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ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、ライバル出合うのである。
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美月が、一人ハーレム入り宣言をしていることなどつゆ知らずの郁人は、一限の授業の後の休憩時間に美月に会いに行こうとする。
席を立ち、美月のクラスに足を運ぼうとする郁人に、やはり、立ち塞がるのは、ゆるふわ宏美である。満面な疑惑のニコニコなゆるふわ笑顔である。
「郁人様? どこに行く気ですか~?」
「……」
美月の所に行こうとしていた郁人であるが、それをはっきり、ゆるふわ宏美に言っては邪魔されるのは予測済みである。そのため、無言を貫くのである。
「まさかとは思いますけど~? 夜桜さんの所に行こうなんて言いませんよね~?」
そう上目遣いのゆるふわ笑顔でそう確信をついてくるゆるふわ宏美に、サッと視線を逸らす郁人である。
「だいたいですね~……また、そんなところを~、梨緒さんにでも見られたらどうするんですか~? わたしぃ嫌ですよ~……新学期早々に、自分の学校で流血事件なんて~」
「いや、さすがに、それは……ないよな?」
「……」
完全には否定しきれない郁人とゆるふわ宏美であった。しかし、そんなやり取りをしていると、二人に疑問が浮かぶのである。
「……あれ~? そういえば梨緒さん……いませんね~……いつも真っ先に郁人様の所に来られるのに変ですね~」
「あ、ああ……そうだな」
少し、嫌な予感がする郁人は、立ち上がり、美月の教室に向かうことにする。そんな郁人の腕をガシッとつかむゆるふわ宏美である。
「どこに行くんですか~? 夜桜さん所には行かせませんよ~!!」
「おい……放せ、このゆるふわ!」
「なんですか~!? ゆるふわって~!!」
腕にしがみついて、ちっこいくせにものすごい力で、郁人を引き留めようとするゆるふわ宏美を、引きずって廊下に向かう郁人だった。
美月は、郁人のハーレムのメンバー入り宣言してから、一限の授業中ずっと考え込んでいた。
(でも、ハーレムモノでも、正妻っているよね? つまり、私は、正妻ポジションを狙っていけばいいのよね……とにかく、終わったら、郁人の所に行って、郁人のハーレムに入れてもらって、ライバルに正妻宣言してやればいいのよね)
そんなことを、考えていた美月である。そして、一限の授業が終わるとともに、美月は立ち上がり、郁人の所に行こうとする。
「美月ちゃん……どこ行くんだ?」
「ごめん……どいてもらえる?」
美月の行く手を阻む浩二である。いつになく真剣な表情を浮かべている。美月も、浩二を睨む。
「悪いけど……朝宮のとこに行くって言うなら、邪魔させてもらうぜ」
美月は、男子生徒に囲まれる。美月はあたりを見回して、ため息をつく。
「ねぇ? どうして、そこまで私の邪魔するのよ?」
「今の美月ちゃんに言っても、たぶん理解できないからさ……それに、やっぱ、悲しむ顔は見たくねーんだよ」
浩二は、どこか悲しそうな表情でそういう。美月は、深呼吸して、瞳を閉じる。
「ごめんね……私も、引く訳にはいかないんだよね……どきなさい!!」
美月は、瞳を開いて、男子生徒を一喝する。美月の気迫に男子生徒達もたじろぐのである。そして、少しの隙間ができたと思った美月は、その隙間に突入する。必死に男子生徒の隙間を抜けて、廊下に向かう美月である。
しかし、美月も浩二も、気がついてなかった。こんな激しい攻防を繰り広げているのに、政宗の姿がないことに、誰も気がついてなかったのである。
梨緒は、授業が終わると、真っ先に、7組に向かっていた。もちろん、美月に会うためである。ヤンデレ梨緒は本気で美月と話し合おう決意を固めたのである。
そんな梨緒の姿は、まさに仁王のごとくと言える。そして、もう一人の仁王のごとく、廊下を歩く人物がいた。
