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黒への分かれ道
第二章:9話 『朝からパンツ』
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学園についてまず最初に声をかけてきたのはダインだった。走ってきたせいで少し体がだるく感じたが重い扉を右手で開けた先に彼はいた。
「おーす、おはよっさん。…って、なんかお前やけにお疲れだな?………おっ!さてはお前、アイリスとベッドで激しくやったんだろ?」
「「ふんッ!!」」
ダインが最後まで言おうとした瞬間、アレスは気だるい体に再度力を込めてダインの腹部めがけて正義の拳を叩き込もうとする。その瞬間、いつの間にかダインの真後ろに潜んでいたアイリスがミニスカートだというのに大胆にも回し蹴りをかます。しかし、ダインはその二つの襲撃をいとも簡単に避ける。真正面のダインが少し屈みながら左に避けたことで、その真後ろにいたアイリスの全身がアレスの視界に入ってくる。
「―――あ………」
2人の攻撃は終了し、次に沈黙が始まる。
アイリスの回し蹴り途中の全身が見えるということはだ……
「ピンクのパンツ……似合ってるぞ……」
「ふんッ!!」
顔を真っ赤に染めたアイリスの渾身の一撃はアレスにとっては効果抜群のようだった。
というか、言わなきゃいいのに……。ちなみに顔面にクリーンヒット。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「―――…………」
「あのぅ~」
2時限目が終わり、講義と講義の間の休憩時間が終わりに差し掛かるというのにアイリスは未だに不機嫌だった。
「人を不法投棄されたゴミを見るような目で見るのやめない?」
「大丈夫、その辺に落ちてるクソを見てる気分だから」
「貴族の端くれなんだからそんな言葉遣いはやめてー!」
朝からこんな調子だった。ちなみにパンツを見られたから怒っているわけではない。そのあとが問題だった。
アレスは成績もずば抜けて優秀で、顔もどちらかといえばいい方である。さらに、魔法の才能にも恵まれ、家がお金持ち。これだけの材料とアレスの性格があればモテないわけがない。流れを簡単に説明するとこうだ。
①パンツを見られ、蹴りをかます。
②他の女子が嫉妬し、アレスに味方がつく。
③アレスがその女子達をなだめると歓声が。
④それに対して、ツンデレヒロイン的なアレが発動し、怒る。
こんなところか。まぁ、アレスは④に気づいていないが……。
「そんなことよりも次の講義の準備はしなくていいの?そろそろ行くよ」
アイリスはいつの間にか次の講義の準備をしていたらしく、教科書を持って立ち上がった。
「えっ!許してくれるの!?」
「その話はまた今度けりをつけてあげる…」
殺意のこもったセリフを女の子から聞けるなんて思ってもみなかった。
「わわわかったわかった。その話は一旦置いておこう。そうだ!準備準備っと」
ダインが隣でニヤニヤしているの見て、少し苛立ちを感じながら着々と次の講義の準備を進めるアレス。忘れ物はないかを確認し、アレスも教科書を持って立ち上がり、歩き出した。
「元はと言えばお前のせいでもあるんだぞ、ダイン」
講義が行われる教室に向かう途中の廊下でアレス、ダイン、アイリスの3人で朝の出来事について話していた。ちなみにアレスが真ん中で、右にダイン、左にアイリスがいるという構図。
「いや~、だってお前の腹パン結構痛かったんだもん」
「何言ってんだよ。結局当たらなかったじゃねぇか」
「そうだったそうだった、ごめん」
「そっちの話は終わったかしら?」
アイリスがダインとアレスの間に体を強引にねじ込ませて会話に入ってきた。そんなに無理矢理体をくっつけられるとデカパイが腕に当たるんだよ!少しは思春期の男の子のこと考えろ!
「一応終わったぞ」
「そう。なら、一旦置いといた話をここに運んでくるのもオッケーってことね」
「ごめん、それどこかに置いたっきり無くしてしまいました」
「大丈夫。私がちゃ~んと大事に保管して置いてあげたから」
アイリスの笑顔は怖い。初めてこんなことを思ってしまった。相変わらずダインは他人事のようにお気楽な顔をしている。
「本当にごめんよ。仕方ないじゃないか、思春期の男の子なんだから。むしろ、ケダモノと例えられるほどこの時期の男の子は盛んなんだからもっと貴族の女の子として恥じらいを持って欲しいもんだ……よ………アイリスさん……その殺意を収めていただけるとぉ~………ごめんなさい…」
アレスの言葉を受け、アイリスは普段絶対に見せない鬼の形相をしていた。
「本当に悪いと思ってる?」
「はい…」
「ならいいの。アレスとのこの話はこれでおしまい」
さっきまでの殺意はどこにやら。鬼のようなしかめっ面だったのが一瞬で無邪気な笑顔に変化して言った。ふとその顔を見ると小さい頃のユーナに似てるような……
「さて、アレスとのお話は終わったわ。ねぇ、ダイン?」
「―――え?」
ダイン、貴様も同罪だ!!
