18 / 48
第4章 変化
4-2 休憩
しおりを挟む
毎日午後に行われるルーナとの勉強も始まりしばらくが経過した。
今のルーナはこの町。魔王城の離れで何かするということが全くない(ソフィ曰く捨てた無能に仕事を回すわけがない。と、なかなかの事を言っていた)ため。時間だけは毎日あったので、勉強は順調に日々行われていたが。順調に進み続けるということはなかった。
「ここ、違います」
俺はルーナの書いていた紙の一部を指差しつつ指摘する。
「あー、ほんとだ」
「まあ中級魔術ですからね。一気に難しくなりますから」
「いやいや、まだ中級。上級ならまだしも――こんなところで詰まっていたら……でもこれ難しい。頭割れる――」
ルーナは、そういいながら頭を抱え机につぶれた。あたりにはいろいろな術式が書かれた紙が散乱している。片付けはいつも勉強終了後にしているので今は見なかったことにしてほしい。かなり散乱しているが……。
とにかくだ。勉強の話に戻すと、中級魔術になると書くというのはかなり複雑になり大変だ。なので昔俺もかなり苦戦した記憶がある。
中級魔術以上になると書くことが多く。途中でぐちゃぐちゃになってくる。もちろん紙に書かなくても、頭の中でも同じなのだが。それができるかできないかで、中級魔術が使える使えないになる。
ちなみにルーナの目標は魔術が使えなくても、上級魔術をすべての方向で知識を獲得したい(簡単に言えば魔王様と同じということだ)なので、まだまだ先は長い。
しかし今までちゃんと勉強ができず。独学だったルーナでは間違った覚え方もあり。それを直して――となるとなかなか大変なことだ。だから無理に進めることはせず。俺は丁寧に進めていた。
「――ちょっと休憩しましょうか」
「休憩?」
しばらくして、ルーナが疲れてくると適度に休憩も忘れずに入れるようにした。ちなみに休憩がうれしかったのか。少しだけルーナの表情が緩んだ気がした。
「はい。今日はフレンチトーストでもと準備してあります」
「おいしそう!食べる!食べる!」
俺が言うとすぐにバンと机を叩きながら立ち上がるルーナ。今すぐ出せ!という勢いだった。頭使うと甘いもの欲しくなるからね。
「では今から作ってきます」
「あっ、私も作るの手伝う」
すると、ルーナがそんなことを言いだしドアの方へと歩き出した。
はじめのころならありえなかったことだろう。でも確実にルーナは何かがここ最近変わりだしているように俺にも思えた。
そんなルーナの様子を嬉しく思いつつ俺が少し見ているとルーナに声をかけられた。
「セルジオ?行かないの?」
「あっ。すみません。でももう準備してあって焼くだけですから」
返事をしつつルーナを追いかける。
「なら焼いてみる」
「――わかりました」
するとルーナがそんなことを言いだしたが。それは……大丈夫だろうか?とすぐに俺の頭の中では警報音が鳴ったのだが。せっかく楽しそうにしているので、変に水を差すことはもちろん言わなかった。しかしちょっと心配――爆発しなければいいが……。
俺がそんな心配をしていると。前を歩くルーナがドアを開ける。
すると、ちょうどソフィが荷物を運んで部屋の前を――いや、盗み聞きしていたか?ドアの前で待ち構えていた様子だった。
「これはルーナ様。セルジオ様との2人っきりに耐えれなくなりましたか?」
そして、にやっとしつつルーナに声をかけるソフィ。いやいやいきなり謎なこと言って煽ってるよ。ちなみにすでに勉強をしていることはソフィにもバレている――と知りつつあったルーナだが。一応まだ隠している?らしい。
「ち、違うから。ちょっと特訓の休憩――おやつ作るの」
「火事を起こさないでくださいよ?」
「なんでよ!」
「爆発とか勘弁ですよ?後処理が大変ですから」
やはりというべきか。俺が心配に思っていたことをソフィもすぐに思ったらしい。って、それをさらっと言っちゃうソフィすごい。
「ほんと最近のソフィ生意気!」
とりあえず、めっちゃ煽るソフィ。そして噛みつくルーナ。俺はそんな2人の横を通過し――先に調理場へと向かったのだった。
何故先に向かったかって?あの2人。いつものことだとしばらく時間がかかりそうだからだ。
