おじさんとボク

浅上秀

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帰省デート

突然の雨

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「さて、そろそろ帰ろうか」

「そうですね」

二人はベンチから立ち上がり、近くのゴミ捨て場にゴミを捨てた時だった。
ポツリポツリと頬に雫が触れた。

「今日、雨予報だっけ?」

「朝のお天気コーナーでは晴れと聞いていたのですが…」

ミノルくんも「おじさん」も傘を持ってきていなかった。
神社を出てすぐのころには小ぶりだった雨は徐々に粒を大きくしていく。
次第に前が見えないほど本格的に降り始めた。

「ミノルくん、あそこで雨宿りでもしようか」

「は、はい」

二人が駆け込んだ場所はホテルだった。

「ミノルくんはそこに座っていてくれ。受付をしてくるよ」

「あ、ありがとうございます」

ミノルくんはエントランスに置いてあるソファの一つに座ろうとしたが生憎服が濡れていたのでやめておいた。
外の様子は何も見えない。
しょうがないのでエントランスに置いてある調度品を眺めることにした。

「お待たせ。さぁ部屋に行こうか」

「おじさん」の手にはカードキーが握られていた。
エレベーターに乗り込んで部屋に向かう。

「508…ここだな」

二人で部屋に入る。
白いソファにガラステーブル、そして真ん中には大きなベットが一つあった。

「風邪をひいたら困るから先にお風呂に入っておいで」

「え、いいんですか!?」

「うん、いいよ、行っておいで」

ミノルくんは脱衣所に入った。
軽くシャワーを浴びておいてあったバスローブを身に着ける。

「お待たせしました」

ミノルくんが出てくるとおじさんはソファに座って携帯を見ていた。

「早かったね。ゆっくり温まったかな?」

「はい、もちろんです」

「それじゃあ行ってくるね」

「ごゆっくり」

ミノルくんは快く「おじさん」を見送る。
暇つぶしにでもとテレビをかけてみた。

「あああんっ」

女の人の大きな喘ぎ声が響いた。

「えっ」

ミノルくんは慌ててチャンネルを変える。
しかし変えても変えても卑猥なビデオしか映らない。

「もしかしてここって…」

棚の中を探ると所謂大人のおもちゃだとかローションだとかが見つかる。

「こ、ここがラブホテルという場所なんでしょうか。はわわわ、ど、どうしましょう」

どうしようもないのだがミノルくんはアワアワしていた。

とりあえず服を乾かそうとエアコンをつけてみる。
すると触ったボタンが悪かったのか部屋の中の照明が色を変え、急にエロティックな雰囲気が満載になってしまった。

「えええええ」

ミノルくんは慌ててボタンを押して元も部屋の明るさに戻そうとする。
しかしラジオがかかったり玄関の照明が消えたりと全く元の明るさに戻る気配がない。
ミノルくんは途方に暮れてしまった。



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