開発されに通院中

浅上秀

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番外編 産婦人科の荒木先生

6話

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「なんだよ、用がなけりゃ来ちゃダメかよ」

男は荒木の弟、名前はハヤトという。

「はっ、用がない時に来たためしはねぇだろ」

「たしかに」

ハヤトはビールの缶を潰すと荒木を睨んだ。

「あいつ、危篤だって」

「ほぉ」

2人の間であいつとは母親のことを指していた。
2人の母親は長らく売春宿を経営する傍ら自らも花を売っていた。
そのせいで2人とも父親が異なっているばかりでなく、顔も知らずに育ったのである。

「興味ないってか?」

「あぁ。俺は縁を切ったからな」

「それは俺もだよ」

沈黙が流れる。

「しかしお前は俺みたいにならなくてよかったな」

「あんたみたいな変態医者にはなりたくないって思って育ったからなぁ」

悪戯っぽくハヤトが笑う。

「そうか」

荒木も口角を上げて答えた。



「しかしハヤトはザルだな」

荒木が冷蔵庫にストックしておいた1ダース分のビールのほとんどをハヤトが飲み干してしまった。

「じゃないとホストなんかやってらんねーよ」

最後の缶を握りったハヤトが答える。

「アルコールの負担が肝臓にいきすぎないようにしろよ。あとは脳の萎縮と…」

「あーあー、これだから医者はうるせぇんだよ」

ハヤトが鬱陶しそうに手を払う。

「じゃあ黙らせてみろよ」

荒木が挑発するように鼻で笑う。

「あ?」

少しイラついたのかハヤトが缶を机に叩きつける。
そしてそれまで腰掛けていたダイニングテーブルの近くにあった椅子から立ち上がり、荒木のいるソファに近づいてくる。

「お?なんだ?」

荒木は挑発をやめない。

「舐めんなよ」

舌舐めずりをしたハヤトが荒木に跨る。
そしてそのまま唇を奪った。

「んはっ、物理的に塞ぎにくるとは思わなかった」

「黙れって…んんっ」

唇を合わせるだけでなく、ハヤトの舌が荒木の口内を激しく動きまわり荒木の舌を捕らえて嬲りはじめる。

「んんっ、んっ」









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