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デュトロ―侯爵視点
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ある日、愛する娘が体調を崩したようでデニロン子息に学園から送られてきた。
娘の友人のメリッサ嬢の従兄で、こちらの文化を学ぶために短期で留学に来ていると聞いて、先日の娘に頼まれたシューゼント王国への留学の話を思い出す。
娘をわざわざ送り届けてくれたことに礼を伝えると、彼も娘の様子がおかしかったことを気にしているようで労わりの言葉を残し学園へ戻っていった。
それから数日して、娘はイザック君との婚約の解消を求めてきた。
王女殿下が学園へ通うようになってからのイザック君には思うところもあったが、こちらの国の殿下方に頼まれては致し方ないだろうと考えていたが。
理由を問うても言い渋る娘がようやく口にした内容に、激しい怒りがこみ上げた。
責任感が強くまじめな若者と思っていたが、大きな思い違いだったらしい。
こんな奴を、大事な娘の婚約者に決めたことを激しく後悔した。
知らせを受けたイザックの両親であるロード侯爵夫妻が知らせを受けると、直ちに駆けつけてきたにもかかわらず、そこにイザックの姿はなかった。
父であるロード侯爵に一緒に来るように強く言いつけられていたにもかかわらず、カトレア―ナ王女との時間を優先してしまったイザックは、侯爵たちが気が付いた時には屋敷を既に出た後だったらしい。
大事な娘をこんな男と婚約させたことを悔やみながらも、婚姻する前にイザックがこんな愚かな男だったんだと分かっただけでも救いかと気持ちをどうにか落ち着かせる。
ローズマリーを深く傷つけてしまったイザックとこの婚約を決めてしまった己自身に苛立ちを感じる。
さっさとこんな茶番劇は終わらせてしまおうと、最速で婚約解消の手続きを行うべく、イザックの両親にサインをさせた。
但し、カトレア―ナ王女とイザックの関係については公にすることはできないので、その真相は互いに沈黙を保つことに同意した。
数日後、婚約解消が無事に受理されたことを娘に伝えた。
不甲斐ない私は、泣き笑いの顔で感謝を述べる娘の背中をまたさすってやることしかできなかった。
娘が落ち着いたら、すぐに娘の留学の手続きをとることにしよう。
良い思い出がないであろうあの学園にはもう行かせる必要はない。
留学先で卒業をしてからゆっくりこちらに戻ってきたらいいだろう。
しばらく環境を変えてやることが愛しい娘へのせめてもの償いだ。
娘の婚約解消が決まった翌日、デニロン子息に娘の留学の件で話を進めたいと連絡をしたらすぐさま屋敷へやって来た。
娘の婚約解消手続きが無事に終了し、留学まで休学させることを伝えた。
大事な娘を任せるからにはデニロン子息と一度じっくり話をしてみたかったのだ。
驚いたことに、デニロン侯爵夫妻からは娘の留学中の滞在を歓迎する言葉を既に書面にて預かっていたようで、その内容を確認させてもらった。
こちらは娘の留学手続きを始めようかというのに、デニロン侯爵親子は既に娘を歓迎する準備は整っているらしい。
何とも準備がよすぎることだと失笑してしまった。
私の疑問を感じ取ったのか、もしかしたらその覚悟があって今日私に会いに来たのか。
私が口を開く前に、デニロン子息は単刀直入に娘に一目で恋に落ちたことを伝えてきた。
婚約解消したばかりの娘に強いることはしないが、自分が娘に対して好意を抱いていることを伝える許可をもらいたい。
そしてもしもいつか、娘の承諾が得られればその時は娘を婚約者として迎る許可を私からもらいたいと頭を下げてきた。
娘に何も落ち度がなかったとはいえ今から再び婚約者を探すのは、多少手間を取るであろうことは覚悟していた。
だからこの話は娘にとっても我が家にとっても願ってもない申し入れだと思う。
その何とも実直な態度に感心した私は、娘がもしもデニロン子息の願いを受け入れた場合は娘との婚約を許可することを約束した。
