おじさんとボク

浅上秀

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憧れの遊園地デート

初アトラクション体験

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「す、すごぉぉい!!」

電車とは違う、空中を旋回するレールに目をキラキラさせながらミノルくんは並び列に突撃していく。
「おじさん」はここに来るまでの間になんだかげっそりしてしまったようだ。

「大丈夫ですか?」

ミノルくんが心配そうに「おじさん」の顔をのぞき込む。

「あ、う、うん」

「おじさん」は必死にタオルで額から垂れる汗をぬぐっている。
今日はさほど熱くはないが…。



並び列から乗り場までなんだかあっという間に二人は辿り着いてしまった。

「何名様ですか?」

「二人です」

ミノルくんがピースサインで答える。
その顔は未知なる乗り物への期待にあふれていて、乗り場の係員までも笑顔になってしまう。

「それでは荷物はこちらにお願いいたします。折角なので先頭へどうぞ」

「わーい!」

「ひっ」

スキップするかのように軽やかに先頭に向かったミノルくんとは対照的に「おじさん」は軽く悲鳴をあげた。

「楽しみですね!」

安全バーで体を固定したミノルくんが隣に座った「おじさん」を観る。

「ううう…」

「おじさん」は安全バーにしがみついてブツブツ呟いている。
ミノルくんはその様子に首を傾げながら出発の時を待った。



「はぁ!楽しかった!」

数秒の絶叫体験を経てもミノルくんの瞳はキラキラしている。
「おじさん」は出口付近のベンチで放心状態だが…。

「み、ミノルくんは元気だね」

「そうですか?」

ミノルくんは次のアトラクションを探すべく、マップを眺めている。

「もう次に行くのかい?」

「おじさん」は青い顔をしてミノルくんを見やった。

「はい!」

ミノルくんは次に乗りたいものを見つけたようで、「おじさん」の腕を引っ張って進み始める。

「さぁ!行きましょう!」

「あ、あぁ…」



そして到着したのはコーヒーカップ。
ジェットコースターよりも町列が短かったのですぐに二人の番になってしまった。

「真ん中のハンドルを回すとさらに回転させられますよ」

カップに乗り込んだミノルくんと「おじさん」にそう告げて去って行った係員を思わず「おじさん」は睨んでしまった。

「よ、余計なことを…!」

「うわぁ!動き始めましたよ!」

「うぉおおおお」

「わーい、グルグル!!」

ミノルくんは全力でハンドルを回し始める。
カップもそれに合わせて激しく回転し始めた。

「う、ぅぅぅううう、マッテ、ミノルくん、ま、待って、うううう」

「あははは!」

ミノルくんは「おじさん」の声が聞こえないようで変わらず全力でハンドルを回している。
カップから降りた「おじさん」がトイレに直行したのは言うまでもない。





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