政宗である。彼もまた、授業が終わり、真っ先に1組に向かっていた。もちろん、郁人に会うためである。郁人と決着をつけるつもりでいる政宗である。
そして、二人がすれ違う。二人の仁王がすれ違う。一瞬お互いの視線が合うが、それも一瞬だった。すぐに正面を見据えて、目的の場所に向かう二人なのであった。
「郁人様~!! 絶対に行かせませんよ~!!」
「いい加減に放せって、このゆるふわ!!」
郁人は、腰ににしがみついているゆるふわ宏美を引きずりながら、廊下を歩く、物凄く目立っている。
「……郁人様は、ご自身の身分を考えてくださいよ~!!」
「俺は、ただの一般庶民だ!!」
「そういう意味じゃなくてですね~!!」
必死に説得しようとするゆるふわ宏美は、もはや、死に物狂いである。いつものニコニコ笑顔などかなぐり捨てて、必死の形相である。
「貴様は……美月にあれだけ……朝宮郁人!! 俺は貴様に話がある!!」
郁人とゆるふわ宏美のやり取りを見て、烈火のごとく怒り出す政宗は、そう郁人を怒鳴りつける。そんな政宗に、郁人とゆるふわ宏美は、ポカーンとしている。
とりあえず、顔を見合わせ一時休戦する郁人とゆるふわ宏美であった。
美月は、何とか、廊下に出ることに成功するが、浩二に腕を捕まえられる。必死に抵抗するが、浩二の力は強くて、振り払えない。
「放してよ!!」
「ダメだ……行かせないぜ……美月ちゃんは自分の立場が何にもわかってねーんだよ!」
「何よ!! 私の立場って、私は私でしょ!! いいから放してよ!!」
美月は、そう言い放つが、浩二は美月に壁ドンする。さすがに、突然の壁ドンに美月も恐怖を覚えるのである。
「美月ちゃん……いいか、君は学園のアイドルなんだぜ」
「だから、私は、そんなものになった覚えはないのよ!!」
「自覚があろうーが、なかろーが、美月ちゃんは、学園のアイドルなんだよ!!」
お互い激しく言い合っている。そんな中、一人の少女がその光景をジッと見ていた。
「そう……夜桜さん……郁人君に……あんなに郁人君の瞳を独占しといて……本当にあなただけは……絶対に許せない」
ヤンデレの梨緒がそこにいた。さすがにただならぬ雰囲気を感じ取った浩二は美月から離れる。美月は、何を言われたのかわからないと、呆然と睨んでくる梨緒を見つめるのだった。
席を立ち、美月のクラスに足を運ぼうとする郁人に、やはり、立ち塞がるのは、ゆるふわ宏美である。満面な疑惑のニコニコなゆるふわ笑顔である。
「郁人様? どこに行く気ですか~?」
「……」
美月の所に行こうとしていた郁人であるが、それをはっきり、ゆるふわ宏美に言っては邪魔されるのは予測済みである。そのため、無言を貫くのである。
「まさかとは思いますけど~? 夜桜さんの所に行こうなんて言いませんよね~?」
そう上目遣いのゆるふわ笑顔でそう確信をついてくるゆるふわ宏美に、サッと視線を逸らす郁人である。
「だいたいですね~……また、そんなところを~、梨緒さんにでも見られたらどうするんですか~? わたしぃ嫌ですよ~……新学期早々に、自分の学校で流血事件なんて~」
「いや、さすがに、それは……ないよな?」
「……」
完全には否定しきれない郁人とゆるふわ宏美であった。しかし、そんなやり取りをしていると、二人に疑問が浮かぶのである。
「……あれ~? そういえば梨緒さん……いませんね~……いつも真っ先に郁人様の所に来られるのに変ですね~」
「あ、ああ……そうだな」
少し、嫌な予感がする郁人は、立ち上がり、美月の教室に向かうことにする。そんな郁人の腕をガシッとつかむゆるふわ宏美である。
「どこに行くんですか~? 夜桜さん所には行かせませんよ~!!」
「おい……放せ、このゆるふわ!」
「なんですか~!? ゆるふわって~!!」
腕にしがみついて、ちっこいくせにものすごい力で、郁人を引き留めようとするゆるふわ宏美を、引きずって廊下に向かう郁人だった。
美月は、郁人のハーレムのメンバー入り宣言してから、一限の授業中ずっと考え込んでいた。
