学校にいる人たちの卑猥な日常

浅上秀

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イケナイ家庭訪問

前編

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FILE11  牛尾(親) × 杉浦 (教師)



家庭訪問。
それは年に一度、担任が生徒の家庭環境を知るために各家庭を訪問する唯一のタイミング。

「お邪魔します」

その日、杉浦は牛尾という生徒の家を訪問していた。
昨年も杉浦は牛尾の担任をしていたためこれで二度目の家庭訪問だ。

「すみません、散らかっていて」

出迎えてくれたのは牛尾の父親だった。
仕立てのよさそうなネイビーのスーツとアイロンのかかったシワのない真っ白いワイシャツを身に着けている。
牛尾の母親は子供が幼いころに亡くなったそうで男手一つで育て上げた。
昨年は最後の訪問だったので牛尾の父に流される形で一緒に酒を酌み交わした思い出がある。

「いえいえ、きれいなお部屋ですね」

杉浦はリビングのソファに腰かけた。
肝心の本人は部活の遠征で今日は不在だ。

「息子がいないのになんだか申し訳ないですね」

「私も予定がなかなか合わずにすみません」

牛尾は平日、サラリーマンとして働いているためなかなか日程を合わせられなかった。
杉浦も担任だけでなく部活も受け持っており、土曜日の午後というイレギュラーな時間の訪問となった。
リビングに案内されてL字型のソファに腰かけた。

「まぁお茶でもどうぞ」

牛尾は座った杉浦の前にお茶を置いた。

「ありがとうございます。いただきます」

杉浦は牛尾が入れてくれた緑茶を一口飲む。
外が暑かったのでよく冷えたお茶が身体に沁みる。
杉浦の斜め向かいに牛尾の父は座った。

「それでは早速牛尾くんについてお話させてください。こちらが現在の成績表です」

「拝見します」

牛尾は杉浦から受け取った紙を熱心に見ている。

「勉強の面では問題なさそうです。今のペースなら志望校も合格圏内かと」

「先生にそういっていただけるなら一安心です。教室ではどんな感じですか?」

「そうですね、同じ部活の生徒と仲がいいみたいですね。よく休み時間や放課後も一緒にいるところを見ますよ」

杉浦は学校での様子を思い出しながら答えた。

「そうですか。いやぁ息子がこの年になると誰と仲がいいのかさっぱりわからなくて」

「ご自宅で学校の話はされないんですか?」

「お恥ずかしいことに私の仕事の帰りが遅いこともあってなかなか顔を合わせられる時間も少ないもんで」

牛尾は頭の後ろをボリボリとかいた。

「お仕事お忙しいんですね」

「ありがたいことに。あぁ先生グラスが空っぽですね。もう一杯いかがですか?」

杉浦はよっぽど喉が渇いていたようでグラスの中のお茶がもうなくなっていた。

「あ、はい、いただきます」

「ちょっと待っててくださいね」

牛尾は立ち上がるとキッチンに向かった。

「しかしこの緑茶、おいしいですね。どちらのなんですか?」

「それが特注なんですよ。業者さんに無理言って作ってもらいまして」

「はぁそうでしたか」




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