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デニロン侯爵夫人視点
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ある日、妹の嫁ぎ先であるオーランカ王国に留学している二番目の息子のマーカスから手紙が来た。
手紙の内容を確認した旦那様が意気揚々と、私と長男を書斎に呼びその内容を伝えてくれた。
マーカスはかつての旦那様によく似ていて本当に整った外見をしており、異性にとても人気がある。
未だ婚約者を決めずにいるこの息子には、毎日のように釣書が届いておりこちらからお断りの手紙をしたためるだけでかなりの時間を要している。
そんな息子がなんと向こうの国でそのお相手に出会ってしまったというから、私達一同はその手紙に大変驚かされてしまった。
お相手はメリッサの友人でローズマリー嬢と言い、しかもちゃっかりと、こちらの国への留学を勧めているらしい。
我が家は幸運にも旦那様やお義父様のおかげで経済的にも大変潤っているので、息子たちに政略結婚を進める必要は特にない。
それでも息子の為にそろそろ本格的に将来を考えなければならないと、私たち夫婦は頭を悩ませていたところだった。
だから、そんな息子が意中の相手を見つけてしまったとあって喜ばしいことであったが、婚約者がいるのと書かれていたので息子に望みはないだろうと思っていた。
それでも、もしもローズマリー嬢の留学が決まってこの屋敷で私たちと過ごしてくれるのならと、姪や妹にローズマリー嬢の好みを聞き出して、部屋の準備を急いだ。
そして、ある日ローズマリー嬢が婚約を解消したと知らせが入った。
突然の出来事に驚いた私が姪や私の妹に聞いたところによると、その解消した経緯は納得できるものだった。
もしも、私が彼女の立場でも、婚約を解消したいと思うだろう。
そしてあの息子は、婚約解消手続きを終えた彼女の父親であるデュトロ―侯爵に単独で面会を求めていた。
あの、いつも飄々としていた息子にこんな行動力があったとは、私達一同大変驚かされてしまった。
その面会でデュトロ―侯爵から、この先もしも彼女の同意を得られた場合のみではあるが、息子とローズマリー嬢との婚約の許可をもぎ取ってきた。
その後、そのデュトロ―侯爵から連絡を頂き、留学の件とその息子との面会内容の件で、旦那様と頻繁に連絡を取り合っているようだった。
とんとん拍子で息子が留学期間を終え無事に帰国し、とうとうローズマリー嬢が屋敷にやって来た。
私達夫婦も長男もその日は朝からそわそわしていた。
息子は、前日からローズマリー嬢の到着する港周辺へ宿を取り万全の体制を整えていた。
息子にエスコートされて到着したローズマリー嬢は本当に可愛らしくその性格の良さがにじみ出ているような女の子だった。
そのままでも十分美しいが、磨けばもっと光る原石のような女の子だと思った。
ちなみに、ローズマリー嬢をエスコートしてきた息子は、本当に幸せそうな顔をしていた。
私も旦那様も長男も、顔が緩みっぱなしのマーカスを見るのは初めてのことで開いた口がふさがらなかった。
でも本人はそんな私たちに気が付ないほどローズマリー嬢に夢中で、私たちのことなんて全く眼中になかったのではないかと思う。
就寝の為、夫婦でベッドに横になろうとしていたら、庭に佇んでいるマーカスを見つけた。
暗くて表情までは見えないが、見つめているのはローズマリー嬢の部屋の方向で私も旦那様も思わず苦笑してしまった。
今まで異性に特に思うところがなく飄々とした態度を貫いていたあの息子が、恋をしたらこうなってしまうなんて。
私達夫婦は、息子達にも愛するパートナーと幸せな人生を送ってほしいと願っている。
息子の恋をさらに応援したくなった私たち夫婦はなんだか眠れなくなり、ワインを開けて乾杯することにした。
手紙の内容を確認した旦那様が意気揚々と、私と長男を書斎に呼びその内容を伝えてくれた。
マーカスはかつての旦那様によく似ていて本当に整った外見をしており、異性にとても人気がある。
未だ婚約者を決めずにいるこの息子には、毎日のように釣書が届いておりこちらからお断りの手紙をしたためるだけでかなりの時間を要している。
そんな息子がなんと向こうの国でそのお相手に出会ってしまったというから、私達一同はその手紙に大変驚かされてしまった。
お相手はメリッサの友人でローズマリー嬢と言い、しかもちゃっかりと、こちらの国への留学を勧めているらしい。
我が家は幸運にも旦那様やお義父様のおかげで経済的にも大変潤っているので、息子たちに政略結婚を進める必要は特にない。
それでも息子の為にそろそろ本格的に将来を考えなければならないと、私たち夫婦は頭を悩ませていたところだった。
だから、そんな息子が意中の相手を見つけてしまったとあって喜ばしいことであったが、婚約者がいるのと書かれていたので息子に望みはないだろうと思っていた。
それでも、もしもローズマリー嬢の留学が決まってこの屋敷で私たちと過ごしてくれるのならと、姪や妹にローズマリー嬢の好みを聞き出して、部屋の準備を急いだ。
そして、ある日ローズマリー嬢が婚約を解消したと知らせが入った。
突然の出来事に驚いた私が姪や私の妹に聞いたところによると、その解消した経緯は納得できるものだった。
もしも、私が彼女の立場でも、婚約を解消したいと思うだろう。
そしてあの息子は、婚約解消手続きを終えた彼女の父親であるデュトロ―侯爵に単独で面会を求めていた。
あの、いつも飄々としていた息子にこんな行動力があったとは、私達一同大変驚かされてしまった。
その面会でデュトロ―侯爵から、この先もしも彼女の同意を得られた場合のみではあるが、息子とローズマリー嬢との婚約の許可をもぎ取ってきた。
その後、そのデュトロ―侯爵から連絡を頂き、留学の件とその息子との面会内容の件で、旦那様と頻繁に連絡を取り合っているようだった。
とんとん拍子で息子が留学期間を終え無事に帰国し、とうとうローズマリー嬢が屋敷にやって来た。
私達夫婦も長男もその日は朝からそわそわしていた。
息子は、前日からローズマリー嬢の到着する港周辺へ宿を取り万全の体制を整えていた。
息子にエスコートされて到着したローズマリー嬢は本当に可愛らしくその性格の良さがにじみ出ているような女の子だった。
そのままでも十分美しいが、磨けばもっと光る原石のような女の子だと思った。
ちなみに、ローズマリー嬢をエスコートしてきた息子は、本当に幸せそうな顔をしていた。
私も旦那様も長男も、顔が緩みっぱなしのマーカスを見るのは初めてのことで開いた口がふさがらなかった。
でも本人はそんな私たちに気が付ないほどローズマリー嬢に夢中で、私たちのことなんて全く眼中になかったのではないかと思う。
就寝の為、夫婦でベッドに横になろうとしていたら、庭に佇んでいるマーカスを見つけた。
暗くて表情までは見えないが、見つめているのはローズマリー嬢の部屋の方向で私も旦那様も思わず苦笑してしまった。
今まで異性に特に思うところがなく飄々とした態度を貫いていたあの息子が、恋をしたらこうなってしまうなんて。
私達夫婦は、息子達にも愛するパートナーと幸せな人生を送ってほしいと願っている。
息子の恋をさらに応援したくなった私たち夫婦はなんだか眠れなくなり、ワインを開けて乾杯することにした。
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