転生した俺は破壊と再構築スキルで這い上がってやる!

浅上秀

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「ちょうどあそこにノーマルスライムがいるから狩ってみようか」

デュークさんが指をさしたほうを見ると、スライムがうねうねと集団で蠢いている。

「おお」

何気にこちらの世界に来てモンスターを見るのは初めてなのでちょっと感動した。

「ではまず呪文から。我が命じる、狩猟クエスト スタート」

「我が命じる、狩猟クエスト スタート」

呪文を復唱すると、ケイトくんとジェイクくんの手元に剣が現れた。

「デュークさん、どうして僕たちには剣が出てこないんですか?」

ダニエルくんがデュークさんに尋ねる。

「スキルが攻撃に向いているとみなされてた人には何も現れないんですよ。」

たしかに俺の破壊スキルは攻撃的だ。
でもスライムなんて破壊できるのだろうか。

「私のスキルは攻撃向きではないので、剣の簡単な使い方をお二人にお教えします。その間、みなさんは一体でもいいのでスライムを狩ってみてください。」

こうして剣を習う二人と、スライムにスキルをぶつける四人に別れた。



「我が命じる。このスライムを破壊せよ、デストロイヤー 」

パン、とスライムが弾けると同時にブレスレットが光った。

「ねぇ、君のスキルって何?」

ダニエルくんがスライムを切り刻みながら話しかけてきた。

「破壊」

二体同時に破壊しながら答えた。

「へぇそうなんだ!僕はね、風なんだ」

ダニエル君はまなじりを緩めながらほんわりと言った。

「強そうなスキルだね」

「へへ、そうかな?」

二人でほのぼのとあたりのスライムをせん滅していると、先ほどから一言も発していなかった黒髪の眼光が鋭い男の子が近づいてきた。

「…これ」

ぬ、っと絆創膏を差し出している。

「あ、ありがとう」

よく見たら俺の掌が若干、出血していた。
破壊スキルを使うとたまに自分の手も傷つけてしまうため、最近全く気にしていなかったが。

「ありがとう!お、俺、レイって言うんだ!」

無言で去っていきそうな背中に言ってみた。

「…ザール」

彼は名前だけ名乗ると俺とダニエルくんに背を向けてすぐにスライム狩に戻ってしまった。

剣を習っていた二人もある程度、スライムを狩れたところでデュークさんが集合をかけた。



ギルドにみんなで戻るとデュークさんがクエストの完了報告の方法を教えてくれた。

「クエストを申し込んだこの受付に来て、ブレスレットをここにかざすだけです」

簡単、便利。
ブレスレットをかざすと、今回の報酬と経験値がスクリーンのように表示される。
ガラスケースの中のものは勝手に回収されるらしい。

「明日から皆さん、Fランクのクエストであれば自由に申し込めるようになります。頑張って充実した冒険者ライフを送ってくださいね」

こうしてあっという間に初めてのクエストは終わりを告げたのだった。






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