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ショウの大学生活
嫉妬 前編
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「ふふっ」
イツキは上機嫌だった。
大きな商談が成立したおかげで会社から午後休がもらえた。
ショウは今日はバイトが休みだと言っていたので大学まで迎えにいってみることにした。
SNSでショウに連絡を入れて待ち合わせをする。
まるで自分も学生に戻ったかのような気分だった。
「ここか」
ショウの通っている大学はそこまでキャンパスは大きくない。
入り口は二か所あるが、ショウに指定された方で待っていた。
「でさ~」
複数人で固まりながら、あるいはカップルで、たくさんの学生がイツキの目の前を通り過ぎていく。
「あったなぁ」
イツキは在りし日の自分を思い浮かべていた。
「はぁっ!?そんなんじゃねーよ」
「ん?」
聞き覚えのある声がしたので建物の入り口の方に視線を向けるとショウがいた。
隣には男子生徒が一人。
「おまっ、声でけーよ」
ポンっとショウの頭を叩く。
「ってぇな」
そのまま二人は何やら会話を続けているが、見ているイツキはなんだかモヤモヤしていた。
「あいつらマジで仲イイよな」
「それな」
ショウとその友人のことだろうか。
イツキの隣を通り過ぎる学生の言葉が耳についた。
やがて会話が終わったのだろうか、ショウがイツキのほうに歩いてくる。
イツキはなぜか咄嗟にショウに気づかないふりをしてそっぽを向いた。
「わりぃ、待った?」
ショウがイツキの顔をのぞき込んできた。
「う、ううん!い、行こうか!」
「…おぅ」
…
折角のデートだが行き先は決めていなかった。
「今日は外食でもしようか。何食べたい?」
イツキは前を向いたままショウに聞いた。
「なんでも」
「なんでもいいは一番困るよ~」
イツキは胸の奥のモヤモヤを追いやるように笑う。
しかしショウに視線を向けることができない。
「…なんかあった?」
ショウはイツキの違和感に気づいていた。
「え、何にもないよ。午後休なんて久しぶりだから浮かれてるだけ」
イツキは誤魔化す。
「そうか」
ショウも訝しげだったがそれ以上は詰めてこない。
二人は微妙な空気のままファミレスに入った。
「うわぁ、美味しそう」
ハンバーグを前に子供のようにはしゃぐイツキはいつも通りに見えるがやはりショウとは視線がなんとなく合わなかった。
「いただきます」
ショウはエビフライを齧りながら考える。
イツキに何かしただろうか。
皿が綺麗になっても何も思い当たることがなった。
こうなったら家で聞き出すしかない。
「ごちそうさまでした」
食べ終わるなりショウは立ち上がった。
「行くぞ」
「ん、え、あ、うん」
イツキはハンバーグの最後の一口を飲み込むと慌てて立ちあがった。
イツキは上機嫌だった。
大きな商談が成立したおかげで会社から午後休がもらえた。
ショウは今日はバイトが休みだと言っていたので大学まで迎えにいってみることにした。
SNSでショウに連絡を入れて待ち合わせをする。
まるで自分も学生に戻ったかのような気分だった。
「ここか」
ショウの通っている大学はそこまでキャンパスは大きくない。
入り口は二か所あるが、ショウに指定された方で待っていた。
「でさ~」
複数人で固まりながら、あるいはカップルで、たくさんの学生がイツキの目の前を通り過ぎていく。
「あったなぁ」
イツキは在りし日の自分を思い浮かべていた。
「はぁっ!?そんなんじゃねーよ」
「ん?」
聞き覚えのある声がしたので建物の入り口の方に視線を向けるとショウがいた。
隣には男子生徒が一人。
「おまっ、声でけーよ」
ポンっとショウの頭を叩く。
「ってぇな」
そのまま二人は何やら会話を続けているが、見ているイツキはなんだかモヤモヤしていた。
「あいつらマジで仲イイよな」
「それな」
ショウとその友人のことだろうか。
イツキの隣を通り過ぎる学生の言葉が耳についた。
やがて会話が終わったのだろうか、ショウがイツキのほうに歩いてくる。
イツキはなぜか咄嗟にショウに気づかないふりをしてそっぽを向いた。
「わりぃ、待った?」
ショウがイツキの顔をのぞき込んできた。
「う、ううん!い、行こうか!」
「…おぅ」
…
折角のデートだが行き先は決めていなかった。
「今日は外食でもしようか。何食べたい?」
イツキは前を向いたままショウに聞いた。
「なんでも」
「なんでもいいは一番困るよ~」
イツキは胸の奥のモヤモヤを追いやるように笑う。
しかしショウに視線を向けることができない。
「…なんかあった?」
ショウはイツキの違和感に気づいていた。
「え、何にもないよ。午後休なんて久しぶりだから浮かれてるだけ」
イツキは誤魔化す。
「そうか」
ショウも訝しげだったがそれ以上は詰めてこない。
二人は微妙な空気のままファミレスに入った。
「うわぁ、美味しそう」
ハンバーグを前に子供のようにはしゃぐイツキはいつも通りに見えるがやはりショウとは視線がなんとなく合わなかった。
「いただきます」
ショウはエビフライを齧りながら考える。
イツキに何かしただろうか。
皿が綺麗になっても何も思い当たることがなった。
こうなったら家で聞き出すしかない。
「ごちそうさまでした」
食べ終わるなりショウは立ち上がった。
「行くぞ」
「ん、え、あ、うん」
イツキはハンバーグの最後の一口を飲み込むと慌てて立ちあがった。
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