魔法少女に就職希望!

浅上秀

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第十一章 負けられない戦いが

第三話 ボスの居場所を聞き出せ

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「でもさ、結局ボスってどこにいるのかしら」

「こっちの方角であっているとは思うんだけど…」

正確な場所がわからないためあてもなく走っているのだ。

「魔法で、探せ、ないんですか?」

「そうですよ、魔法、使いましょ」

「そろそろ、身体がっ」

新人三人は基礎体力が足りていないのかバテそうだ。

「一端、休憩にしましょうか」

アズの提案で皆で塀に腰かける。

「我らを癒し給え、ヒール」

魔力に余裕のあるユリが皆に癒し魔法をかける。

「はぁ、気持ちい。さすがユリさんです!」

先日の新人研修の一件からユリになついているアヤネが目を輝かせる。

「我らに飲み水を、ウォーティー」

アミも魔力に余剰があったので皆に飲み水を出した。

「美味しい…かも」

サヤカも先日の一件でアミを見直していた。
それはリサも一緒だった。

「どうやってボスを探しましょうか…」

「探し物を探す魔法とかあるんだけど、無機物限定だし」

サヤカが答える。

「迷子を捜す魔法はその人の一部がないとわからないし」

アミが答える。

「もうこうなったら…怪人から聞き出す?」

皆が困っていたところ、突然ミヅキが提案する。

「聞き出すって…どうやってやるのよ」

「うーん、拷問とか?」

「ええええ、怪人相手に拷問ですか!!??」

アヤネが戦く。

「それいいかも…」

ユリが頷く。

「自白させる魔法とか、あったよね?」

アズがミヅキに尋ねる。

「私、使える」

ミヅキがロットを握りしめて頷いた。

「よし、やろう!」

「でも怪人を倒さずに生け捕りって…倒すよりも難しそう」

ユリが苦笑する。

「たしかに」

大変なことだとは分かっていたが、ボスを見つけるためにはやむおえないと全員一致で怪人を生け捕りする運びとなったのだった。
そして休憩し少し回復した七人は再び走り出した。



「で、そういう時に限って怪人出てこないのよね…」

先ほどまでの怪人ラッシュが嘘かのように怪人がぱたりといなくなってしまった。

「おかしいなぁ…こっちじゃないのかな」

「普通怪人が発生した場所に近づいたら怪人増えるはずよね?」

「確かに」

「待ってください!」

風魔法で探知していたアヤネが皆を呼び止める。

「どうしたの?」

「これ…罠です!」

「え」



「くくく、気付いたところでもう遅い」

天井に張り付いていたクモ怪人が降りてくる。

「抜群に化粧した時、彼氏とのデート中、小学生の頃…」

天井からカラス怪人も降りてきた。

「そんな時に遭遇するのが我ら」

「イヤナモノズ」

「と申します」

ふぁさっとクモ怪人が蜘蛛の巣を落とす。

「顔に落ちてきて不快で払う」

ぼたっとカラス怪人が糞を落とす。

「頭の上に糞を降らす」

「なんなのこいつら…」

「でも技はこれだけっぽくない?」

「私でも虫ダメなんだよね…」

「この都会っ子がっ!」

「私はカラスダメなの。昔頭つつかれてさ」

「私逆に糞降らされたから恨みしかない」

「ユリ行きなよ」

「蜘蛛は誰行く?」

そんな問答をしている間に一羽と一体はしびれを切らしたようで七人に迫ってくる。

「ああ、もう、私行くってばっ」

「あのものを捕え給え。ケージ」

ユリは鉄格子のようなケージにカラス怪人を閉じ込める。

「んぎゃああああ」

カラス怪人はもがいてなんとか出ようとするがケージはビクともしない。

「あのものを捕まえ給え。虫鳥籠カモーン」

巨大な虫鳥籠の中にくも怪人も閉じ込められた。

「ミヅキ、今よ」

「任せて。かの情報を話し給え。コンファッション」

するとミヅキの魔法にかかった怪人たちが急におとなしくなる。

「そう長くは維持できないわ…早く情報を」

「わかった。おまえたち、ボスの居場所を吐きなさい」

「はい、ボスは・・・」



「聞き出せたわね」

「それじゃあサクッと倒しましょ」

くも怪人とカラス怪人を倒して聞き出した情報を元に七人は再び走り出すのだった。








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