ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、幼馴染で両想いですが、攻略キャラ達が全力で邪魔してくる。もう、俺(私)達のことは諦めてください。

涼風悠

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ギャルゲの主人公は、乙女ゲーの攻略者と対峙する。

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 政宗は、郁人を睨みつけている。状況が理解できない郁人とゆるふわ宏美であるが、すぐさまに何かを思い出したゆるふわ宏美は、郁人に耳打ちする。

「郁人様……例のスリートップの一人ですよ~……確か、覇道 政宗さんです~」
「あれか? イケメントップスリーで、美月の逆ハーメンバーの一人ってやつか?」
「そうですよ~」
「そうか……やはりイケメンだな……顔では勝ち目がないな」
「……郁人様……それ本気で仰ってるんですか~!?」

 郁人の一言に、驚愕の表情を浮かべるゆるふわ宏美である。

「郁人様……大丈夫ですよ~……郁人様がナンバーワンですからね~」
「……なんのことだ?」

 ゆるふわ宏美がドヤ顔で、自信満々に郁人に言い放つが、郁人は首をかしげて、疑問顔を浮かべている。そんな二人のやり取りを、憎悪の瞳で睨みつける政宗である。その瞳に気がついた二人は、素知らぬ顔で、政宗に向き直る。

「朝宮郁人……貴様に話がある」
「……そうか……俺も言いたいことがあるから、丁度良かった」

 そんな郁人と政宗のやり取りを不安そうに見ているゆるふわ宏美である。郁人と政宗の顔を交互に見て、周囲をを確認した後に郁人に耳打ちする。

「郁人様……ここでは、目立ってしまいますよ~……あれでしたら、例の空き教室でお話しされてはいかがですか~?」

 ゆるふわ宏美にそう提案されて、郁人は辺りを見回す。かなりの生徒に注目されて目立っていた。当然である。教室前の廊下で騒ぎを起こせば目立つのは当然であった。

「そうだな……すまないが……場所を変えないか?」
「いいだろう……だが、俺と貴様二人で話したい……すまないが、君は席を外してくれないか?」

 郁人の提案に、素直に乗る政宗は、チラリとゆるふわ宏美を見て、そう言い放った。ゆるふわ宏美は、少し考えるそぶりを見せて、ニコニコとゆるふわ笑顔を浮かべる。

「いえいえ~、わたしぃも同席させてください~……郁人様に何かあると困りますからね~」
「いや、ゆるふわ……お前……いらないだろ?」
「な、なんてこと言うんですか~!? 郁人様の身を案じて差し上げてるんですよ~!!」

 味方と思っていた郁人に役立たず宣言されたゆるふわ宏美は、驚きの表情で郁人に非難の声を浴びせる。

「……いい加減にしてくれないかい……移動するなら、早く移動しないかい?」

 そう冷たく言い放つ政宗に、郁人は同意して移動を始める。ちゃっかり、ゆるふわ宏美も後をついてきている。

「おい……ゆるふわ……空気読めよ……あいつ、お前に席外せって言ってただろ?」
「何言ってるんですか~? ダメですよ~……いくら、ただのイケメンで、真のイケメンである郁人様の足元にも及ばない相手でもですね~……油断してはいけないんですよ~」
「なんだそれ……って、真のイケメンってなんだ!? お前は俺を馬鹿にしているのか!?」

 ちゃっかり、郁人の隣をキープしてついてきているゆるふわ宏美と内緒話をする郁人を、背後から睨みつける政宗である。政宗の怒りの視線を感じ、二人は後ろを振り向く、そこには怒りのオーラに満ちている政宗の姿があった。

 郁人とゆるふわ宏美は、やばいよ、やばいよ、と心の中で思い。二人はアイコンタクトでやばいよを伝えあっている。

「おい……なぜか滅茶苦茶怒ってるぞ……ゆるふわが変なこと言うからだろ?」
「なんですか~? 郁人様が悪いんですよ~……真のイケメンだから、ただのイケメンが嫉妬してるんですよ~」
「そういうとこだぞ……ゆるふわ……」

 再度、ひそひそ話をしながら、先導する郁人とゆるふわ宏美に、ピキピキ怒りを示す政宗は、すでに限界である。その様子を振り返り確認する郁人とゆるふわ宏美は、冷や汗を流す。

「おい……とりあえず、あやまっておけ……ゆるふわ」
「なんでわたしぃなんですか~!? 郁人様が悪いんですよ~!!」

 罪の擦り付け合いを始める二人に、政宗の怒りは限界を突破した。滅茶苦茶イライラしている。全身怒りでフルフルである。

「貴様ら……ふざけるのも大概にしろ……よくも、俺の前で、仲良しアピールできるな!?」

 政宗は、心の底から怒りが込み上げてくる。美月に好かれている郁人が、他の女と仲良しこよしの関係を見せられては、さすがに我慢ができない政宗である。

「おい……ゆるふわ……お前のせいで、仲良しと誤解されただろ!?」
「ええ~、わたしぃ達仲良しじゃないですか~?」
「……いやいや」
「いやいやですよ~」

 郁人は、政宗にゆるふわ宏美と仲良しと誤解されて、心外な郁人は、ゆるふわ宏美を非難する。宏美はニコニコ笑顔で肯定している。そんな光景に、政宗のイライラは止まらない。

