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”恋愛”というものが少しづつわかり始めたカイト。
そんな彼にとってある一つの転機ともいえる出来事が起こった。



その日のカイトは彼のクラスメートに放課後、とある場所に呼び出されるというシュチエーションに少なからず心が踊っていた。
なにせ呼び出された場所は告白の定番ともいえる学校の校舎裏の人気の少なそうな場所である。

「いやこれはも絶対に告白だろ!くぅ~人生初の告白、万歳!!!」

まだ告白されると決まったわけではないのにカイトは浮かれに浮かれ切っていた。
呼び出された場所に行くと、先に到着してカイトのことを待っていたカイトのクラスメートは目を見開いて嬉しそうにカイトに向かって微笑む。

「ごめん、待たせちゃったかな?」

「う、ううん、今さっき来たところだから大丈夫だよ」

もじもじと身体を揺らすクラスメート。
カイトは待ちに待った念願のあの言葉コクハクを聞くために心の準備を整える。

「そ、それで話って何かな?」

「あ、あの…カイトくんのことが好きです。良かったら付き合ってくれませんか?」

ようやく俺にも春が来た、とカイトが心の中で盛大にガッツポーズをしたのもつかの間だった。

「あれ、カイト?こんなところで一体、何してるんだ?」

カイトが告白の答えを返す前になぜかユウタが校舎裏に来てしまったのだ。

「あ、ユウタ、くん…」

「ん?」

カイトはこの時、相手の様子で重大なことに気づいてしまった。
このクラスメートはカイトが好きなわけではないと。

何よりもカイトを前にした照れ具合とユウタを前にしたときのそれとでは明らかな差がある。
先ほどよりも顔が上気して目が潤んでいて、声も甘くて…カイトは考え出すとどんどんと気が遠くなる気がした。
なんとも居心地の悪い気分になったカイトはその場からさっさと立ち去ってしまいたく思った。

「あ~悪いけど、断らせてもらうわ」

カイトはその場にユウタと告白してくれた相手を置き去りにして半泣きで走り去る。

「え、あ、カイト、ちょっと!!!」

ユウタの声を無視してひたすらに家路をかけたのだった。



カイトはその日、帰宅してからというものすっかり落ち込んでしまい部屋から出てこなかった。
ユウタは何度かカイトの部屋のドアの外から声をかけたが返答は何もない。
しかしそのカイトの態度がユウタの何かに火をつけてしまうのだった。

「あいつのせいで、カイトが傷ついた」

カイトに避けられているフラストレーションと怒りはあの日カイトに告白していた人間に向けられたが、それをカイトは知る由もなかった…。



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