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カイトは高校生活の最後にユウタと離れる決心をした。
大学こそは違う学校に通い、青春を取り戻すために。
そこでカイトはまずユウタの受ける大学リサーチし始めた。
「ユウタ、お前、大学どうするんだ?」
「考え中かな。とりあえず文系学部にはしようと思ってる。化学とか嫌いだし」
確かにユウタは理数系の科目が少し苦手だ。
「へぇ~そうなんだ…」
カイトは逆に理数科目が得意だったので、理系に行くことは決めていた。
この時点で学部が被ることはないと心の中でカイトはガッツポーズをする。
「カイトは?もう大学決めた?」
ユウタがカイトの顔をのぞき込んでくる。
「あ、いや、俺も考え中だけど…でも親のこと考えたら国公立かなとは思ってる」
これは本心だった。
母親に苦労をあまりかけさせたくない、と常々カイトは思っていたのだ。
「そうなんだ…でももしできたらカイトと一緒の大学に行きたいな」
ユウタはまるで太陽が反射したようなまぶしい笑顔でカイトにそう言った。
カイトはその笑みを見て思わずフリーズするのだった。
…
それからあっという間に二人は受験勉強で忙しくなったが、基本的には今までと変わらず一緒に行動していた。
図書館やお互いの家で一緒に勉強していた。
カイトはユウタの志望大学を模試の結果を覗き見たりしてそれとなくリサーチした。
情報をふまえてカイトは何気なくユウタが書いている大学を避けながら模試を受けたり出願をすすめていったのだった。
…
そしていよいよ、カイトの第一志望の大学の合格発表日がやって来た。
カイトはあまり自信がなかった。
不安にかられながら合格発表の時間が刻一刻と迫っていることを感じている、
「ほら、早く行っといで」
「へいへい…」
母親に背中を押されて家を出る。
大学までの道のりはなんだかとても長く感じた。
大学の正門をくぐると既に大勢の受験生が掲示板の前で泣いたり、笑ったりしている。
「すいません、ちょっと通してください、すいません…」
人ごみをかき分けながら掲示板の前に進む。
ポケットから受験票を取り出して自分の番号を確かめて、意を決して掲示板を見た。
「…あった、あったぁあああ!!!」
満足したカイトは人ごみを抜け出して軽快に正門に向かう。
「あれ、カイト?」
後ろからかけられた声に振り向くとそこにはユウタがいた。
「え、ユウタ!?なんでここに!?」
「第一志望校、ここだもん」
「えええええええ」
あんなにリサーチしたのに、とカイトは肩を落とす。
それをユウタは勘違いしたのか慌て始めた。
「もしかしてダメだったのか!?」
ユウタが駆け寄ってくる。
「う、ううん、受かったよ」
微笑むカイトにユウタも笑顔になった。
「やったな、学部は違うけど四年間また一緒だな」
「う、うん」
「あらカイトくんも受かったの?」
ユウタの後ろからユウタの母親が現れた。
「あ、はい」
「それじゃあ一緒にお祝いしましょうか」
「え、いいんですか?」
「もちろんよ、カイトくんのお母さんにはもう連絡したの?」
「いえ、まだです」
「早く連絡してあげなさいよ、待ってるわよきっと」
「は、はい!」
母親にカイトは慌てて連絡をした。
カイトの母親はものすごく喜んでくれて、ユウタと合同でお祝いをすることも大賛成だった。
…
こうしてまたユウタと一緒にいることになるカイトであった。
大学こそは違う学校に通い、青春を取り戻すために。
そこでカイトはまずユウタの受ける大学リサーチし始めた。
「ユウタ、お前、大学どうするんだ?」
「考え中かな。とりあえず文系学部にはしようと思ってる。化学とか嫌いだし」
確かにユウタは理数系の科目が少し苦手だ。
「へぇ~そうなんだ…」
カイトは逆に理数科目が得意だったので、理系に行くことは決めていた。
この時点で学部が被ることはないと心の中でカイトはガッツポーズをする。
「カイトは?もう大学決めた?」
ユウタがカイトの顔をのぞき込んでくる。
「あ、いや、俺も考え中だけど…でも親のこと考えたら国公立かなとは思ってる」
これは本心だった。
母親に苦労をあまりかけさせたくない、と常々カイトは思っていたのだ。
「そうなんだ…でももしできたらカイトと一緒の大学に行きたいな」
ユウタはまるで太陽が反射したようなまぶしい笑顔でカイトにそう言った。
カイトはその笑みを見て思わずフリーズするのだった。
…
それからあっという間に二人は受験勉強で忙しくなったが、基本的には今までと変わらず一緒に行動していた。
図書館やお互いの家で一緒に勉強していた。
カイトはユウタの志望大学を模試の結果を覗き見たりしてそれとなくリサーチした。
情報をふまえてカイトは何気なくユウタが書いている大学を避けながら模試を受けたり出願をすすめていったのだった。
…
そしていよいよ、カイトの第一志望の大学の合格発表日がやって来た。
カイトはあまり自信がなかった。
不安にかられながら合格発表の時間が刻一刻と迫っていることを感じている、
「ほら、早く行っといで」
「へいへい…」
母親に背中を押されて家を出る。
大学までの道のりはなんだかとても長く感じた。
大学の正門をくぐると既に大勢の受験生が掲示板の前で泣いたり、笑ったりしている。
「すいません、ちょっと通してください、すいません…」
人ごみをかき分けながら掲示板の前に進む。
ポケットから受験票を取り出して自分の番号を確かめて、意を決して掲示板を見た。
「…あった、あったぁあああ!!!」
満足したカイトは人ごみを抜け出して軽快に正門に向かう。
「あれ、カイト?」
後ろからかけられた声に振り向くとそこにはユウタがいた。
「え、ユウタ!?なんでここに!?」
「第一志望校、ここだもん」
「えええええええ」
あんなにリサーチしたのに、とカイトは肩を落とす。
それをユウタは勘違いしたのか慌て始めた。
「もしかしてダメだったのか!?」
ユウタが駆け寄ってくる。
「う、ううん、受かったよ」
微笑むカイトにユウタも笑顔になった。
「やったな、学部は違うけど四年間また一緒だな」
「う、うん」
「あらカイトくんも受かったの?」
ユウタの後ろからユウタの母親が現れた。
「あ、はい」
「それじゃあ一緒にお祝いしましょうか」
「え、いいんですか?」
「もちろんよ、カイトくんのお母さんにはもう連絡したの?」
「いえ、まだです」
「早く連絡してあげなさいよ、待ってるわよきっと」
「は、はい!」
母親にカイトは慌てて連絡をした。
カイトの母親はものすごく喜んでくれて、ユウタと合同でお祝いをすることも大賛成だった。
…
こうしてまたユウタと一緒にいることになるカイトであった。
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