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微笑み
しおりを挟むそれから5ヶ月の日々が通り過ぎ、7月になった。春流の魔法の兆しは未だになんなのか分からなかった。魔法の兆しとは、身体の内心や見た目からである程度判断できることがある。そこで、思ったんだ。もともと魔法が使える。それを隠してる。それか、ある条件かでしか使用できない特殊タイプ。色々考えているうちに艦長の部屋まで来ていた
「あら、飛衛少尉。こんな時間からお姉さんをナンパしに来たの?」
「はい、実は…」
「えぇっ?!そうなの?!待って、部屋片付けるからっ!」
「…んんっ!?ち、違いますから!!艦長、乗らないでくださいっ!!」
「うふふっ…つい。考え事してたんでしょ?最近、ずっと魂が抜けている感じだったから」
「そんなにわかりますかね?」
「そりゃ、そうよ」
希乃はどこか切なく含み笑いを見せる。
「こんな状態で任務を頼みに来た私も鬼よね…」
「任務ですか?」
そのフレーズはいつもより重く聞こえた。なぜだろう。いつもと変わりないフレーズなのに。どうしてか、その言葉は今の飛衛には辛く心が傷つくものだった。
「飛衛少尉に伝令です。この榛名は、夢戦に足取りを掴まれた。今すぐに、春流くんを連れて、逃げなさない!」
嫌な予想が当たってしまった。艦長は、冗談を言う人だけれど嘘を付く人ではない。この表情が物語っていた。
(逃げる?逃げるのか?ここまで、みんなと来たのに…!)
「嫌ですっ!僕は、戦えるっ!その為の翼だってちゃんとあるっ!!」
興奮する飛衛の肩にそっと希乃の手が置かれる。
「もし、君が死んだら…春流くんが…いいえ、乗員が悲しむわ。あなたは、帰らないといけない未来がある。けれど、私にはここしか居場所がないから」
「艦長…」
「時間がないわ!急いで、春流くんは甲板で準備を進めているわ!彼女を守って見せなさい。飛衛…」
「はいっ!」
希乃は笑顔で飛衛を送り出し、飛衛は甲板へと駆ける。
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