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こんな痛みメグに比べたら…

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「メグッ!メグッ!大丈夫かっ?!」
そう言って私を抱えてパン屋まで連れて帰ってくれた。
どうして…どうしてここにいるの…。

「メグッ!産まれるよ!あんた!産婆を呼んできてくれ!」
「わかった!」
「ちょっと、あんたなんでこの街にいるのさ!まあ今はそれどころじゃないね。
早くメグをこっちに運ぶんだよ!落とすんじゃないよ!」

その後、陣痛を一晩繰り返した。
あまりの痛みに気を失いそうになった。
ルーナさんはずっと私によりそってくれていた。そしてブラッドも。
ルーナさんから出ていけと怒鳴られても、何度張り倒されても、
その部屋からてこでも出ていかなかった。
そして、私の陣痛が酷くなるにつれて、誰もブラッドどころではなくなったのだ。

次の日の早朝、日の出とともに、無事に元気な男の子を出産した。
まだ顔がくしゃくしゃな小さな天使のようだ。
疲労と感動で横たわる私のすぐそばでルーナさんは号泣していた。

ふと見ると、ブラッドの姿は消えていた。

「おい、お前もう行っちまうのか?」
「はい、メグもあの子も無事だと分かったのでそれで充分です…。
無理に居座ってしまって悪かったと、伝えてください。では。」

「ちょっと待て。あー、そのなんだ。
あんた今、熊にでも襲われたのかってくらいひでー顔してるぜ?」
「あー、これは。
まあ、俺が無理して出産に立ち会いたかったもんで、ルーナさんを怒らせてしまって。
こんな痛み、メグに比べたら…。メグの方が今まで何倍もつらかったと思います。」

「はぁ~。あんたも、ほんとに馬鹿だよなあ。なんでメグみたいな子がいるのに浮気しちまったのかね。
まあ、男として、気持ちはほんのちょっとくらいはわからんでもないがなあ。
で、あんたこのまちで一体何やってんのさ。」
「…。」
「おいおい、なにやってんだよあんた。向こうの家は?」
「…すべて売り払ってきました。その金がこれからのメグの生活に役立てばいいと思って。」
「はぁ~。なるほどなあ。で、あんたはこれからどうすんのさ。」
「こっちの騎士団に入れてもらいました。また一からやっていきます。」
「…わかったよ。俺からはもう何もいうことはねえわ。
あ~、そのなんだ。あんまり無理すんなよ。たまには、店に顔だしな。」
「ありがとうございます。では…。」

そう言って去っていったブラッドの後姿を、サムはただただ見送るしかなかった。
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