転生した俺は破壊と再構築スキルで這い上がってやる!

浅上秀

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試しに絡んできた少年を陥れてみた

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「あ?なんだあいつ」

頭に若干、青筋を浮かべたケイトが睨んだ。

「ほっておこう」
 
ダニエルが冷静にケイトの背中をたたいた。
俺たち五人はとりあえず無視を決め込んだのだ。



だが貴族のお坊ちゃんはそれがどうにも気に食わないようである。

「我はヘイデュ男爵の嫡男であるぞ!もっと敬わんか!」

地団太を踏んでこちらを睨んでくる。

「あいつ、めんどくさいな」

ケイトはあきれ顔をしながら歩を速めている。

「ははは、沼にでも放置しようかなぁ」

いつもは温厚なジェイクまでそう言って。
俺もあまりの面倒くさ加減に兄の知り合いかとを思わず疑いそうになった。

「しかし本当に貴族ってろくな奴がいないよな」

俺は若干遠い目をしていた。
ザールはそれを見て苦笑している。



ようやく南の湖周辺にたどり着いた。
すこし空気が先ほどよりも湿気を帯びている。

「よーし、いったん集合だ」

気だるげなリーダーが立ち止まった。

「これから薬草10種類を探してくてもらうものと水質調査にむかうもので別れるぞ」

「分け方はどうするんですか」

小柄な少女が尋ねる。

「あー、めんどくさいからおまえらやりたい方を選べ」

俺たちは五人でこそこそと話し合い始める。

「ぼ、僕は薬草…」

「ジェイクはそうだろうよ」

「なら全員で薬草にしよう。その方が効率よくできるだろうし」

ダニエルの案にみんな同意した。

「了解」

「でも、ケ、ケイトくんとか湖の生物とかと戦いたくないの?」

ジェイクが遠慮がちに尋ねる。

「俺、魚苦手だからいいわ」

ケイトはあっさり断った。
ダニエルが苦笑しながらリーダーに薬草採取に行くことを告げてきてくれた。



リーダーは水質調査のほうに向かったが、ブレスレットのおかげで遠隔でも何かあったら連絡できるようなシステムになっている。

「えっとじゃあ、ケイトくんとザールくんでこれをお願い。レイくんとダニエル君は僕と一緒に来てほしい」

薬草に詳しいジェイクが役割分担を決めてくれた。
根が深かったり、ちょっと獰猛な植物は戦闘タイプのケイトとザールが、俺たちは見分けがつきにくかったりややこしい植物の採取に当たることになった。

「じゃ、俺らの終わったら連絡するな」

ケイトとザールは身軽に走り去っていった。

「ぼ、僕たちも行こうか」

周りにいた他の冒険者たちも薬草探しのために歩き始めていた。

「そうだな」

俺とダニエルはジェイクの先導に任せて歩き始めた。
しかしその時だった。

「まて、下民のやつらよ。我のために薬草を集めるのだ!」

声高にさきほどの貴族のお坊ちゃんが騒ぐ。
しかし誰も彼に近づかずに自分の作業のために散っていってしまった。

彼は再び地団太を踏んでいた。
それを横目に俺たち三人もそっとその場を離れるのだった。






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