデュ男爵子息を放置して歩き始めた。
「え、君たち、もういいの?」
てっきり殴ったり蹴ったりもっと虐めるのかと思ったが。
「時間の無駄だからね」
そういって男たちはヘイデュ男爵子息を置き去りにして行ってしまった。
「それじゃあ作戦通り、よろしく」
サクっと彼の貴族としての自尊心的なものをポキっと折れればいいかなと思っている。
とりあえずジェイクとザールには今日の分の任務をこなしてもらう。
ダニエルのスキルでお坊ちゃんの位置情報を把握しながら、ケイトが剣で木や草をかき分けて道を作ってくれる。
俺はというと自分のスキルの実験がしたかった。
最近スキルを発動した時に、人から伸びる線が見えることがあった。
ぼんやりとしたそれは人から人へ、また別の人へと伸びている。
憶測だが人との関係をつなげる線だと思った。
ただ安易な気持ちで自分から伸びている線を切るのは危険なのでちょっと試させてもらおうと思う。
「いたぞ」
件のヘイデュ男爵子息は敷物を敷いた岩のようなものに腰かけて、他の人たちに薬草を集めさせていた。
「早くせぬか!日が暮れてしまうぞ」
まだお昼にもなっていないが。
「どうする、ここから」
ダニエルが俺に尋ねる。
「ケイト、あっちで獣用の罠が仕掛けられてたから適当にワイヤーとか切って作動させてくれ。そのまま逃げてジェイクとザールに合流してほしい」
「わかった、囮になればいいってことだな」
「そういうことだ。ダニエルは俺と一緒にいてほしい。たぶん作動した罠を自分では見に行かないだろうから、あいつは一人になるはずだ。その隙を狙う」
「了解。万が一、近くに誰かいたら風でも起こして吹っ飛ばすよ」
「頼もしいなぁ…」
ケイトが茂みの奥に進んだことを確認して俺とダニエルは一歩ずつヘイデュ男爵子息に近づく。
ピーっと罠に獲物が掛かった合図がした。
「ぬ!何かかかったぞ!ほれ、さっさと見て来ぬか!!!」
へこへこと薬草を集めていた男たちが走り出す。
「ふん、全くとろくさいのぅ。これだから平民というものは…」
愚痴を垂れている男爵の目の前に俺たちは姿を現した。
「どうも、昨日ぶりですね」
「な、何用だ。庶民の分際で頭が高いぞ」
「弱い奴ほどよく吠えるって言うよねぇ」
ダニエルが煽る。
その間に俺はこっそり破壊スキルを発動した。
「な、なに!!誰か、誰かおらぬか!!こいつらを跪かせよ!!!」
破壊スキルで男爵子息から藪の中に伸びている線だけをキレイに破壊してあげた。
「誰か!!誰か!!!」
彼の叫び声に誰も反応しない。
「おやぁ、誰も来ないけど?」
「そ、そのようなはずは…」
ガサガサと茂みが揺れて男たちが戻ってきた。
「レイ、失敗した?」
ダニエルが俺にだけ聞こえるように尋ねてくる。
その声にこたえようとしたその時だった。
「おまえ、よくも俺たちをこき使いやがって!」
男爵子息は地面に叩き落とされた。
「い、痛い!庶民のくせになんだ!俺様を傷つけるとは!!!」
「もうお前の指図なんか受けない。俺たちは解放されたんだ」
男たちはヘイデュ男爵子息を放置して歩き始めた。
「え、君たち、もういいの?」
てっきり殴ったり蹴ったりもっと虐めるのかと思ったが。
「時間の無駄だからね」
そういって男たちはヘイデュ男爵子息を置き去りにして行ってしまった。
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