開発されに通院中

浅上秀

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ラブラブな生活を送っています編

1話

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「猛、たーけるー、起きてー」

目覚ましのアラームではなく、真壁の声がする。

「んん、おはよ」

近藤は目をこすりながらのそりとベットから起き上る。

「おはよ」

真壁が軽くキスを落とす。

「先に行くね、朝ご飯作ってあるから」

「ん、ありがと」

真壁は近藤の頭を一撫すると部屋を出て行こうとする。
近藤は慌ててベットから降りると真壁を追いかけた。

真壁はカバンを片手に玄関で靴を履いていた。

「いってらっしゃい」

「いってきます」

靴を履いた真壁に近藤はキスをした。
二人は同棲を始めてからなんとなく、寝起きと家を出る時、帰ってきた時などことあるごとにキスをするようになっていた。

真壁は名残惜しそうにドアを開けて出て行く。
近藤は真壁を見送ると、用意してもらった朝食を食べて身支度を整えた。



「おはようございます」

近藤が出社すると待ってましたとばかりに走り寄ってくる後輩がいる。

「あ、おはよう」

彼女は大柄な近藤と並ぶと小動物のようで加護欲をそそられると女性社員が話していた。

「あの、先日の件なんですけど…」

近藤は真剣に彼女の質問に答える。
その姿に一部からは羨望の視線が送られていることに近藤本人だけが気付いていないのだった。



一方、真壁は病院で今日も忙しくしていた。

「おはようございます」

「あ、おはよう」

腰をおさえた坂下が現われた。

「おや、どうしたんだい、腰でも痛めたのかい?」

「え、まぁ、はい…」

坂下は視線を宙にさまよわせて誤魔化した。

「はは、若いね君も」

坂下がお前もなとココロ中で思っていることを知らずに、真壁は仕事にとりかかる。

「今日は夕方から会議が一つと、予約の患者さんが三名、あとは先日の〇〇様の検査結果出てます」

「わかった。〇〇様に連絡しといて」

「かしこまりました」

二人は気を抜くと恋人のことを思い出して惚けてしまいそうだったので、いつも以上に気を引き締めていた。



「お疲れ様です~」

「あぁ、お疲れ」

近藤はいつも通り、きびきびと仕事を終えてさっさと帰宅しようとしていた。
帰る間際にスマホを開くと真壁から連絡が入っている。
どうやら会議で遅くなるようだった。

「飯、どうしよっかな」

ぼそりとこぼれた独り言を彼女が聞いていたようだ。

「あ、あの、近藤さん…」

「ん?」

近藤がスマホから顔をあげると彼女が上目遣いで近藤を見ている。

「これから、一緒にご飯でもどうですか?気になるお店あって…」

一瞬、近藤は目を瞬かせた。

「気持ちは嬉しいが今日は家で食べるから」

「そ、そうですか…じゃあまた今度」

「あぁ、機会があれば」

彼女は肩を落としながら去っていったが、近藤は真壁への返信に夢中で気が付いていなかった。







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