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物語の始まり
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「ははは、ごめんな」
「カイルさんはどうしてこちらに?」
「あぁ近くで魔獣が出たらしくてな。索敵に君のお父さんも駆り出されてるみたいだよ」
「そうなんだ…せっかくレイのこと紹介しようと思ったのにな」
「いいよ、また今度にしよう」
「うん…」
ヒカルは不満そうだった。
「それじゃあ、俺はもう行くな」
カイルは首を右と左に片方ずつ傾けると空に手を伸ばした。
「うん、カイルさん、またね」
「おう…俺を北の森へ連れて行きたまえ、フライ」
カイル呪文と緑色の光とともにその場から消えた。
…
「す、すげぇ、消えた…」
俺はしばらく目を瞬いていた。
「スキルジュエル使うところ、初めて見た?」
「おう…スキルジュエルってなんだ?」
ヒカルは得意げになって教えてくれた。
「スキルジュエルは、魔石にその人のスキルを込めたものなんだ。すごくいいスキルが込められていると、それだけで領地が一つ買えちゃうくらいの価値があるんだって。さっきカイルさんが使ったのは瞬間移動のスキルの人の作ったスキルジュエルだよ」
「瞬間移動も便利だから高いんじゃ…」
「うん…たしかAランクの冒険者の報酬とかになってるはずだよ。値段にしたら、家一件分かなぁ」
「ひぇっ」
思わず声が出てしまった。
そんな高価なものを使いこなすカイル…恐るべし。
…
そのあとも気ままにヒカルに街を案内してもらったらあっという間に日が暮れてきた。
「俺、そろそろ帰らないと…」
先を行くヒカルに声をかける。
ヒカルはそっと俺のほうを振り向いた。
「また明日、会える?」
囁くように尋ねられる。
先ほどまでの元気なヒカルはどこに行ってのだろうか。
「絶対来る」
俺は強く頷いてヒカルと別れた。
…
来た道を戻り邸にもどる。
邸の人間たちは家族だけでなく使用人も俺には全く興味がない。
そのため抜け出していたことは全くバレていなかったようだ。
「それよりもスキル調べないと…」
俺に秘められた能力はなんなのだろうか。
転生したからにはなにかあるはずだと信じている。
自分の部屋から庭を見下ろすと、兄と父がちょうどスキルの訓練をしているところだった。
「いいか、エルグランド、おまえは俺の優秀なスキルを受け継いでいるんだ。一日も早く使いこなせ」
「はい、お父様」
父は手を空にかざして呪文を唱え始める。
「我が命じる、この木を焼き尽くせ、ファイヤーアロー」
すると火の粉をまとった矢が天から現れ、庭の大木を一筋焦がした。
といっても幹の一部が若干、黒くなった程度だが。
「さすがです、お父様!」
「ふっ、この程度造作もない。おまえもやってみろ」
「はい」
「カイルさんはどうしてこちらに?」
「あぁ近くで魔獣が出たらしくてな。索敵に君のお父さんも駆り出されてるみたいだよ」
「そうなんだ…せっかくレイのこと紹介しようと思ったのにな」
「いいよ、また今度にしよう」
「うん…」
ヒカルは不満そうだった。
「それじゃあ、俺はもう行くな」
カイルは首を右と左に片方ずつ傾けると空に手を伸ばした。
「うん、カイルさん、またね」
「おう…俺を北の森へ連れて行きたまえ、フライ」
カイル呪文と緑色の光とともにその場から消えた。
…
「す、すげぇ、消えた…」
俺はしばらく目を瞬いていた。
「スキルジュエル使うところ、初めて見た?」
「おう…スキルジュエルってなんだ?」
ヒカルは得意げになって教えてくれた。
「スキルジュエルは、魔石にその人のスキルを込めたものなんだ。すごくいいスキルが込められていると、それだけで領地が一つ買えちゃうくらいの価値があるんだって。さっきカイルさんが使ったのは瞬間移動のスキルの人の作ったスキルジュエルだよ」
「瞬間移動も便利だから高いんじゃ…」
「うん…たしかAランクの冒険者の報酬とかになってるはずだよ。値段にしたら、家一件分かなぁ」
「ひぇっ」
思わず声が出てしまった。
そんな高価なものを使いこなすカイル…恐るべし。
…
そのあとも気ままにヒカルに街を案内してもらったらあっという間に日が暮れてきた。
「俺、そろそろ帰らないと…」
先を行くヒカルに声をかける。
ヒカルはそっと俺のほうを振り向いた。
「また明日、会える?」
囁くように尋ねられる。
先ほどまでの元気なヒカルはどこに行ってのだろうか。
「絶対来る」
俺は強く頷いてヒカルと別れた。
…
来た道を戻り邸にもどる。
邸の人間たちは家族だけでなく使用人も俺には全く興味がない。
そのため抜け出していたことは全くバレていなかったようだ。
「それよりもスキル調べないと…」
俺に秘められた能力はなんなのだろうか。
転生したからにはなにかあるはずだと信じている。
自分の部屋から庭を見下ろすと、兄と父がちょうどスキルの訓練をしているところだった。
「いいか、エルグランド、おまえは俺の優秀なスキルを受け継いでいるんだ。一日も早く使いこなせ」
「はい、お父様」
父は手を空にかざして呪文を唱え始める。
「我が命じる、この木を焼き尽くせ、ファイヤーアロー」
すると火の粉をまとった矢が天から現れ、庭の大木を一筋焦がした。
といっても幹の一部が若干、黒くなった程度だが。
「さすがです、お父様!」
「ふっ、この程度造作もない。おまえもやってみろ」
「はい」
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