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第十一章 一件落着
5話
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次の日の朝、目が覚めたグレンは久しぶりに腰に鈍痛を感じた。
「いってぇ」
身体を起こそうとしたものの、腰の痛みに耐えかねて再びベットに身体を沈めた。
「マルク、どこ行ったんだろ」
グレンにいたみを与えた張本人はベットの横にはいなかった。
「失礼いたします」
使用人が部屋に入ってくる。
「マルクは?」
「マルク様は先ほどお仕事に行かれましたよ」
「そっか…」
グレンは少しさびしさを覚えてしまう。
「お食事をお持ちいたしましたが、お身体は起こせそうですか?」
「あ、ああ」
腰が痛いことを言う前に察せられていて、グレンは恥ずかしさに頬を赤く染めた。
「マルク様がグレン様のご体調を気遣われて、お食事はお部屋にお運びするようにとおっしゃっておりましたよ」
簡易的なテーブルに朝食が並べられていく。
「ご無理をなさらずに食べられる範囲でどうぞ」
使用人はそういうと恭しく部屋を出て行った。
「ってぇ」
グレンはそっとベットから身体を起こすとテーブルの方を向いた。
食事からは湯気が出ており、とても美味しそうだ。
…
朝食を何とか完食したグレンは再びベットに横になった。
「あんなに寝たはずなのになぁ」
ふと眠気がグレンを襲う。
そのまま身を任せて夢の世界へと旅立つのだった。
「失礼いたします」
意識の遠い中、使用人が部屋に入ってくる気配がする。
寝ているグレンには声をかけずに食事の片づけをしてくれているようだ。
お礼を言わなければと頭ではわかっているのに、目が覚めない。
「失礼いたしました」
グレンが葛藤しているうちに使用人は部屋を出て行ってしまった。
そしてグレンは深い眠りに落ちていくのだった。
…
「あ、起きた」
再び目を覚ますとマルクがグレンの顔を覗き込んでいた。
「おはよ」
「おはよう。もう夜なのか?」
外はもう暗くなっていた。
「うん、一日中寝てたんだって?よっぽど昨日疲れた?」
マルクは意味深に口角をあげる。
「ま、まさか!」
グレンは慌てて起き上ろうとするが、腰の痛みは完治していなかった。
「いってぇ」
「ああ、やっぱり痛いよね…」
マルクが摩ってくれる。
「マルク、仕事は?」
グレンは若干、涙目で尋ねた。
「今日で全部終わり!明日から三カ月は休暇だよ」
「そ、そうか」
「グレンに淋しい思いをさせてごめんね。これからはずっと一緒だよ」
マルクがそっとグレンを抱きしめる。
「さ、淋しいだなんて…」
「僕はグレンに会えなくてすごく寂しかった。グレンがいるから僕がいるんだ。だから一緒にいてくれる?」
マルクが耳元で囁く。
「しょ、しょうがねぇなぁ」
グレンもそっとマルクの背中に手を回す。
マルクの怪しげな笑みには気付かないまま、グレンはマルクに身を委ねて目を瞑るのだった。
「いってぇ」
身体を起こそうとしたものの、腰の痛みに耐えかねて再びベットに身体を沈めた。
「マルク、どこ行ったんだろ」
グレンにいたみを与えた張本人はベットの横にはいなかった。
「失礼いたします」
使用人が部屋に入ってくる。
「マルクは?」
「マルク様は先ほどお仕事に行かれましたよ」
「そっか…」
グレンは少しさびしさを覚えてしまう。
「お食事をお持ちいたしましたが、お身体は起こせそうですか?」
「あ、ああ」
腰が痛いことを言う前に察せられていて、グレンは恥ずかしさに頬を赤く染めた。
「マルク様がグレン様のご体調を気遣われて、お食事はお部屋にお運びするようにとおっしゃっておりましたよ」
簡易的なテーブルに朝食が並べられていく。
「ご無理をなさらずに食べられる範囲でどうぞ」
使用人はそういうと恭しく部屋を出て行った。
「ってぇ」
グレンはそっとベットから身体を起こすとテーブルの方を向いた。
食事からは湯気が出ており、とても美味しそうだ。
…
朝食を何とか完食したグレンは再びベットに横になった。
「あんなに寝たはずなのになぁ」
ふと眠気がグレンを襲う。
そのまま身を任せて夢の世界へと旅立つのだった。
「失礼いたします」
意識の遠い中、使用人が部屋に入ってくる気配がする。
寝ているグレンには声をかけずに食事の片づけをしてくれているようだ。
お礼を言わなければと頭ではわかっているのに、目が覚めない。
「失礼いたしました」
グレンが葛藤しているうちに使用人は部屋を出て行ってしまった。
そしてグレンは深い眠りに落ちていくのだった。
…
「あ、起きた」
再び目を覚ますとマルクがグレンの顔を覗き込んでいた。
「おはよ」
「おはよう。もう夜なのか?」
外はもう暗くなっていた。
「うん、一日中寝てたんだって?よっぽど昨日疲れた?」
マルクは意味深に口角をあげる。
「ま、まさか!」
グレンは慌てて起き上ろうとするが、腰の痛みは完治していなかった。
「いってぇ」
「ああ、やっぱり痛いよね…」
マルクが摩ってくれる。
「マルク、仕事は?」
グレンは若干、涙目で尋ねた。
「今日で全部終わり!明日から三カ月は休暇だよ」
「そ、そうか」
「グレンに淋しい思いをさせてごめんね。これからはずっと一緒だよ」
マルクがそっとグレンを抱きしめる。
「さ、淋しいだなんて…」
「僕はグレンに会えなくてすごく寂しかった。グレンがいるから僕がいるんだ。だから一緒にいてくれる?」
マルクが耳元で囁く。
「しょ、しょうがねぇなぁ」
グレンもそっとマルクの背中に手を回す。
マルクの怪しげな笑みには気付かないまま、グレンはマルクに身を委ねて目を瞑るのだった。
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