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本編
3話
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参観日の日はすぐにやってきた。
ショウはなんだかソワソワしていた。
「ねぇ、あんな人、父兄にいたっけ?」
「誰かのお兄ちゃんとかじゃないかな」
ショウの前の席に座っている女の子2人が囁き合っている。
振り向くと、イツキがいた。
「まじで来たのかよ…」
ショウは頭を抱えた。
「けどあの人、めっちゃかっこよくない?」
「誰かの父親だとしてもありだよね」
二人はイツキの外見を褒めていた。
ショウはそれを聞いているのがなんだかきまり悪く感じて、窓の外に視線を逃がすのだった。
…
授業は難なく終わった。
放課後、他の生徒が自分の父兄に話しかけに行っているのを横目にショウはさっさと教室を出ようとした。
「ショウ、お疲れ様」
イツキが微笑みながら話しかけてくる。
ショウは心の中で舌打ちをした。
「…どうも」
ショウはせめてもの抵抗にそっぽを向いて返事をした。
「あの、ショウくんのお兄さんとかですか?」
先ほど囁き合っていた女子2人が話しかけてくる。
「ちげぇよ」
ショウは呟いた。
「いつもショウがお世話になってます。ショウの父です」
イツキは女子生徒二人にも微笑んだ。
彼女たちは頬をさっと赤く染めた。
「え、お父さんなんですか!めっちゃお若いですね」
「お兄さんって言われたほうがしっくりくる!」
「はは、ありがとう」
イツキが女子生徒と話しているのを見ていると、なんだか胸がムカムカとしてくる。
ショウは足早にイツキを放置して歩き出し、部活に向かった。
「あ、ショウ!」
「父兄の皆さん、PTA会議始めますよ」
ちょうどその時、先生が父兄に呼びかける。
「ごめんね、これからもショウのことよろしくね」
イツキは女子生徒に笑いかけると教室に入っていった。
「は、はい」
二人は顔を赤くしたままイツキの後姿を見続けていたのだった。
…
部活が終わったショウは下駄箱で靴を履き替えていた。
「ショウ、待って、一緒に帰ろう」
イツキがショウに声をかける。
「…先帰ってて良かったのに」
「会議が思ったより長引いちゃってね。会議が長くてつまらないのは会社にいるのと変わらないね」
それを聞いたショウは無言でイツキを睨んだ。
「学校のみんなと仲がよさそうで良かったよ。でも授業中は授業に集中しないとダメだよ。窓の外とか見ていただろ?」
イツキは微笑んだままショウに授業参観の感想をつげる。
ショウのイライラは増幅されるばかりだった。
「うるせぇなぁ」
小声でショウは呟いた。
「え?」
イツキが聞き返すのと同時に、ショウはイツキの腕を掴んだ。
そして背中ごと壁にドンと押し付けると鈍い音が廊下に反響する。
「黙れ。父親面すんなよ、まじでうぜぇ」
低い声でショウはイツキに怒鳴った。
「あ、ごめん…」
イツキは戸惑ったような表情をしている。
「チッ」
ショウはイツキの手を離すと外に出た。
その数歩後をイツキも歩き出したのだった。
ショウはなんだかソワソワしていた。
「ねぇ、あんな人、父兄にいたっけ?」
「誰かのお兄ちゃんとかじゃないかな」
ショウの前の席に座っている女の子2人が囁き合っている。
振り向くと、イツキがいた。
「まじで来たのかよ…」
ショウは頭を抱えた。
「けどあの人、めっちゃかっこよくない?」
「誰かの父親だとしてもありだよね」
二人はイツキの外見を褒めていた。
ショウはそれを聞いているのがなんだかきまり悪く感じて、窓の外に視線を逃がすのだった。
…
授業は難なく終わった。
放課後、他の生徒が自分の父兄に話しかけに行っているのを横目にショウはさっさと教室を出ようとした。
「ショウ、お疲れ様」
イツキが微笑みながら話しかけてくる。
ショウは心の中で舌打ちをした。
「…どうも」
ショウはせめてもの抵抗にそっぽを向いて返事をした。
「あの、ショウくんのお兄さんとかですか?」
先ほど囁き合っていた女子2人が話しかけてくる。
「ちげぇよ」
ショウは呟いた。
「いつもショウがお世話になってます。ショウの父です」
イツキは女子生徒二人にも微笑んだ。
彼女たちは頬をさっと赤く染めた。
「え、お父さんなんですか!めっちゃお若いですね」
「お兄さんって言われたほうがしっくりくる!」
「はは、ありがとう」
イツキが女子生徒と話しているのを見ていると、なんだか胸がムカムカとしてくる。
ショウは足早にイツキを放置して歩き出し、部活に向かった。
「あ、ショウ!」
「父兄の皆さん、PTA会議始めますよ」
ちょうどその時、先生が父兄に呼びかける。
「ごめんね、これからもショウのことよろしくね」
イツキは女子生徒に笑いかけると教室に入っていった。
「は、はい」
二人は顔を赤くしたままイツキの後姿を見続けていたのだった。
…
部活が終わったショウは下駄箱で靴を履き替えていた。
「ショウ、待って、一緒に帰ろう」
イツキがショウに声をかける。
「…先帰ってて良かったのに」
「会議が思ったより長引いちゃってね。会議が長くてつまらないのは会社にいるのと変わらないね」
それを聞いたショウは無言でイツキを睨んだ。
「学校のみんなと仲がよさそうで良かったよ。でも授業中は授業に集中しないとダメだよ。窓の外とか見ていただろ?」
イツキは微笑んだままショウに授業参観の感想をつげる。
ショウのイライラは増幅されるばかりだった。
「うるせぇなぁ」
小声でショウは呟いた。
「え?」
イツキが聞き返すのと同時に、ショウはイツキの腕を掴んだ。
そして背中ごと壁にドンと押し付けると鈍い音が廊下に反響する。
「黙れ。父親面すんなよ、まじでうぜぇ」
低い声でショウはイツキに怒鳴った。
「あ、ごめん…」
イツキは戸惑ったような表情をしている。
「チッ」
ショウはイツキの手を離すと外に出た。
その数歩後をイツキも歩き出したのだった。
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