「おーす、おはよっさん。…って、なんかお前やけにお疲れだな?………おっ!さてはお前、アイリスとベッドで激しくやったんだろ?」
「「ふんッ!!」」
ダインが最後まで言おうとした瞬間、アレスは気だるい体に再度力を込めてダインの腹部めがけて正義の拳を叩き込もうとする。その瞬間、いつの間にかダインの真後ろに潜んでいたアイリスがミニスカートだというのに大胆にも回し蹴りをかます。しかし、ダインはその二つの襲撃をいとも簡単に避ける。真正面のダインが少し屈みながら左に避けたことで、その真後ろにいたアイリスの全身がアレスの視界に入ってくる。
「―――あ………」
2人の攻撃は終了し、次に沈黙が始まる。
アイリスの回し蹴り途中の全身が見えるということはだ……
「ピンクのパンツ……似合ってるぞ……」
「ふんッ!!」
顔を真っ赤に染めたアイリスの渾身の一撃はアレスにとっては効果抜群のようだった。
というか、言わなきゃいいのに……。ちなみに顔面にクリーンヒット。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「―――…………」
「あのぅ~」
2時限目が終わり、講義と講義の間の休憩時間が終わりに差し掛かるというのにアイリスは未だに不機嫌だった。
「人を不法投棄されたゴミを見るような目で見るのやめない?」
「大丈夫、その辺に落ちてるクソを見てる気分だから」
「貴族の端くれなんだからそんな言葉遣いはやめてー!」
朝からこんな調子だった。ちなみにパンツを見られたから怒っているわけではない。そのあとが問題だった。
アレスは成績もずば抜けて優秀で、顔もどちらかといえばいい方である。さらに、魔法の才能にも恵まれ、家がお金持ち。これだけの材料とアレスの性格があればモテないわけがない。流れを簡単に説明するとこうだ。
①パンツを見られ、蹴りをかます。
②他の女子が嫉妬し、アレスに味方がつく。
③アレスがその女子達をなだめると歓声が。
④それに対して、ツンデレヒロイン的なアレが発動し、怒る。
こんなところか。まぁ、アレスは④に気づいていないが……。
「そんなことよりも次の講義の準備はしなくていいの?そろそろ行くよ」
アイリスはいつの間にか次の講義の準備をしていたらしく、教科書を持って立ち上がった。
「えっ!許してくれるの!?」
「その話はまた今度けりをつけてあげる…」
殺意のこもったセリフを女の子から聞けるなんて思ってもみなかった。
「わわわかったわかった。その話は一旦置いておこう。そうだ!準備準備っと」
ダインが隣でニヤニヤしているの見て、少し苛立ちを感じながら着々と次の講義の準備を進めるアレス。忘れ物はないかを確認し、アレスも教科書を持って立ち上がり、歩き出した。
「元はと言えばお前のせいでもあるんだぞ、ダイン」
講義が行われる教室に向かう途中の廊下でアレス、ダイン、アイリスの3人で朝の出来事について話していた。ちなみにアレスが真ん中で、右にダイン、左にアイリスがいるという構図。
「いや~、だってお前の腹パン結構痛かったんだもん」
「何言ってんだよ。結局当たらなかったじゃねぇか」
「そうだったそうだった、ごめん」
「そっちの話は終わったかしら?」
アイリスがダインとアレスの間に体を強引にねじ込ませて会話に入ってきた。そんなに無理矢理体をくっつけられるとデカパイが腕に当たるんだよ!少しは思春期の男の子のこと考えろ!
「一応終わったぞ」
「そう。なら、一旦置いといた話をここに運んでくるのもオッケーってことね」
「ごめん、それどこかに置いたっきり無くしてしまいました」
「大丈夫。私がちゃ~んと大事に保管して置いてあげたから」
アイリスの笑顔は怖い。初めてこんなことを思ってしまった。相変わらずダインは他人事のようにお気楽な顔をしている。
「本当にごめんよ。仕方ないじゃないか、思春期の男の子なんだから。むしろ、ケダモノと例えられるほどこの時期の男の子は盛んなんだからもっと貴族の女の子として恥じらいを持って欲しいもんだ……よ………アイリスさん……その殺意を収めていただけるとぉ~………ごめんなさい…」
アレスの言葉を受け、アイリスは普段絶対に見せない鬼の形相をしていた。
「本当に悪いと思ってる?」
「はい…」
「ならいいの。アレスとのこの話はこれでおしまい」
さっきまでの殺意はどこにやら。鬼のようなしかめっ面だったのが一瞬で無邪気な笑顔に変化して言った。ふとその顔を見ると小さい頃のユーナに似てるような……
「さて、アレスとのお話は終わったわ。ねぇ、ダイン?」
「―――え?」
ダイン、貴様も同罪だ!!
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