ダンジョン行くなら監禁するよ?

浅上秀

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本編完結後 番外編

ある平穏な日の話 前編

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「危ないからあんまりはしゃぐなよ」

「はぁ~い」

「あっちで遊ぼ!」

「うん!!」

二人の子供が中庭を走りまわる。

「はぁ、外はいいなぁ…」

グレンは大きく空に向かって伸びをした。
子供たちは二人ともグレンとマルクの間にできた子供だ。
色々と不安はあったものの、二人とも健やかに成長していることがグレンの日々の喜びだ。
今日は本当はマルクも一緒に来る予定だったが、急な仕事で来れなくなった。

「元気だな、あいつら」

グレンは木に登ったり、そこらへん走り回る自分の子供を眺めながら幼いころマルクと二人で遊んでいた時のことを思い出していた。

「そろそろ戻るぞ、腹減った」

三人で邸の中に戻って昼ご飯を食べる。

「…あのね、お話聞いてほしいんだけど」

遊び疲れて眠った次男をベットに寝かせると長男がグレンの裾を引っ張ってきた。

「どうした?」

二人でソファに腰かける。

「あの、そのね…僕、冒険者になりたいんだ」

「急にどうした」

長男は物静かでどちらかというと剣よりも本が好きだ。
次男と遊ぶ以外はよく図書室に籠っている。

「本に出てきたものを実際に自分の目で見てみたいんだ」

もじもじしながらもはっきりと答える長男がまぶしく見える。

「そっか…俺はいいと思うぜ」

「本当!?じゃあ、今度ダンジョンに連れて行ってよ!!あそこにはね…」

長男は目を輝かせながら本で見た植物や動物の名前、特徴を次々に話してくれる。
その姿は親の贔屓目なしでも非常に可愛らしい。
そんなかわいい子供の願いをグレンはかなえてやりたかった。

「わかった。連れてってやるよ」

グリグリと長男の頭を撫でると嬉しそうに彼ははにかむのだった。



その日、子供たちが眠りについてから帰ってきたマルクにグレンは長男の思いを話した。

「あいつ、冒険者になりたいんだって」

「へぇ、驚いた。あの子は学者になりたいのかと思ってたよ」

「本で読んだものを実際に見てみたいんだとよ」

「そっか」

「だから今度一緒にダンジョンに行こうって…」

「ダメだからね」

マルクがグレンの言葉を遮る。

「は?」

「ダンジョンは行っちゃダメって約束だよね?忘れたの?」

「いや、そうじゃねーけど。俺だってもういい大人だぜ?」

「ううん、ダメなものはダメ。どうしても行くなら僕も行くから」

「は?マルク仕事休めないだろ」

「ううん、そろそろ長期休暇取らないとまずいからちょうどいいよ」

「…そうなのか?」

「うん、とりあえず明日あの子が起きてから改めて話そうよ」

「わかった」

グレンは若干納得のいかないままその日は眠りにつくのだった。


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