その後、着々と留学手続き等を終え、娘を送り出した。
娘の友人のメリッサ嬢の従兄で、こちらの文化を学ぶために短期で留学に来ていると聞いて、先日の娘に頼まれたシューゼント王国への留学の話を思い出す。
娘をわざわざ送り届けてくれたことに礼を伝えると、彼も娘の様子がおかしかったことを気にしているようで労わりの言葉を残し学園へ戻っていった。
それから数日して、娘はイザック君との婚約の解消を求めてきた。
王女殿下が学園へ通うようになってからのイザック君には思うところもあったが、こちらの国の殿下方に頼まれては致し方ないだろうと考えていたが。
理由を問うても言い渋る娘がようやく口にした内容に、激しい怒りがこみ上げた。
責任感が強くまじめな若者と思っていたが、大きな思い違いだったらしい。
こんな奴を、大事な娘の婚約者に決めたことを激しく後悔した。
知らせを受けたイザックの両親であるロード侯爵夫妻が知らせを受けると、直ちに駆けつけてきたにもかかわらず、そこにイザックの姿はなかった。
父であるロード侯爵に一緒に来るように強く言いつけられていたにもかかわらず、カトレア―ナ王女との時間を優先してしまったイザックは、侯爵たちが気が付いた時には屋敷を既に出た後だったらしい。
大事な娘をこんな男と婚約させたことを悔やみながらも、婚姻する前にイザックがこんな愚かな男だったんだと分かっただけでも救いかと気持ちをどうにか落ち着かせる。
ローズマリーを深く傷つけてしまったイザックとこの婚約を決めてしまった己自身に苛立ちを感じる。
さっさとこんな茶番劇は終わらせてしまおうと、最速で婚約解消の手続きを行うべく、イザックの両親にサインをさせた。
但し、カトレア―ナ王女とイザックの関係については公にすることはできないので、その真相は互いに沈黙を保つことに同意した。
数日後、婚約解消が無事に受理されたことを娘に伝えた。
不甲斐ない私は、泣き笑いの顔で感謝を述べる娘の背中をまたさすってやることしかできなかった。
娘が落ち着いたら、すぐに娘の留学の手続きをとることにしよう。
良い思い出がないであろうあの学園にはもう行かせる必要はない。
留学先で卒業をしてからゆっくりこちらに戻ってきたらいいだろう。
しばらく環境を変えてやることが愛しい娘へのせめてもの償いだ。
娘の婚約解消が決まった翌日、デニロン子息に娘の留学の件で話を進めたいと連絡をしたらすぐさま屋敷へやって来た。
娘の婚約解消手続きが無事に終了し、留学まで休学させることを伝えた。
大事な娘を任せるからにはデニロン子息と一度じっくり話をしてみたかったのだ。
驚いたことに、デニロン侯爵夫妻からは娘の留学中の滞在を歓迎する言葉を既に書面にて預かっていたようで、その内容を確認させてもらった。
こちらは娘の留学手続きを始めようかというのに、デニロン侯爵親子は既に娘を歓迎する準備は整っているらしい。
何とも準備がよすぎることだと失笑してしまった。
私の疑問を感じ取ったのか、もしかしたらその覚悟があって今日私に会いに来たのか。
私が口を開く前に、デニロン子息は単刀直入に娘に一目で恋に落ちたことを伝えてきた。
婚約解消したばかりの娘に強いることはしないが、自分が娘に対して好意を抱いていることを伝える許可をもらいたい。
そしてもしもいつか、娘の承諾が得られればその時は娘を婚約者として迎る許可を私からもらいたいと頭を下げてきた。
娘に何も落ち度がなかったとはいえ今から再び婚約者を探すのは、多少手間を取るであろうことは覚悟していた。
だからこの話は娘にとっても我が家にとっても願ってもない申し入れだと思う。
その何とも実直な態度に感心した私は、娘がもしもデニロン子息の願いを受け入れた場合は娘との婚約を許可することを約束した。
その後、着々と留学手続き等を終え、娘を送り出した。
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