転生した俺は破壊と再構築スキルで這い上がってやる!

浅上秀

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最悪の事件

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再び目を覚ますと、日が昇っていた。
廊下の様子を伺うと、使用人があわただしく動き回っている。

「なんだ?」

様子を伺うと話し声が聞こえてきた。

「突然深夜に来客が…」

「しかもあの方々ってば…」

かすかに話し声が聞こえるが、どうやら突然の来客に慌てふためいたらしい。

「誰が来たんだろ」

まぁ俺には関係ないと思うが。



俺は荷物をまとめると廊下に出る。

「さぁて、この家ともおさらばしますか」

足取りはかなり軽い。
廊下を進んでいると、ある部屋から話し声が漏れている。

「ん?」

聞き覚えのない声が混じっていたので興味本位で扉に近づいてみる。
中をのぞくと、父と兄とその他四人の男性がいる。

「おい、エルグランド、いったいどうするつもりだ!」

身なりが豪勢で一人だけ椅子に腰かけている金髪の男性が吠える。

「そうだぞ、殿下の身に何かあれば…」

その椅子のそばに立っているモノクルを身に着けた黒髪の男性が心配そうな声色で告げる。
父が慌てて二人に跪いた。

「殿下、トラッシュ侯爵子息殿ご安心ください。我がステイン伯爵家の名に懸けて、隠蔽させていただきますので」

「ふん、そんなのはあたりまえだろ」

金髪の殿下は鼻を鳴らしていった。

「ステイン伯爵、エルグランド、殿下はそのようなあたりまえのことをご心配されているのではありませんよ」

茶髪の細目の男が丁寧な口調で言う。

「は、はぁ、ではなにを?」

兄が父の隣で跪きながら尋ねる。

「これだから田舎者は…」

四人目の赤髪の男が吐き捨てるように言う。

「アレク、仕方ありませんよ。こんな田舎者が崇高なる殿下の思考をくみ取れるわけなどないのですから」

茶髪の細目がせせらわらった。

いったい何なのだ、この茶番は。

「まぁそうだな。巻き込まれたのも所詮は庶民だ」

アレクと呼ばれた赤髪の男は偉そうに答えた。

「殿下はこのことが王太子側に知れて、王位継承に悪影響が出ないかをご心配されていらっしゃるのですよ」

モノクルをつけた男が口を開く。

「そ、それはご心配には及びません。あの場に王太子派の人間などおりませんし…」

「密偵がいたらどうするのだ。絶対にいなかったとは言い切れないだろう」

「で、ですがあの場にいた冒険者ギルドのものには全員には金をつかませておりますので…」

兄と父が交互にしどろもどろに答える。
しばらくすると四人は父と兄を責めることに気が済んだらしく和やかに話し始めた。

「しかしまぁ…あの鑑定スキルを無くすのは惜しかったがなぁ」

「まだ10歳でしたからねぇ。伸びしろはあったでしょうね」

「殿下、あんな平民のかわりなんていくらでもおりますよ」

俺はその言葉を聞いた瞬間、固まった。
今、彼らはなんと言ったんだろうか。






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