そして、結果としては俺の予想は正しく。しばらくルーナが調理場へと来ることはなかった。というか来ることはなかった。ずっと頭上から言い合いの声が聞こえていただけだった。
なので俺は1人でフレンチトーストを作り。ルーナの部屋へと戻ったのだった。
「いい香り――ってもう出来ちゃったの?」
「はい」
俺がフレンチトースト片手に戻るとルーナが驚きつつ。近寄ってきた。ちなみにソフィが多分いつも通り勝ったのだろう。ニヤニヤしつつ立っていた。
「ソフィのせいで手伝えなかったじゃない!」
「火事にならなくてよかったです」
「ソフィ!」
「あの――ルーナ?冷める前に――」
「あっ。うん。食べる食べる。早く運んで」
俺が声をかけるとルーナはすぐに自室へと入っていく。その姿を見てソフィが微笑んでいたが。ルーナには言わないでおこう。ちなみにフレンチトーストは大変好評だった。
「おいしかったー」
そしてルーナがフレンチトーストをしっかり食べ終えた頃。ソフィがルーナの部屋へとやって来た。そして来るなり机の上を見回す。
「お勉強は進んでいるようですね」
「ちょ、そんなんじゃないし。勝手に見るなーって、なんでさらっと入って来てるの!許可してないし!」
どうやらソフィそろそろ知ってますというのをバラしに乗り込んできたらしい。
「コソコソ昔からルーナ様は徹夜でしてましたからねー」
そしてつぶやくソフィ。それを聞き『なっ!?』という表情になったのはルーナだ。
「知らないとでも?」
「――」
黙るルーナ。いやいやルーナよ。本当にバレていないと思っていたのか。それに驚きだよ。
「ところで、そろそろ私が必要なのでは?」
「な。なんでよ」
「魔術を発動できるのは私だけ。ルーナ様が正しいのか。確認が必要なのでは?」
確かにそうだ。そろそろ確認もしたいと思っていたのは事実だ。
というかソフィ確実に盗み聞きをいつもしていて、タイミングを見計らっていたとみた。
結果として、明日からは、ルーナが考えた術式で、ソフィに魔術を発動してもらうことになったのだった。
今のルーナはこの町。魔王城の離れで何かするということが全くない(ソフィ曰く捨てた無能に仕事を回すわけがない。と、なかなかの事を言っていた)ため。時間だけは毎日あったので、勉強は順調に日々行われていたが。順調に進み続けるということはなかった。
「ここ、違います」
俺はルーナの書いていた紙の一部を指差しつつ指摘する。
「あー、ほんとだ」
「まあ中級魔術ですからね。一気に難しくなりますから」
「いやいや、まだ中級。上級ならまだしも――こんなところで詰まっていたら……でもこれ難しい。頭割れる――」
ルーナは、そういいながら頭を抱え机につぶれた。あたりにはいろいろな術式が書かれた紙が散乱している。片付けはいつも勉強終了後にしているので今は見なかったことにしてほしい。かなり散乱しているが……。
とにかくだ。勉強の話に戻すと、中級魔術になると書くというのはかなり複雑になり大変だ。なので昔俺もかなり苦戦した記憶がある。
中級魔術以上になると書くことが多く。途中でぐちゃぐちゃになってくる。もちろん紙に書かなくても、頭の中でも同じなのだが。それができるかできないかで、中級魔術が使える使えないになる。
ちなみにルーナの目標は魔術が使えなくても、上級魔術をすべての方向で知識を獲得したい(簡単に言えば魔王様と同じということだ)なので、まだまだ先は長い。
しかし今までちゃんと勉強ができず。独学だったルーナでは間違った覚え方もあり。それを直して――となるとなかなか大変なことだ。だから無理に進めることはせず。俺は丁寧に進めていた。
「――ちょっと休憩しましょうか」
「休憩?」
しばらくして、ルーナが疲れてくると適度に休憩も忘れずに入れるようにした。ちなみに休憩がうれしかったのか。少しだけルーナの表情が緩んだ気がした。
「はい。今日はフレンチトーストでもと準備してあります」
「おいしそう!食べる!食べる!」
俺が言うとすぐにバンと机を叩きながら立ち上がるルーナ。今すぐ出せ!という勢いだった。頭使うと甘いもの欲しくなるからね。
「では今から作ってきます」
