転生した俺は破壊と再構築スキルで這い上がってやる!

浅上秀

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物語の始まり

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俺の前世は至って平凡だった。

小学校、中学校、高校と地元の学校に進み、ある程度友達もいて。
大学は適当に実家から近いところに行き、就職活動も可もなく不可もい無難な地元企業の営業。
毎日残業して成績を稼いで、家に帰って寝て。
そんな繰り返し。

「レイくんは、将来何になりたいの?」

思い返しても将来の夢、といえるものは特に思いつかなかった。
周りの友達は、警察官になりたいだの医者になりたいだの。

友人たちの姿にあこがれを抱かなかったといえばウソになる。
ただ無理して夢を作り気にもなれなかった。

そんなある日、これまたありきたりにも俺は通勤途中に背中を誰かに押されて電車にはねられた。
賠償金やばいだろうな。
父さん、母さん、親不孝でごめんな。


そして気づいたらこの世界に転生していた。
現在5歳。
いつも二つ上の兄に虐められていた。
俺の家は子爵、兄は嫡男だからと優遇されていた。
俺はスペア扱いだ。
それを兄は程よく勘違いして俺をおもちゃ扱い。

さっきも兄に突き飛ばされて池に落ちて高熱が出た。
そのショックからなのだろうか、ふと前世のことを思い出したのだ。

苦痛しかない毎日に今世俺は飽きていた。
熱が下がり、体が動くようになると兄の目をかいくぐって屋敷の外に出た。



5歳児にとっては広大な庭をこえ、門の横の使用人用の扉からこっそり外に出る。
家の前の道は閑散としている。
道を挟んだ向かえは草が鬱蒼と茂っている。

「こっちはなし」

道を右から左へと眺めるとどこまでも長く繋がっているようだ。

「…右」

俺は適当に右を向いて道をまっすぐと進み始めた。



しばらく歩いても自分の家の塀が続くばかり。
飽きてきたころ、ようやくそれが途切れた。
そしてその先は下り坂になっている。
坂の下には馬車道が続いていて、その先には建物がたくさん建っている様子がみえる。

「よし」

ひとまず俺はそこを目指すことにした。



たどり着いたそこは街だった。
様々な人々が生活し、商いを営んでいる。

「見たことない果物…」

紫色のリンゴのようなものや、黄色いイチゴのようなもの、家の食卓では見たことないものばかりで新鮮だった。
肉屋や魚屋に並べられている生き物も、前世から考えると異形だった。

「おいこら、お前、今ぶつかっただろ」

「あぶねぇな、どこみて歩いてんだよ」

「へ?」

俺が振り向くと、兄と同じ年くらいの男の子二人が俺にガンを飛ばしている。

「謝れよ」

「謝れ謝れ」

二人は俺の肩を押して地面に体をたたきつける。

「ぶつかってねぇから謝らねぇよ」

俺は睨み返した。

「生意気だぞ!」

一人が殴り掛かってくる。
俺は非力だから、何もできない。
そう目を閉じて来る衝撃に備えた。








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