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留学先へ
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シューゼント王国へ到着した私を一足先に帰国していたマーカス様が港まで迎えに来てくれていた。
お父様が忙しいにもかかわらず急遽手廻しをしてくれたおかげで、あっという間に今回の留学先であるこのシューゼント王国へたどり着いてしまった。
今回の婚約解消の一件のわずらわしさから私を早く引き離そうと頑張ってくれたのだろう。
お父様には本当に感謝しかない。
港から少し遠回りをしてこれからお世話になるデニロン侯爵家の屋敷へ向かう。
町並みは重厚な建物が立ち並び、綺麗に整備もされて活気にあふれている。
おしゃれなカフェがたくさん立ち並び、木々にはきれいな花々が咲き誇っている。
馬車から外を眺めているだけで、これからのこの国での生活がさらに楽しみになってきた。
気がついたらそれらの景色に魅入られていたらしく、目の前に座るマーカス様を忘れてしまっていた。
急にそれが恥ずかしくなってしまって、はしたなくって申し訳ありませんと伝えた。
「そんなこと気にしなくて大丈夫だよ…っ」
と言った後、なぜかマーカス様が顔を手で覆って下を向いたまま微動だにしなくなってしまった。
最近よくみかけるこれは癖なのだろうかと、久々に見るそのマーカス様のその仕草を可愛いと思ってしまったことは私だけの秘密だ。
しばらくしてデニロン侯爵家の屋敷に到着した私を、ご夫妻とマーカス様のお兄様でいらっしゃるイジュール様が総出でお迎えしてくれたのには驚いてしまった。
デニロン侯爵様もマーカス様と同じくサラサラの銀髪をしており、翡翠色の透き通る瞳をしていた。マーカス様が年を取ったらこのような感じになるのだろうなとふと思った。
デニロン侯爵夫人はメリッサの叔母様だけあって、目鼻立ちがよく似ていて、イジュール様もどちらかというと夫人に似ていた。
皆さまとても気さくで長旅の私を気遣ってくれて、素敵な方々にお世話になることをうれしく思った。
案内された私に用意された部屋は、綺麗な部屋が見渡せる日当たりのよい部屋で、テラスでお茶が出来るようになっていた。
内装はとても素晴らしく、壁紙や取り付けられている家具なども申し訳ないくらい私好みでびっくりしてしまった。
少し落ち着いてから、皆様と夕食を頂いた。
私の婚約解消の件は周知されているのだろうけど、誰もそのことを話題にあげることはなく、今日出あったばかりだという事を忘れてしまうくらい楽しいひと時を過ごせた。
夕食後、マーカス様とデニロン侯爵夫人とお茶を頂いた。
デニロン侯爵夫人は念願の娘が出来たようだと私を歓迎して頂き、今度一緒に買い物に行こうと誘って頂いた。
その後、私の部屋までマーカス様に送っていただいた。
改めてマーカス様に今回の留学を提案していただいたことと、こちらでお世話になることの感謝の気持ちを伝えた。
すると急に、ううっっと唸った後、顔を真っ赤にされたまましばらく動かなくなってしまった。
どうしてしまったのだろうと心配になったが、傍にいたデニロン家の執事のロニーの咳払いで我に返ったらしいマーカス様がお休みの言葉を残し立ち去って行った。
就寝前に侍女に入れてもらった湯船には綺麗な花々がうかべられ、心身の疲れをいやしてくれた。
事前に用意してきた、真っ白のシンプルな薄い生地の夜着に袖を通した。
疲れていたがなかなか眠れなかったのでテラスで涼んでいると、庭園の花々のさわやかな香りを心地よい風が運んできてくれた。
シューゼント王国での留学がよいものになりますようにとの願いを込めながらしばらくそのテラスで、きらめく夜空を眺めていた。
お父様が忙しいにもかかわらず急遽手廻しをしてくれたおかげで、あっという間に今回の留学先であるこのシューゼント王国へたどり着いてしまった。
今回の婚約解消の一件のわずらわしさから私を早く引き離そうと頑張ってくれたのだろう。
お父様には本当に感謝しかない。
港から少し遠回りをしてこれからお世話になるデニロン侯爵家の屋敷へ向かう。
町並みは重厚な建物が立ち並び、綺麗に整備もされて活気にあふれている。
おしゃれなカフェがたくさん立ち並び、木々にはきれいな花々が咲き誇っている。
馬車から外を眺めているだけで、これからのこの国での生活がさらに楽しみになってきた。
気がついたらそれらの景色に魅入られていたらしく、目の前に座るマーカス様を忘れてしまっていた。
急にそれが恥ずかしくなってしまって、はしたなくって申し訳ありませんと伝えた。
「そんなこと気にしなくて大丈夫だよ…っ」
と言った後、なぜかマーカス様が顔を手で覆って下を向いたまま微動だにしなくなってしまった。
最近よくみかけるこれは癖なのだろうかと、久々に見るそのマーカス様のその仕草を可愛いと思ってしまったことは私だけの秘密だ。
しばらくしてデニロン侯爵家の屋敷に到着した私を、ご夫妻とマーカス様のお兄様でいらっしゃるイジュール様が総出でお迎えしてくれたのには驚いてしまった。
デニロン侯爵様もマーカス様と同じくサラサラの銀髪をしており、翡翠色の透き通る瞳をしていた。マーカス様が年を取ったらこのような感じになるのだろうなとふと思った。
デニロン侯爵夫人はメリッサの叔母様だけあって、目鼻立ちがよく似ていて、イジュール様もどちらかというと夫人に似ていた。
皆さまとても気さくで長旅の私を気遣ってくれて、素敵な方々にお世話になることをうれしく思った。
案内された私に用意された部屋は、綺麗な部屋が見渡せる日当たりのよい部屋で、テラスでお茶が出来るようになっていた。
内装はとても素晴らしく、壁紙や取り付けられている家具なども申し訳ないくらい私好みでびっくりしてしまった。
少し落ち着いてから、皆様と夕食を頂いた。
私の婚約解消の件は周知されているのだろうけど、誰もそのことを話題にあげることはなく、今日出あったばかりだという事を忘れてしまうくらい楽しいひと時を過ごせた。
夕食後、マーカス様とデニロン侯爵夫人とお茶を頂いた。
デニロン侯爵夫人は念願の娘が出来たようだと私を歓迎して頂き、今度一緒に買い物に行こうと誘って頂いた。
その後、私の部屋までマーカス様に送っていただいた。
改めてマーカス様に今回の留学を提案していただいたことと、こちらでお世話になることの感謝の気持ちを伝えた。
すると急に、ううっっと唸った後、顔を真っ赤にされたまましばらく動かなくなってしまった。
どうしてしまったのだろうと心配になったが、傍にいたデニロン家の執事のロニーの咳払いで我に返ったらしいマーカス様がお休みの言葉を残し立ち去って行った。
就寝前に侍女に入れてもらった湯船には綺麗な花々がうかべられ、心身の疲れをいやしてくれた。
事前に用意してきた、真っ白のシンプルな薄い生地の夜着に袖を通した。
疲れていたがなかなか眠れなかったのでテラスで涼んでいると、庭園の花々のさわやかな香りを心地よい風が運んできてくれた。
シューゼント王国での留学がよいものになりますようにとの願いを込めながらしばらくそのテラスで、きらめく夜空を眺めていた。
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