戦争奇譚

榛翔

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敵機捕捉!我、迎撃スル!

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 機体を急上昇させて、夢戦に戦闘機が搭載している航空機関砲が轟く。

「1機撃墜した。なんとかして、背後に回り込まないとっ!」

 航空機関砲が轟く中、春流の声が響く

「焦ってもダメだ!初出撃で1機墜とせたんだ、上出来だ。……旋回しつつ背後を取る!」

「うん、分かった」

 春流がレバーを器用に操作して夢戦の後方に食らいつく

「春流っ!撃って!」

 飛衛のアイコンタクトを受けて、スイッチを押したと同時に飛衛は座席から飛び立ち、前方の夢戦へと拳を打ち付ける。

「喰らいやがれっ!!一撃拳火(アインスファイヤーハンド)!!」

 打ち付けた拳から溢れんばかりの炎が夢戦に渦を巻く。

「すごっ……」

「よっと、よし、撃墜」

 軽々と炎の渦の中から、疾風に座席へと跳躍してきた。

「春流、ここから離脱する。6時の方向に移動する。そっちにアジトがあるはずだ」

「了解」

 そう告げる飛衛の声はどこか震えていた。



 ~船内~

「あの子たちは、無事かしら」

 志乃は、船員に聞こえない声でそっと呟いた。空は曇天空。遠くから聞こえる銃声音。
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