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会社の毒華
9話
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「しかしこれだけのゴミを漁るのは一苦労だぞ…」
目視だけでもかなりの量の袋が見える。
その奥にも袋が埋まっているだろう。
「た、たしかに…ちょっと量が多いっすね」
デンも少し引いている。
「まぁでもゴミ漁りなら慣れたもんだろ、やるか」
「うす」
二人は内心、ここに本当に真実が埋まっているのか疑いながらも一つ一つゴミ袋を開けるのだった。
「シュレッターのゴミばかりだな」
「さすがに裁断しちゃったのはわからないっすね」
シュレッダーゴミをとりあえず後回しにしてその他のゴミを探る。
「ん?こんなのありましたっけ?」
デンが見つけたのは不燃ゴミの袋に包まれた真っ白な鉢植えの鉢だった。
「あったような気もするが…これまだ使えそうだよな。誰だよ捨てたの」
少し土で汚れているが欠けたところもなくゴミには見えない。
「一応、避けておくっす」
その後も二人でゴミを漁ってみたがこれといって毒に関するものは見つけられなかった。
「怪しいのはこの鉢くらいか…」
「一体これって何に使われてたんすかね」
二人で事務所の中に持ち帰って考えてみる。
「…あ!」
梅迫は急に何かを思い出し社長室に駆け込んだ。
「梅さん、急にどうしたんすか」
デンも梅迫の後を追って社長室に駆け込んだ。
「やっぱりない」
「え?」
梅迫は社長室の窓際に立って床を見ている。
「ここに鉢植えの花があったんだよ。なんでも社長がお客さんからもらったらしいんだが…その花にも葉にも樹液にも毒がある恐ろしい植物だったみたいで、娘が口に入れたら困るとかで何年か前からここに置いてたんだ」
「そういえばそんなのあったようななかったような」
デンは頭をひねるがはっきりとは思い出せなかった。
「社長は枯らしてさっさと捨てたがってたんだがしぶとい奴でな…それにしてもなんだったかなあの花の名前…」
梅迫は頭をひねって考えるが思い出せなかったようだ。
「いいっすよ、あとでネットで検索してみるっす。もしかしたら犯人はその花か葉か樹液を社長に食わせて殺した、って線がありえるっすよね」
「そうなったら多分あの鉢植え証拠品になっちまうぞ…軍手しててよかったな」
「でも鉢植えに入ってた土とか花とかはどこに行ったんすかね」
「捨てた、だろうな。誰かが」
「それも探さないとっすね」
「ん?電話だ」
捨てられた土や花を探そうと立ち上がった時、梅迫の携帯が震えた。
「はい、梅迫です。え、奥さん、どうされましたか?」
電話をかけてきたのは岳剛社長の奥さんだった。
「梅迫さん、ごめんなさい急に。少しだけお耳に入れたいお話があって」
「な、なんでしょう」
「警察の方が先ほどいらしてしつこく主人の遺体が見つかった前日の夜のアリバイを確認されたんです。私は娘と夕食を食べていた時間だったのですが家族間だとアリバイの証明にはならないと言われてしまって…でも夕食に主人はいなかったんです」
「でも警察が疑うということは何か証拠のようなものがあったんですか?」
「ええ、警察がドライブレコーダーを調べたんですけど、車はその時間自宅から動いていないと言われてしまって。でも今日は夕食はいらないと主人からメッセージが来ていたし、主人の部屋には誰もいなかったからたぶん車を置いて外食してきただけだと思うんです」
「そうですね、その時間は私も池田も会社で仕事をしていましたが社長は会社にはいらっしゃらなかったので外食されていたんでしょうね」
「その外食先で主人は毒を口にしたんだと思うのですが、警察もどこのお店で食事したのかがわからないみたいで。私、あの日は主人が何時に帰ってきたかわからなくて、朝起きたらキッチンで主人がっ…」
「そうでしたか。しかしなぜそれを私に?」
「こんな話、義父様にも義母様にも娘にもできないので。それに何かお気づきのことがあればと思って」
「な、るほど」
奥さんの話はそれだけだったようでそのあとすぐに通話は切れた。
「奥さんから電話なんて珍しいっすね」
「あぁ、たぶん初めてだと思う。よほど切羽詰まっていたんだな」
「どうだったんすか?」
「前日、社長は家に車をおいてどこかで食事をして帰ってきたそうだ。食事してきた場所で毒を盛られたのだろう、というのが奥さんの見解らしい」
