マッサージはお好きですか?

浅上秀

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番外編

新人研修①

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それはある日のマッサージ前のことだった。

「実は佐藤様に折り入ってお願いがございまして」

いつもだと扉を閉めるとすぐに佐藤の服を脱がしにかかる渡辺が申し訳なさそうにそう言った。

「は、はい、なんでしょう」

佐藤はなんだかドギマギしてしまった。

「今度、新入社員が入るのですがそのための研修動画を取らなくてはいけないんです」

「はぁ」

「それで佐藤様にお願いできないかと。お顔はちゃんと隠させていただきますのでご安心ください」

「え、あ、まぁいいですよ」

動画くらいならと佐藤は軽く許可をだした。

「ありがとうございます!今日、早速ですがよろしいでしょうか?」

「あ、はい」

「では機材を用意いたしますので、お着替えになってお待ちください」

渡辺は部屋を出ていった。
佐藤はのそのそとスーツを脱いで用意されていた紙パンツ一丁になってベットに横たわった。
今日は普通のマッサージなのだろうか、それともいつも通りなのだろうか。
期待と不安で身体はどんどん熱くなっていく。

「失礼いたします」

渡辺さんが戻ってきた。
その手には三脚とビデオカメラが二台あった。

「こちらのカメラは固定でこちらは随所、私が手にもって撮影させていただきます」

「わかりました」

セッティングの終わった渡辺が佐藤の横たわるベットに近づく。

「それではうつ伏せの状態から始めさせていただきます」

「はい」

佐藤はうつぶせになろうと身体を起こす。
少しだけ立ち上がった自身が目に入った。
渡辺に気づかれないように背を向けながら身体を反転させる。

「ありがとうございます。苦しくはないでしょうか?」

顔をくぼみに合わせると渡辺が問いかけてきた。

「大丈夫です」

「それでは撮影も始めさせていただきますね」

「はい」

ピッ、という機械音がなった。

「最初に身体の状態から確認していきます」

肩、背中、腰の順番に手が触れていく。

「右肩と首の間とか腰のこの部分が特に固いですね。固いところで普段、どのようにその部分を使っているのかわかるのでお客様に後で姿勢の指導などができます」

佐藤の凝っている部分など渡辺には触らずとも熟知しているが、今回はあくまでも研修がメインのためか丁寧に説明してくれた。

「次に足です」

いつもは際の部分だったり、佐藤の気持ち居場所に触れてくれるが今回はあくまでもマッサージ。
ふくらはぎやひざの裏などを押される。

「痛くはございませんか?」

「大丈夫です」

指圧される場所はどこもピンポイントで佐藤のツボだ。
押されると程よい痛みと気持ちよさが走る。

「マッサージする順番も重要です」

渡辺は熱心にカメラに語り掛けている。
そうこうしているうちに背面のマッサージが終わったようだ。

「一度、カメラを止めましたので佐藤様、仰向けになっていただいてもよろしいでしょうか?」

「は、はい」

若干、佐藤はうとうとしていた。
眠たい頭を働かせて身体を起こす。



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