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社会人になったショウ
2話
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慣れない仕事に追われながらショウは研修を乗り越えついに配属先が決まった。
法人営業を担当することになり、挨拶回りや飲み会で今まで以上に忙しくなってくる。
全くと言っていいほどイツキにも会えず、欲望は積もりに積もっていくのだった。
そんなある日のことである。
その日も先輩に連れられて挨拶回りで取引先を回っていた。
「ちょっと早いけど今日はここが終わったら直帰していいぞ」
「え、いいんですか!?」
久しぶりに早く帰れそうだ。
イツキに一報いれながらガラス張りのビルのエントランスをくぐる。
「すみません、10時に御社の営業部の笠松部長とお約束をいただいている福丸商事と申します」
「伺っております。七階のA室へどうぞ」
「ありがとうございます」
受付嬢から入館証を受け取りエレベーターに乗り込む。
少し旧式で7階に到着するとガタリと揺れた。
「A室…ここですね」
部屋に入って先方が来るのを待つ。
しばらくすると扉がノックされて男性が二人入ってきた。
「失礼いたします」
「笠松部長、ご無沙汰しております」
「やぁ、君も元気そうでなによりだ。そちらは…」
「実は弊社に新人が入りまして本日はぜひともご挨拶にと」
ショウは名刺を取り出して挨拶する。
そして笠松部長の陰にいた男性が先輩に挨拶している。
「4月から部長代理として部長業務の補佐を行っております。よろしくおねがいいたします」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
先輩と男性が名刺交換をしていた。
その男性の声を聴いてまさかとは思ったが視線を向けて驚いた。
そこにはイツキがいたのだ。
「ほらお前も名刺交換してこい」
先輩に背中を押されてイツキと名刺を交換する。
視線が交じり合って指が触れた。
ショウはその瞬間、この場で感じてはいけない熱を覚えたがすぐに押し込める。
「よろしくお願いいたします」
「さ、どうぞおかけください」
結局、イツキはショウとの関係を口にすることなく今回のアポイントメントは終わった。
「それでは失礼いたします」
イツキに見送られながら先輩と二人でビルを出て先輩とはビルの前で別れた。
ショウが携帯をみるとイツキから連絡が入っていた。
しばらくビルの前で待っているとイツキが走ってくる。
「お待たせ」
「おう」
二人はショウの家に行くために駅に向かって歩き出す。
「さっきはびっくりしたよ。福丸商事さんが来るとは聞いていたけどまさかショウが来るなんて」
「俺だって…」
「ごめんね、親子ですって言えなくて。変に贔屓されたりしたら困るかなって思っちゃってさ」
「てっきり俺が息子だって言うの嫌なのかと思った」
ふと笑ったショウを見てイツキは目を瞬かせた。
「そんなこと絶対にないよ」
「ならよかった」
先日は気まずかったちょっとの沈黙も今日は心地よかった。
二人でショウの家に入ると玄関で唇を交わした。
反響する音の中、靴を脱いでカバンを床に落とす。
どちらともなく腕をひきベットに近づく。
お互いに身に着けているスーツもシャツもネクタイも下着も全てを脱がせていく。
ようやく素肌に触れあったときなんだか安堵していた。
法人営業を担当することになり、挨拶回りや飲み会で今まで以上に忙しくなってくる。
全くと言っていいほどイツキにも会えず、欲望は積もりに積もっていくのだった。
そんなある日のことである。
その日も先輩に連れられて挨拶回りで取引先を回っていた。
「ちょっと早いけど今日はここが終わったら直帰していいぞ」
「え、いいんですか!?」
久しぶりに早く帰れそうだ。
イツキに一報いれながらガラス張りのビルのエントランスをくぐる。
「すみません、10時に御社の営業部の笠松部長とお約束をいただいている福丸商事と申します」
「伺っております。七階のA室へどうぞ」
「ありがとうございます」
受付嬢から入館証を受け取りエレベーターに乗り込む。
少し旧式で7階に到着するとガタリと揺れた。
「A室…ここですね」
部屋に入って先方が来るのを待つ。
しばらくすると扉がノックされて男性が二人入ってきた。
「失礼いたします」
「笠松部長、ご無沙汰しております」
「やぁ、君も元気そうでなによりだ。そちらは…」
「実は弊社に新人が入りまして本日はぜひともご挨拶にと」
ショウは名刺を取り出して挨拶する。
そして笠松部長の陰にいた男性が先輩に挨拶している。
「4月から部長代理として部長業務の補佐を行っております。よろしくおねがいいたします」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
先輩と男性が名刺交換をしていた。
その男性の声を聴いてまさかとは思ったが視線を向けて驚いた。
そこにはイツキがいたのだ。
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視線が交じり合って指が触れた。
ショウはその瞬間、この場で感じてはいけない熱を覚えたがすぐに押し込める。
「よろしくお願いいたします」
「さ、どうぞおかけください」
結局、イツキはショウとの関係を口にすることなく今回のアポイントメントは終わった。
「それでは失礼いたします」
イツキに見送られながら先輩と二人でビルを出て先輩とはビルの前で別れた。
ショウが携帯をみるとイツキから連絡が入っていた。
しばらくビルの前で待っているとイツキが走ってくる。
「お待たせ」
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「さっきはびっくりしたよ。福丸商事さんが来るとは聞いていたけどまさかショウが来るなんて」
「俺だって…」
「ごめんね、親子ですって言えなくて。変に贔屓されたりしたら困るかなって思っちゃってさ」
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ふと笑ったショウを見てイツキは目を瞬かせた。
「そんなこと絶対にないよ」
「ならよかった」
先日は気まずかったちょっとの沈黙も今日は心地よかった。
二人でショウの家に入ると玄関で唇を交わした。
反響する音の中、靴を脱いでカバンを床に落とす。
どちらともなく腕をひきベットに近づく。
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