「朝宮……貴様、本当にいい度胸だな」
「なんで、俺なんだ!?」
「ほら~、郁人様のせいですよ~、謝ってくださいね~」
「……悪かったな」

 ドヤ顔で無い胸を張って、謝罪を促すゆるふわ宏美に、納得いかない郁人だったが、仕方なく政宗に向き直り謝る郁人であった。そんな郁人の態度に納得のいかない政宗の怒りは更に高まるのである。全身超怒りでフルフルである。

「ふざけるのも大概にしろ……朝宮……貴様みたいな奴が……なぜ……なぜ、美月に……」

 怒りの収まらない政宗を、とりあえず、早く空き教室に誘導するため、郁人とゆるふわ宏美は足を速めて、空き教室に向かうのだった。

 そして、郁人と政宗は空き教室に入る。そして、ちゃっかり、ゆるふわ宏美も教室に入ってきて、扉を閉める。ニコニコなゆるふわ笑顔である。そんなゆるふわ宏美を政宗は睨むが、彼女は気にせず、郁人の隣に陣取る。

「……仕方ない……話というのは、美月のことだ」

 政宗は仕方なく、本題に入る。郁人は、その話題を聞いて、やはり美月のことかと納得の様子である。

「なるほど……つまり、そういうことだな」

 一人納得する郁人に、あからさまに、不機嫌に郁人を睨む政宗に、ゆるふわ宏美は嫌な予感がしている表情で郁人を見ている。

「理解してるなら、早いな……朝宮郁人……貴様に美月は渡さない!!」
「なるほど……お前も、美月の一番狙いなのか?」
「い、郁人様~!?」
「当たり前だ!! 美月は俺のモノだ!! 誰にも渡さない!!」

 郁人の発言に、怒りを表す政宗である。郁人の発言から、余裕を感じた政宗は、怒りを露にするのだ。たいして、ゆるふわ宏美は、会話が絶妙に噛み合っていないことを察していた。不安そうなゆるふわである。

「なるほど……お前は、美月の逆ハーに反対なんだな」
「……なんの話だ!?」
「なら、お前に宣言しておく……俺は美月の逆ハーを認める!!」
「あの~……郁人様~!?」

 郁人はドヤ顔でそう政宗に人差し指を突き刺して、声高らかにそう宣言する。なんの話をしているのか理解できない政宗と、あからさまに郁人に呆れているゆるふわ宏美である。

「ふ、ふざけるな!!」
「俺は、美月の逆ハーメンバーで一番になる!! これから、美月逆ハーメンバーとしてよろしく頼む……俺からの話は以上だ」
「郁人様~……郁人様の話は異常ですよ~!!」

 郁人は、もはや話すことはないと、話を終らせにかかる。そんな郁人に小さくツッコミを入れるゆるふわ宏美である。完全になめられていると思った政宗は、怒りを抑え込むのである。拳を握り締めて、ピクピクしている。

「貴様……ハーレム状態なのは貴様だろ!? 朝宮!!」
「……なんの話だ?」
「……ここまできて、美月がどうのこうのと、話を誤魔化してまで、とぼけるのか? 貴様は!!」

 政宗の発言は、郁人には、完全に寝耳に水状態である。腕を組み考える郁人であるが、ハーレムとは心当たりが全くなかった。

「よくわからんが……とにかく、俺は美月の逆ハーメンバーになる……それだけだ」
「郁人様~!? だから、それは駄目ですよ~!!」

 再度ドヤ顔で、美月の逆ハーメンバー入りを高らかに宣言する郁人に、ゆるふわ宏美は焦った表情で止めにかかる。そんな二人のやり取りに、もはや会話をする気がこいつらにないと判断した政宗は、怒りを鎮めるのである。

「……本当に……貴様という奴は……いいか、最後に一つだけ言っておく……俺は絶対にあきらめない……美月の瞳を、絶対に俺に向けさせてみせる!!」

 政宗はそう言い残して、空き教室から出て行く。残された郁人はポカーンとしている。

「よくわからんが……つまり、ライバル宣言ってことだよな……しかし、美月の逆ハーメンバーになるってことは、あいつと仲良くしないといけないという事か……気が重いな」
「郁人様……な、何を言っているんですか~!? だいたいですね~、郁人様の夜桜さんの逆ハーメンバー入りなんて~、わたしぃが認めませんよ~」

 そして、残された二人は、逆ハーメンバーになるの認めないので、チャイムがなるまで、揉めるのであった。
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