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本編

13話

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ショウが引越しをしてすぐに大学の入学式があった。
入学してしばらくはなにかと忙しくしていた。

ショウはサークルに入ったり、アルバイト始めたりと毎日予定が詰まっていた。
しかし出会う女性たちになぜか興味を抱けずにいた。

「おまえ合コンとか行っても白けた顔してるよな」

いつもの腐れ縁の友人がからかいげに声をかけてくる。

「うるせっ」

ショウはなんとなく原因を察していた。
あの日から何をしていても不意にイツキのことを思い出してしまうのだ。



一方、イツキもショウとのあの日の思い出が脳裏から離れなくなっていた。
掠れた声や肌の感触、感じた熱、全てがイツキに刻み込まれている。

「そういえばショウの家ってどこにあるんだ?」

夕食を共にしていたショウの母に尋ねる。

「知らないわよ」

「え?」

「あの子、私に何も言わずに行っちゃったんだから…保証人だって私の弟だし」

彼女は機嫌悪そうにそう答えた。

「そ、そっか…」



そうして春が過ぎ、夏になった。

「いらっしゃいませ」

ショウは家の近くのコンビニでアルバイトを始めていた。

「みつ、けた」

「え?」

ショウがレジから顔をあげると目を見開いたイツキがいる。

「な、なんで、ここに」

「ちょっと子会社の手伝いで…でも会えてよかった、会いたかったよ」

イツキが微笑む。

「そ、そうかよ」

ショウはなんだか気恥ずかしく思った。

「バイトは何時に終わるの?一緒にごはんでも行かないか?大学のこととか聞きたいし…」

今までのショウなら話すことはないと突っぱねていただろう。
しかしショウもイツキのことを少なからず思っていた。

「え、あ、…20時に終わる」

「あと五分か。外で待ってるな」

「お、おう」

ショウはぼーっとイツキの姿をガラス越しに眺めるのだった。







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