「食事した場所も探さなきゃいけないっすね」
デンと梅迫は再び頭を抱えたのだった。
目視だけでもかなりの量の袋が見える。
その奥にも袋が埋まっているだろう。
「た、たしかに…ちょっと量が多いっすね」
デンも少し引いている。
「まぁでもゴミ漁りなら慣れたもんだろ、やるか」
「うす」
二人は内心、ここに本当に真実が埋まっているのか疑いながらも一つ一つゴミ袋を開けるのだった。
「シュレッターのゴミばかりだな」
「さすがに裁断しちゃったのはわからないっすね」
シュレッダーゴミをとりあえず後回しにしてその他のゴミを探る。
「ん?こんなのありましたっけ?」
デンが見つけたのは不燃ゴミの袋に包まれた真っ白な鉢植えの鉢だった。
「あったような気もするが…これまだ使えそうだよな。誰だよ捨てたの」
少し土で汚れているが欠けたところもなくゴミには見えない。
「一応、避けておくっす」
その後も二人でゴミを漁ってみたがこれといって毒に関するものは見つけられなかった。
「怪しいのはこの鉢くらいか…」
「一体これって何に使われてたんすかね」
二人で事務所の中に持ち帰って考えてみる。
「…あ!」
梅迫は急に何かを思い出し社長室に駆け込んだ。
「梅さん、急にどうしたんすか」
デンも梅迫の後を追って社長室に駆け込んだ。
「やっぱりない」
「え?」
梅迫は社長室の窓際に立って床を見ている。
「ここに鉢植えの花があったんだよ。なんでも社長がお客さんからもらったらしいんだが…その花にも葉にも樹液にも毒がある恐ろしい植物だったみたいで、娘が口に入れたら困るとかで何年か前からここに置いてたんだ」
「そういえばそんなのあったようななかったような」
デンは頭をひねるがはっきりとは思い出せなかった。
「社長は枯らしてさっさと捨てたがってたんだがしぶとい奴でな…それにしてもなんだったかなあの花の名前…」
梅迫は頭をひねって考えるが思い出せなかったようだ。
「いいっすよ、あとでネットで検索してみるっす。もしかしたら犯人はその花か葉か樹液を社長に食わせて殺した、って線がありえるっすよね」
「そうなったら多分あの鉢植え証拠品になっちまうぞ…軍手しててよかったな」
「でも鉢植えに入ってた土とか花とかはどこに行ったんすかね」
「捨てた、だろうな。誰かが」
「それも探さないとっすね」
「ん?電話だ」
捨てられた土や花を探そうと立ち上がった時、梅迫の携帯が震えた。
「はい、梅迫です。え、奥さん、どうされましたか?」
電話をかけてきたのは岳剛社長の奥さんだった。
「梅迫さん、ごめんなさい急に。少しだけお耳に入れたいお話があって」
「な、なんでしょう」
「警察の方が先ほどいらしてしつこく主人の遺体が見つかった前日の夜のアリバイを確認されたんです。私は娘と夕食を食べていた時間だったのですが家族間だとアリバイの証明にはならないと言われてしまって…でも夕食に主人はいなかったんです」
「でも警察が疑うということは何か証拠のようなものがあったんですか?」
「ええ、警察がドライブレコーダーを調べたんですけど、車はその時間自宅から動いていないと言われてしまって。でも今日は夕食はいらないと主人からメッセージが来ていたし、主人の部屋には誰もいなかったからたぶん車を置いて外食してきただけだと思うんです」
「そうですね、その時間は私も池田も会社で仕事をしていましたが社長は会社にはいらっしゃらなかったので外食されていたんでしょうね」
「その外食先で主人は毒を口にしたんだと思うのですが、警察もどこのお店で食事したのかがわからないみたいで。私、あの日は主人が何時に帰ってきたかわからなくて、朝起きたらキッチンで主人がっ…」
「そうでしたか。しかしなぜそれを私に?」
「こんな話、義父様にも義母様にも娘にもできないので。それに何かお気づきのことがあればと思って」
「な、るほど」
奥さんの話はそれだけだったようでそのあとすぐに通話は切れた。
「奥さんから電話なんて珍しいっすね」
「あぁ、たぶん初めてだと思う。よほど切羽詰まっていたんだな」
「どうだったんすか?」
「前日、社長は家に車をおいてどこかで食事をして帰ってきたそうだ。食事してきた場所で毒を盛られたのだろう、というのが奥さんの見解らしい」
「食事した場所も探さなきゃいけないっすね」
デンと梅迫は再び頭を抱えたのだった。
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