「あっ、私も作るの手伝う」
すると、ルーナがそんなことを言いだしドアの方へと歩き出した。
はじめのころならありえなかったことだろう。でも確実にルーナは何かがここ最近変わりだしているように俺にも思えた。
そんなルーナの様子を嬉しく思いつつ俺が少し見ているとルーナに声をかけられた。
「セルジオ?行かないの?」
「あっ。すみません。でももう準備してあって焼くだけですから」
返事をしつつルーナを追いかける。
「なら焼いてみる」
「――わかりました」
するとルーナがそんなことを言いだしたが。それは……大丈夫だろうか?とすぐに俺の頭の中では警報音が鳴ったのだが。せっかく楽しそうにしているので、変に水を差すことはもちろん言わなかった。しかしちょっと心配――爆発しなければいいが……。
俺がそんな心配をしていると。前を歩くルーナがドアを開ける。
すると、ちょうどソフィが荷物を運んで部屋の前を――いや、盗み聞きしていたか?ドアの前で待ち構えていた様子だった。
「これはルーナ様。セルジオ様との2人っきりに耐えれなくなりましたか?」
そして、にやっとしつつルーナに声をかけるソフィ。いやいやいきなり謎なこと言って煽ってるよ。ちなみにすでに勉強をしていることはソフィにもバレている――と知りつつあったルーナだが。一応まだ隠している?らしい。
「ち、違うから。ちょっと特訓の休憩――おやつ作るの」
「火事を起こさないでくださいよ?」
「なんでよ!」
「爆発とか勘弁ですよ?後処理が大変ですから」
やはりというべきか。俺が心配に思っていたことをソフィもすぐに思ったらしい。って、それをさらっと言っちゃうソフィすごい。
「ほんと最近のソフィ生意気!」
とりあえず、めっちゃ煽るソフィ。そして噛みつくルーナ。俺はそんな2人の横を通過し――先に調理場へと向かったのだった。
何故先に向かったかって?あの2人。いつものことだとしばらく時間がかかりそうだからだ。
そして、結果としては俺の予想は正しく。しばらくルーナが調理場へと来ることはなかった。というか来ることはなかった。ずっと頭上から言い合いの声が聞こえていただけだった。
なので俺は1人でフレンチトーストを作り。ルーナの部屋へと戻ったのだった。
「いい香り――ってもう出来ちゃったの?」
「はい」
俺がフレンチトースト片手に戻るとルーナが驚きつつ。近寄ってきた。ちなみにソフィが多分いつも通り勝ったのだろう。ニヤニヤしつつ立っていた。
「ソフィのせいで手伝えなかったじゃない!」
「火事にならなくてよかったです」
「ソフィ!」
「あの――ルーナ?冷める前に――」
「あっ。うん。食べる食べる。早く運んで」
俺が声をかけるとルーナはすぐに自室へと入っていく。その姿を見てソフィが微笑んでいたが。ルーナには言わないでおこう。ちなみにフレンチトーストは大変好評だった。
「おいしかったー」
そしてルーナがフレンチトーストをしっかり食べ終えた頃。ソフィがルーナの部屋へとやって来た。そして来るなり机の上を見回す。
「お勉強は進んでいるようですね」
「ちょ、そんなんじゃないし。勝手に見るなーって、なんでさらっと入って来てるの!許可してないし!」
どうやらソフィそろそろ知ってますというのをバラしに乗り込んできたらしい。
「コソコソ昔からルーナ様は徹夜でしてましたからねー」
そしてつぶやくソフィ。それを聞き『なっ!?』という表情になったのはルーナだ。
「知らないとでも?」
「――」
黙るルーナ。いやいやルーナよ。本当にバレていないと思っていたのか。それに驚きだよ。
「ところで、そろそろ私が必要なのでは?」
「な。なんでよ」
「魔術を発動できるのは私だけ。ルーナ様が正しいのか。確認が必要なのでは?」
確かにそうだ。そろそろ確認もしたいと思っていたのは事実だ。
というかソフィ確実に盗み聞きをいつもしていて、タイミングを見計らっていたとみた。
結果として、明日からは、ルーナが考えた術式で、ソフィに魔術を発動してもらうことになったのだった。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる