2 / 28
1
しおりを挟む
「ああ…本当に夫婦になる日が待ちきれない。というか、待てる自身がないんだけど。」
そういって、誰もいなくなった教室のカーテンの裏に連れ込まれた私は、今日も婚約者のセガールに熱烈な抱擁と熱いキスを受けていた。
「ラシータ…ラシータ…愛している…ラシータ…」
教室には私たちの口づけの音だけが響き渡っているのに、私はそんなことを気にする余裕もないほどセガールに惚けさせられてしまっていた。
「またやりすぎてしまったな…。うまく加減ができなくてすまない。ラシータといると本当に抑えが効かなくなるよ。情けないな…。」
「そんな…そこまで思ってもらえて本望よ、セガール…。んっ…」
その後セガールのラセッタ公爵家の馬車で屋敷まで送られる途中も、いつものようにずっとその膝の上から降ろされることもなかった。
「お嬢様、本当にお幸せそうですね。」
「そ、そうかしら…?」
「ええ、そうですよ。」
何とか一線は守ってくれているセガールだけど、いつの間にか見えない場所にその跡を残してしまう。
湯を浴びるのを手伝ってくれる侍女のサリー達が気を使って何も言及しないことはありがたいのだけれど、羞恥で死ねそうだと感じてしまう。
あと二か月後に迫った学園卒業と同時に式を行いセガールと夫婦となる日が待ちきれない。
こんなに愛されて大事にされて同じくらい私もセガールに愛を返していけたらいいのに。
セガールに熱望された婚約が結ばれてからというもの、本当に毎日のように愛をささやかれる日々を送っている。
妻として夫婦となった後もセガールの力になれるように頑張ろうと心から思える私は本当に恵まれているのだろう。
窓際には毎日のようにセガールから手渡される花々が飾られていて、セガールのいないこの部屋でもまるでその愛を伝えられているかのように感じてしまう。
『ラシータ、愛しているよ。夫婦になるのが待ちきれない。ああ、ラシータ。ラシータ。好きだ。愛してる…』
セガールの心地よく低く掠れた声と、私を求める熱い唇や見た目に反して鍛えられた体を思い出して、なかなか眠れない夜を過ごした。
そういって、誰もいなくなった教室のカーテンの裏に連れ込まれた私は、今日も婚約者のセガールに熱烈な抱擁と熱いキスを受けていた。
「ラシータ…ラシータ…愛している…ラシータ…」
教室には私たちの口づけの音だけが響き渡っているのに、私はそんなことを気にする余裕もないほどセガールに惚けさせられてしまっていた。
「またやりすぎてしまったな…。うまく加減ができなくてすまない。ラシータといると本当に抑えが効かなくなるよ。情けないな…。」
「そんな…そこまで思ってもらえて本望よ、セガール…。んっ…」
その後セガールのラセッタ公爵家の馬車で屋敷まで送られる途中も、いつものようにずっとその膝の上から降ろされることもなかった。
「お嬢様、本当にお幸せそうですね。」
「そ、そうかしら…?」
「ええ、そうですよ。」
何とか一線は守ってくれているセガールだけど、いつの間にか見えない場所にその跡を残してしまう。
湯を浴びるのを手伝ってくれる侍女のサリー達が気を使って何も言及しないことはありがたいのだけれど、羞恥で死ねそうだと感じてしまう。
あと二か月後に迫った学園卒業と同時に式を行いセガールと夫婦となる日が待ちきれない。
こんなに愛されて大事にされて同じくらい私もセガールに愛を返していけたらいいのに。
セガールに熱望された婚約が結ばれてからというもの、本当に毎日のように愛をささやかれる日々を送っている。
妻として夫婦となった後もセガールの力になれるように頑張ろうと心から思える私は本当に恵まれているのだろう。
窓際には毎日のようにセガールから手渡される花々が飾られていて、セガールのいないこの部屋でもまるでその愛を伝えられているかのように感じてしまう。
『ラシータ、愛しているよ。夫婦になるのが待ちきれない。ああ、ラシータ。ラシータ。好きだ。愛してる…』
セガールの心地よく低く掠れた声と、私を求める熱い唇や見た目に反して鍛えられた体を思い出して、なかなか眠れない夜を過ごした。
261
お気に入りに追加
803
あなたにおすすめの小説

婚約者の不倫相手は妹で?
岡暁舟
恋愛
公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。

【完結】大好きな幼馴染には愛している人がいるようです。だからわたしは頑張って仕事に生きようと思います。
たろ
恋愛
幼馴染のロード。
学校を卒業してロードは村から街へ。
街の警備隊の騎士になり、気がつけば人気者に。
ダリアは大好きなロードの近くにいたくて街に出て子爵家のメイドとして働き出した。
なかなか会うことはなくても同じ街にいるだけでも幸せだと思っていた。いつかは終わらせないといけない片思い。
ロードが恋人を作るまで、夢を見ていようと思っていたのに……何故か自分がロードの恋人になってしまった。
それも女避けのための(仮)の恋人に。
そしてとうとうロードには愛する女性が現れた。
ダリアは、静かに身を引く決意をして………
★ 短編から長編に変更させていただきます。
すみません。いつものように話が長くなってしまいました。

【完結】わたしが嫌いな幼馴染の執着から逃げたい。
たろ
恋愛
今まで何とかぶち壊してきた婚約話。
だけど今回は無理だった。
突然の婚約。
え?なんで?嫌だよ。
幼馴染のリヴィ・アルゼン。
ずっとずっと友達だと思ってたのに魔法が使えなくて嫌われてしまった。意地悪ばかりされて嫌われているから避けていたのに、それなのになんで婚約しなきゃいけないの?
好き過ぎてリヴィはミルヒーナに意地悪したり冷たくしたり。おかげでミルヒーナはリヴィが苦手になりとにかく逃げてしまう。
なのに気がつけば結婚させられて……
意地悪なのか優しいのかわからないリヴィ。
戸惑いながらも少しずつリヴィと幸せな結婚生活を送ろうと頑張り始めたミルヒーナ。
なのにマルシアというリヴィの元恋人が現れて……
「離縁したい」と思い始めリヴィから逃げようと頑張るミルヒーナ。
リヴィは、ミルヒーナを逃したくないのでなんとか関係を修復しようとするのだけど……
◆ 短編予定でしたがやはり長編になってしまいそうです。
申し訳ありません。

【完結】記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました
Rohdea
恋愛
誰かが、自分を呼ぶ声で目が覚めた。
必死に“私”を呼んでいたのは見知らぬ男性だった。
──目を覚まして気付く。
私は誰なの? ここはどこ。 あなたは誰?
“私”は馬車に轢かれそうになり頭を打って気絶し、起きたら記憶喪失になっていた。
こうして私……リリアはこれまでの記憶を失くしてしまった。
だけど、なぜか目覚めた時に傍らで私を必死に呼んでいた男性──ロベルトが私の元に毎日のようにやって来る。
彼はただの幼馴染らしいのに、なんで!?
そんな彼に私はどんどん惹かれていくのだけど……

【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。

夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる