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最悪の事件
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出会ってから俺とヒカルはほとんど毎日のように一緒にいた。
街の中を探索する日もあれば、スキルの強化に明け暮れた日もあった。
冒険者ギルドのあの特訓部屋のおかげで俺のスキルは両方とも自在に使いこなせるようになっていた。
ヒカルも鑑定できる種目や種類、知識が深まり精度が上がっている。
またスキル強化のために体力や筋力も鍛えている。
たまに筋トレのし過ぎで、翌日筋肉痛に見舞われても二人で笑ってまた街へと繰り出す。
…
そんなこんなであっという間に五年が経ち、明日ついに俺は10歳になる。
そして俺は10歳になったら転生者であることをヒカルに告げると決めていた。
一緒に冒険に出るなら知っておいてもらったほうがいいと判断したのだ。
「いよいよ明日か」
「楽しみだね」
ヒカルは先月、10歳になったので俺より先に冒険者として登録している。
一週間に一度ほど、ヒカルの父と一緒にクエストに出かけている。
「一緒にクエストに行ったり、遠征したり、旅したり…あぁ早く明日にならないかなぁ」
ヒカルは嬉しそうにしている。
「ヒカル、俺よりも楽しみにしてないか?」
「そうかも」
いつも通り笑顔のヒカルと別れ俺は屋敷に戻った。
…
俺は家を出ると決意してから今日まで準備を着々と進めていた。
改めて部屋の中を見回す。
ベットとクローゼット、机と椅子くらいしか置かれていない殺風景な部屋がよりさみしく見える。
「明日にはこことおさらばだ」
俺の荷物は元々少ないし、稼いだ金で必要なものは買い足せばいいと思っている。
そしてこの世界では便利なことに親の許可なしに冒険者に登録することも認められている。
孤児などもいるので、基本的には誰でもはいれるようなシステムになっているのだ。
希望すれば実家から籍を抜くこともできる。
高位の冒険者に近づくほど、その名誉にすがりたい者たちが増える。
高貴な家柄でもない限り、甘い汁を吸いにそれまで縁のなかった親戚やら何やらがひっついてくることを避けることができるような制度にしてあるのだ。
「あーぁ、早く明日にならねぇかな」
次に目を開けたら明日が来ていることを願ってベットに入った。
…
なにやら屋敷の中が騒がしい気がする。
そっと俺は目を覚ました。
時間を確認するとまだ夜も明けていない。
でも日付は俺の誕生日になっている。
念願の10歳。
朝になればこの家から出られる。
早く日が昇ることを待ち望んでいる自分がいた。
しかし俺は本当は今日が来てしまったことを後悔しなければいけなかったのだった。
街の中を探索する日もあれば、スキルの強化に明け暮れた日もあった。
冒険者ギルドのあの特訓部屋のおかげで俺のスキルは両方とも自在に使いこなせるようになっていた。
ヒカルも鑑定できる種目や種類、知識が深まり精度が上がっている。
またスキル強化のために体力や筋力も鍛えている。
たまに筋トレのし過ぎで、翌日筋肉痛に見舞われても二人で笑ってまた街へと繰り出す。
…
そんなこんなであっという間に五年が経ち、明日ついに俺は10歳になる。
そして俺は10歳になったら転生者であることをヒカルに告げると決めていた。
一緒に冒険に出るなら知っておいてもらったほうがいいと判断したのだ。
「いよいよ明日か」
「楽しみだね」
ヒカルは先月、10歳になったので俺より先に冒険者として登録している。
一週間に一度ほど、ヒカルの父と一緒にクエストに出かけている。
「一緒にクエストに行ったり、遠征したり、旅したり…あぁ早く明日にならないかなぁ」
ヒカルは嬉しそうにしている。
「ヒカル、俺よりも楽しみにしてないか?」
「そうかも」
いつも通り笑顔のヒカルと別れ俺は屋敷に戻った。
…
俺は家を出ると決意してから今日まで準備を着々と進めていた。
改めて部屋の中を見回す。
ベットとクローゼット、机と椅子くらいしか置かれていない殺風景な部屋がよりさみしく見える。
「明日にはこことおさらばだ」
俺の荷物は元々少ないし、稼いだ金で必要なものは買い足せばいいと思っている。
そしてこの世界では便利なことに親の許可なしに冒険者に登録することも認められている。
孤児などもいるので、基本的には誰でもはいれるようなシステムになっているのだ。
希望すれば実家から籍を抜くこともできる。
高位の冒険者に近づくほど、その名誉にすがりたい者たちが増える。
高貴な家柄でもない限り、甘い汁を吸いにそれまで縁のなかった親戚やら何やらがひっついてくることを避けることができるような制度にしてあるのだ。
「あーぁ、早く明日にならねぇかな」
次に目を開けたら明日が来ていることを願ってベットに入った。
…
なにやら屋敷の中が騒がしい気がする。
そっと俺は目を覚ました。
時間を確認するとまだ夜も明けていない。
でも日付は俺の誕生日になっている。
念願の10歳。
朝になればこの家から出られる。
早く日が昇ることを待ち望んでいる自分がいた。
しかし俺は本当は今日が来てしまったことを後悔しなければいけなかったのだった。
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