モブな俺は秘密の恋人たちを見守ってます

浅上秀

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秘密の二人の関係に気づくまで

3話

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「おはよう」

「おはようございます」

次の日、俺が出勤すると既に店長と今野さんがいた。

「改めてよろしくね」

今野さんが俺に手を差し出してくる。

「は、はい。こちらこそよろしくお願いいたします」

俺は握手をしながら頭をさげた。



その後、俺は通常業務通りに開店前の清掃だったり品出しに入った。
店長と今野エリアマネージャーは二人で店舗の中を巡回して、チェックしているようだ。

「ここのレイアウトについてなんだけど、コンセプトは?」

「シャツなどをメインにしてオフィスワークの方向けにしてあります」

「それにしてはベルトはあちらのカセットに展開されていたよね?」

「ベルトはアイテムと一緒にまとめていました。後はボトムスのところにも何点か」

「でもプライベートよりもオフィスで使う人の方が多いからこっちに集積した方がいい」

「かしこまりました」

通りすがりに耳に入った二人の会話に俺は全くついていけなかった。

「ほへぇ」

「山田君どうした」

別の先輩社員が惚けていた俺に声をかける。

「い、いや、お二人ともすごいなぁと思って…」

「はは、そうだよな。あの新しく来たエリアマネージャー、相当やり手らしいぞ。海外の店舗の店長とかもやってたみたいだし」

「そんなにすごい人なんですか!?」

こう言っては失礼かもしれないが見た目は平凡なサラリーマンだ。

「じゃなきゃあの年でエリアマネージャーなんかなれないだろ」

「あの年って?」

「35って聞いたけど」

「え、若い!店長と変わらないじゃないですか!」

「だろ?」

「こら、二人とも口より手を動かす!」

俺と先輩は話に夢中で仕事をそっちのけにしていたことに気付いた。

「は、はい、すいません」

慌てて業務に戻るが、その日1日、店長と今野さんは二人でなにやら話し込んでいるのを見かけることが多かった。






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