(でも、ハーレムモノでも、正妻っているよね? つまり、私は、正妻ポジションを狙っていけばいいのよね……とにかく、終わったら、郁人の所に行って、郁人のハーレムに入れてもらって、ライバルに正妻宣言してやればいいのよね)
そんなことを、考えていた美月である。そして、一限の授業が終わるとともに、美月は立ち上がり、郁人の所に行こうとする。
「美月ちゃん……どこ行くんだ?」
「ごめん……どいてもらえる?」
美月の行く手を阻む浩二である。いつになく真剣な表情を浮かべている。美月も、浩二を睨む。
「悪いけど……朝宮のとこに行くって言うなら、邪魔させてもらうぜ」
美月は、男子生徒に囲まれる。美月はあたりを見回して、ため息をつく。
「ねぇ? どうして、そこまで私の邪魔するのよ?」
「今の美月ちゃんに言っても、たぶん理解できないからさ……それに、やっぱ、悲しむ顔は見たくねーんだよ」
浩二は、どこか悲しそうな表情でそういう。美月は、深呼吸して、瞳を閉じる。
「ごめんね……私も、引く訳にはいかないんだよね……どきなさい!!」
美月は、瞳を開いて、男子生徒を一喝する。美月の気迫に男子生徒達もたじろぐのである。そして、少しの隙間ができたと思った美月は、その隙間に突入する。必死に男子生徒の隙間を抜けて、廊下に向かう美月である。
しかし、美月も浩二も、気がついてなかった。こんな激しい攻防を繰り広げているのに、政宗の姿がないことに、誰も気がついてなかったのである。
梨緒は、授業が終わると、真っ先に、7組に向かっていた。もちろん、美月に会うためである。ヤンデレ梨緒は本気で美月と話し合おう決意を固めたのである。
そんな梨緒の姿は、まさに仁王のごとくと言える。そして、もう一人の仁王のごとく、廊下を歩く人物がいた。
政宗である。彼もまた、授業が終わり、真っ先に1組に向かっていた。もちろん、郁人に会うためである。郁人と決着をつけるつもりでいる政宗である。
そして、二人がすれ違う。二人の仁王がすれ違う。一瞬お互いの視線が合うが、それも一瞬だった。すぐに正面を見据えて、目的の場所に向かう二人なのであった。
「郁人様~!! 絶対に行かせませんよ~!!」
「いい加減に放せって、このゆるふわ!!」
郁人は、腰ににしがみついているゆるふわ宏美を引きずりながら、廊下を歩く、物凄く目立っている。
「……郁人様は、ご自身の身分を考えてくださいよ~!!」
「俺は、ただの一般庶民だ!!」
「そういう意味じゃなくてですね~!!」
必死に説得しようとするゆるふわ宏美は、もはや、死に物狂いである。いつものニコニコ笑顔などかなぐり捨てて、必死の形相である。
「貴様は……美月にあれだけ……朝宮郁人!! 俺は貴様に話がある!!」
郁人とゆるふわ宏美のやり取りを見て、烈火のごとく怒り出す政宗は、そう郁人を怒鳴りつける。そんな政宗に、郁人とゆるふわ宏美は、ポカーンとしている。
とりあえず、顔を見合わせ一時休戦する郁人とゆるふわ宏美であった。
美月は、何とか、廊下に出ることに成功するが、浩二に腕を捕まえられる。必死に抵抗するが、浩二の力は強くて、振り払えない。
「放してよ!!」
「ダメだ……行かせないぜ……美月ちゃんは自分の立場が何にもわかってねーんだよ!」
「何よ!! 私の立場って、私は私でしょ!! いいから放してよ!!」
美月は、そう言い放つが、浩二は美月に壁ドンする。さすがに、突然の壁ドンに美月も恐怖を覚えるのである。
「美月ちゃん……いいか、君は学園のアイドルなんだぜ」
「だから、私は、そんなものになった覚えはないのよ!!」
「自覚があろうーが、なかろーが、美月ちゃんは、学園のアイドルなんだよ!!」
お互い激しく言い合っている。そんな中、一人の少女がその光景をジッと見ていた。
「そう……夜桜さん……郁人君に……あんなに郁人君の瞳を独占しといて……本当にあなただけは……絶対に許せない」
ヤンデレの梨緒がそこにいた。さすがにただならぬ雰囲気を感じ取った浩二は美月から離れる。美月は、何を言われたのかわからないと、呆然と睨んでくる梨緒を見つめるのだった。
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