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ショウの大学生活
誕生日 前編
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イツキの誕生日の次の日の話である。
誕生日当日は母親に譲ったものの、大学生になってアルバイトを始めて自分でお金を稼ぐようになったショウはイツキの誕生日を自分の稼いだお金で祝いたいと思っていた。
プレゼントは事前にリサーチしてみたものの、そこそこ高給取りのサラリーマンであるイツキに合いそうなものはショウの予算を二桁ほど上回った。
「やっぱり無理か…」
インターネットの検索画面を眺めながら日々ため息が漏れてしまう。
「どうしたんだよ、ため息ついて」
食堂で一緒に昼食を食べていたショウの友人が見かねて声をかける。
高校時代からの気の置けない友人なのでショウは口が割と重たいショウだが、よくこの友人には色々なことを相談していた。
イツキとの関係については秘密にしているものの、それとなく義理の父親との関係が良好であることは伝えているのだ。
「…父親の誕生日プレゼント、どうしようかなって」
「あ~、何気、仲良くなって初めての誕生日だもんな」
「うん」
いつもは母親が買ってきたケーキや手料理を無言で一緒のテーブルで食べるだけにとどまり、プレゼントを渡したこともなければお祝いを言ったこともなかった。
難しい思春期の男事情である。
「候補は?」
隣の席に移動してきた友人がショウのスマホをのぞき込んでくる。
ショウは先ほどまで閲覧していたプレゼントのまとめサイトを見せた。
「これとか…」
指さしたのは誰もが知るブランド物のキーケースだった。
それを見た瞬間、友人はパシリとショウの頭をはたいた。
「痛ってぇ」
ショウがキッと友人を睨む。
「馬鹿か、お前は。20万もするキーケースなんてお前、四か月分くらいバイト代全額つぎ込むことになるんだぞ。その間の食費とかどうすんだよ」
「だから困ってんだろうが!」
すると友人はこれだから、とでも言いたげな表情でショウを見た。
「もっと視点を変えろって意味だよ。そんな高額なもの、ショウのお父さんならポンっと買えるんだから別のものにしろよってこと」
「別の者って言ったって…」
「しょうがない、一肌脱いでやろうじゃないか」
友人がショウの肩に腕を回して耳元でコソコソととある作戦を囁いた。
「そんなんでいいのかよ?」
「そんなの、じゃなくて、そういうのが喜ばれると思うよ俺は」
「実体験?」
「あー、まぁな」
友人はそれだけ言うと立ち上がってカバンを持った。
「またなんかあったら相談乗ってやるから。じゃ、俺、次授業あるから」
昼食のトレーを片手に去っていく友人の後ろ姿はショウには勇ましく見えた。
ショウはしばらくぼーっとしていたものの、ふと我に返ると来る日の為に準備をするべく食堂を後にした。
誕生日当日は母親に譲ったものの、大学生になってアルバイトを始めて自分でお金を稼ぐようになったショウはイツキの誕生日を自分の稼いだお金で祝いたいと思っていた。
プレゼントは事前にリサーチしてみたものの、そこそこ高給取りのサラリーマンであるイツキに合いそうなものはショウの予算を二桁ほど上回った。
「やっぱり無理か…」
インターネットの検索画面を眺めながら日々ため息が漏れてしまう。
「どうしたんだよ、ため息ついて」
食堂で一緒に昼食を食べていたショウの友人が見かねて声をかける。
高校時代からの気の置けない友人なのでショウは口が割と重たいショウだが、よくこの友人には色々なことを相談していた。
イツキとの関係については秘密にしているものの、それとなく義理の父親との関係が良好であることは伝えているのだ。
「…父親の誕生日プレゼント、どうしようかなって」
「あ~、何気、仲良くなって初めての誕生日だもんな」
「うん」
いつもは母親が買ってきたケーキや手料理を無言で一緒のテーブルで食べるだけにとどまり、プレゼントを渡したこともなければお祝いを言ったこともなかった。
難しい思春期の男事情である。
「候補は?」
隣の席に移動してきた友人がショウのスマホをのぞき込んでくる。
ショウは先ほどまで閲覧していたプレゼントのまとめサイトを見せた。
「これとか…」
指さしたのは誰もが知るブランド物のキーケースだった。
それを見た瞬間、友人はパシリとショウの頭をはたいた。
「痛ってぇ」
ショウがキッと友人を睨む。
「馬鹿か、お前は。20万もするキーケースなんてお前、四か月分くらいバイト代全額つぎ込むことになるんだぞ。その間の食費とかどうすんだよ」
「だから困ってんだろうが!」
すると友人はこれだから、とでも言いたげな表情でショウを見た。
「もっと視点を変えろって意味だよ。そんな高額なもの、ショウのお父さんならポンっと買えるんだから別のものにしろよってこと」
「別の者って言ったって…」
「しょうがない、一肌脱いでやろうじゃないか」
友人がショウの肩に腕を回して耳元でコソコソととある作戦を囁いた。
「そんなんでいいのかよ?」
「そんなの、じゃなくて、そういうのが喜ばれると思うよ俺は」
「実体験?」
「あー、まぁな」
友人はそれだけ言うと立ち上がってカバンを持った。
「またなんかあったら相談乗ってやるから。じゃ、俺、次授業あるから」
昼食のトレーを片手に去っていく友人の後ろ姿はショウには勇ましく見えた。
ショウはしばらくぼーっとしていたものの、ふと我に返ると来る日の為に準備をするべく食堂を後にした。
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