16 / 47
番外編 初めての家族旅行
1
しおりを挟む
ショウの母親は旅行が好きだ。
暇さえあれば、近所の人やママ友とどこかに出かける。
「家族旅行、行きましょ」
ショウが高校二年生の時、受験前の最後の冬休みの直前、夕食の席で母がいきなりそう言った。
「いいね」
イツキは味噌汁を片手に微笑んでいる。
「…二人で行って来いよ」
「あら、二人で行ったら家族旅行じゃなくなってしまうわ」
ショウは母をキッとにらんだ。
「俺は行かねぇ」
ダン、と机の上に箸をおいてショウは部屋に戻った。
…
結局、あの時は母とイツキの二人で一泊二日の温泉旅行に出かけていた。
新婚旅行に付き合わなくてよかったとショウは安堵したことを覚えている。
「ねぇ、家族旅行、行きましょうよ」
大学生になって久しぶりに実家に帰省した時、母がそう提案してきた。
「いいね」
あの時みたいにイツキは微笑んで肯定している。
「…いいんじゃねぇの」
ショウはビールを片手につぶやいた。
「あら、いいの?」
母は目を丸くしている。
「俺が行っちゃだめなのかよ」
「そうじゃないけど…前は嫌がってたじゃない」
「大人になったってことなんじゃないかな」
イツキがショウの減ったグラスにビールを注いでくれる。
「そうなのかしら?」
母は嬉しそうにほくそ笑んでイツキと目を合わせる。
「だってもうお酒も飲めるようになったんだよ?」
「たしかにそうね…子供の成長って早いわぁ」
母は感傷に浸っているようだ。
「うるせ…」
照れくさくなったショウは耳を赤くしてチビチビとビールをあおっている。
「行くと決まれば早速、準備しなきゃ」
母は嬉しそうにスマホで宿を探し始めた。
隣からはイツキが画面をのぞき込み、二人で楽しそうに予約している。
机の下でショウとイツキの足が絡まりあっていることも知らずに。
暇さえあれば、近所の人やママ友とどこかに出かける。
「家族旅行、行きましょ」
ショウが高校二年生の時、受験前の最後の冬休みの直前、夕食の席で母がいきなりそう言った。
「いいね」
イツキは味噌汁を片手に微笑んでいる。
「…二人で行って来いよ」
「あら、二人で行ったら家族旅行じゃなくなってしまうわ」
ショウは母をキッとにらんだ。
「俺は行かねぇ」
ダン、と机の上に箸をおいてショウは部屋に戻った。
…
結局、あの時は母とイツキの二人で一泊二日の温泉旅行に出かけていた。
新婚旅行に付き合わなくてよかったとショウは安堵したことを覚えている。
「ねぇ、家族旅行、行きましょうよ」
大学生になって久しぶりに実家に帰省した時、母がそう提案してきた。
「いいね」
あの時みたいにイツキは微笑んで肯定している。
「…いいんじゃねぇの」
ショウはビールを片手につぶやいた。
「あら、いいの?」
母は目を丸くしている。
「俺が行っちゃだめなのかよ」
「そうじゃないけど…前は嫌がってたじゃない」
「大人になったってことなんじゃないかな」
イツキがショウの減ったグラスにビールを注いでくれる。
「そうなのかしら?」
母は嬉しそうにほくそ笑んでイツキと目を合わせる。
「だってもうお酒も飲めるようになったんだよ?」
「たしかにそうね…子供の成長って早いわぁ」
母は感傷に浸っているようだ。
「うるせ…」
照れくさくなったショウは耳を赤くしてチビチビとビールをあおっている。
「行くと決まれば早速、準備しなきゃ」
母は嬉しそうにスマホで宿を探し始めた。
隣からはイツキが画面をのぞき込み、二人で楽しそうに予約している。
机の下でショウとイツキの足が絡まりあっていることも知らずに。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。







ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる