魔法少女に就職希望!

浅上秀

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第二章 新たなる魔法少女の登場

第五話 ライバルを知る

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「エグチさん!」

怪人退治から一度、魔法少女教会に戻ったアミは廊下で見かけたエグチを呼び止めた。

「おや、どうしましたか?」

エグチは白衣の襟を直しながらアミに笑いかける。

「あの、実はユリさんのことで…」

「あぁ、ユリがどうかしたのかな?」

「いつも私怪人退治の時に先に倒されてしまって…悔しいんですけど全然勝てなくて…」

エグチは落ち込むアミを笑い飛ばした。

「ははは、それはしょうがないよ。キャリアが違うもの」

「キャリア?」

「あぁ、彼女は高校生の頃から魔法少女なのだからね」

エグチは笑いながらアミに教えてくれた。

「ええええ高校生ですか!?」

「そうだよ。最初の頃、彼女もいつもボロボロでね」

エグチは懐かしそうにユリのことを話してくれる。

「え、あのユリさんがボロボロな姿なんて想像できないです」

「今でこそ一撃で倒せるみたいだけどね。相当努力していたよ…」

アミはユリに対して誤解していたのではないかと思った。

「あ、でも一つだけ分かり合えないことが…」

「ん?なんだい?」

エグチが優しくアミの続きを促してくれる。

「あの、私は魔法少女としてのこの力を絶対世界のために役立てたい、役立てるべきだと思っているんです」

「ふむふむ」

「でもユリさんは…自分のために使うものだっておっしゃっていて…どちらが正しいのか分からなくて…」

アミが視線を床に落とす。
エグチは腕を組みながらアミの疑問に答えた。

「それはどっちが正しいと白黒つけねばならないものなのかな?」

「え?どういうことですか?」

「どっちにもどっちの信念がある、それでいいじゃないか」

エグチは笑顔を消して一瞬だけ急に真顔になった。

「え、エグチ、さん?」

「…それじゃあ今日はお疲れ」

エグチはアミに後ろ手に手を振りながらその場を去っていってしまったのだった。










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