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私の婚約者様
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「ローズマリー、おはよう。」
「おはよう、メリッサ。」
「それにしてもあなたの婚約者、毎朝よく続くわよね。あなたも大変よね。」
「ええ、毎朝のお迎えはしてくれなくてもっていっているのにどうしても聞いてくれないんですもの。おかげで嘲笑の的よ。」
「不思議よね。わざわざあなたを朝迎えに行くんなら、せめてあなたを教室までエスコートすればいいのに。あなたを学園まで連れてきたらそのまま放ったらかしにして、そのあとは違う女と教室に向かうって。ほんっとうに神経疑うわ。学園前で、毎度のこと置いてけぼりにされるあなたの気持ちなんて完璧に無視してるわよね。」
私は、ローズマリー・アン・デュトロ―。
デュトロ―侯爵家の長女で、我が国の貴族子女が通うように定められた学園に通う16歳だ。
私には10歳のころからの婚約者イザック・ロード侯爵子息様がいる。
もちろん家と家との関係を重視した関係であるので、私たちの気持ちなどはそこには入っていなかった。
でも、婚約者である私を尊重し大事にしてくれるイザック様に惹かれてしまうのはそんなに時間がかからなかった。
几帳面で責任感の強いと思われるイザック様は、王子達とも親交が深い。
前回の剣術大会でも、見事な剣でさばきで将来有望とされる方々と互角に打ち合っていた。
昨年からは、こちらの国の第三王子と隣国の第一王女が互いの国交を深める名目で交換留学をされている。
そこで、こちらの王子達と親交の深いイザック様は、王女様がこちらの学園に通う間のお世話係を仰せつかったのだ。
学園に通う王族は第三王子しかいなく交換留学されたので、イザック様にその役目が回ってきたらしい。
そのおかげで、学園でのイザック様はずっと第一王女のカトレア―ナ様につきっきりになってしまった。
本人も私に後ろめたいところがあるのだろう。多分。
だからせめてもと、まじめなイザック様からは、毎朝私を学園まで送ることだけは続けたいと言われてしまった。
ただし、本当に私を学園まで送り届けるだけ。
馬車の中では、その日のカトレア―ナ様の予定を確認するのに忙しいらしく、会話なんてものは存在しない。
馬車から降りると私たちはそこでお別れして、イザックはカトレア―ナ様の到着を学園の門の前でお待ちする。
まるで機械作業のようだ。
それから学園が終わって諸々の用事などを済ませ、寄り道などされるカトレア―ナ様に最後まで付き添ってから帰宅しているらしい。
らしいというのは、本人からではなくイザックの友人の婚約者などから聞いた話だからだ。
実際、カトレア―ナ様がいらしてからは、お茶やお出かけなどをイザックとしたのがいつだったかもう思い出せない。
私との約束はもうずっと、忘れられているという状態だ。
最初の頃は断りの手紙と謝罪の花束などが送られてきていたが、そのうちにそれらも送られなくなった。
そして、何時間も待ち合わせ場所にいる私の元に、イザックの家から侍従が申し訳なさそうな顔をしてイザックからの伝言を伝えにやってくるようになった。
「急な用事が出来たため、申し訳ないが今日の約束を反故にさせてもらう。今度埋め合わせをさせてほしい。」
毎度毎度聞きなれた台詞だ。
最初の頃は、イザックに何かあったのだろうかと心配したりしたが、次第にその感情は怒りと悲しみに変化して、最後は諦めへと落ち着いた。
それ以降は、向こうからまれに誘ってくることがあっても、待ち合わせ場所にイザックが訪れたら私に知らせるよう家のものに使いを頼むようになった。
もちろん、イザックが現れることは一度としてなかったのだが。
「おはよう、メリッサ。」
「それにしてもあなたの婚約者、毎朝よく続くわよね。あなたも大変よね。」
「ええ、毎朝のお迎えはしてくれなくてもっていっているのにどうしても聞いてくれないんですもの。おかげで嘲笑の的よ。」
「不思議よね。わざわざあなたを朝迎えに行くんなら、せめてあなたを教室までエスコートすればいいのに。あなたを学園まで連れてきたらそのまま放ったらかしにして、そのあとは違う女と教室に向かうって。ほんっとうに神経疑うわ。学園前で、毎度のこと置いてけぼりにされるあなたの気持ちなんて完璧に無視してるわよね。」
私は、ローズマリー・アン・デュトロ―。
デュトロ―侯爵家の長女で、我が国の貴族子女が通うように定められた学園に通う16歳だ。
私には10歳のころからの婚約者イザック・ロード侯爵子息様がいる。
もちろん家と家との関係を重視した関係であるので、私たちの気持ちなどはそこには入っていなかった。
でも、婚約者である私を尊重し大事にしてくれるイザック様に惹かれてしまうのはそんなに時間がかからなかった。
几帳面で責任感の強いと思われるイザック様は、王子達とも親交が深い。
前回の剣術大会でも、見事な剣でさばきで将来有望とされる方々と互角に打ち合っていた。
昨年からは、こちらの国の第三王子と隣国の第一王女が互いの国交を深める名目で交換留学をされている。
そこで、こちらの王子達と親交の深いイザック様は、王女様がこちらの学園に通う間のお世話係を仰せつかったのだ。
学園に通う王族は第三王子しかいなく交換留学されたので、イザック様にその役目が回ってきたらしい。
そのおかげで、学園でのイザック様はずっと第一王女のカトレア―ナ様につきっきりになってしまった。
本人も私に後ろめたいところがあるのだろう。多分。
だからせめてもと、まじめなイザック様からは、毎朝私を学園まで送ることだけは続けたいと言われてしまった。
ただし、本当に私を学園まで送り届けるだけ。
馬車の中では、その日のカトレア―ナ様の予定を確認するのに忙しいらしく、会話なんてものは存在しない。
馬車から降りると私たちはそこでお別れして、イザックはカトレア―ナ様の到着を学園の門の前でお待ちする。
まるで機械作業のようだ。
それから学園が終わって諸々の用事などを済ませ、寄り道などされるカトレア―ナ様に最後まで付き添ってから帰宅しているらしい。
らしいというのは、本人からではなくイザックの友人の婚約者などから聞いた話だからだ。
実際、カトレア―ナ様がいらしてからは、お茶やお出かけなどをイザックとしたのがいつだったかもう思い出せない。
私との約束はもうずっと、忘れられているという状態だ。
最初の頃は断りの手紙と謝罪の花束などが送られてきていたが、そのうちにそれらも送られなくなった。
そして、何時間も待ち合わせ場所にいる私の元に、イザックの家から侍従が申し訳なさそうな顔をしてイザックからの伝言を伝えにやってくるようになった。
「急な用事が出来たため、申し訳ないが今日の約束を反故にさせてもらう。今度埋め合わせをさせてほしい。」
毎度毎度聞きなれた台詞だ。
最初の頃は、イザックに何かあったのだろうかと心配したりしたが、次第にその感情は怒りと悲しみに変化して、最後は諦めへと落ち着いた。
それ以降は、向こうからまれに誘ってくることがあっても、待ち合わせ場所にイザックが訪れたら私に知らせるよう家のものに使いを頼むようになった。
もちろん、イザックが現れることは一度としてなかったのだが。
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