137 / 147
亮真5
しおりを挟む
当時私は小雪を大事にしようと心に決めていたものの、琴葉義姉さんに頼られたらつい流され続けていた。
そんな状況でも夫婦になってからは特に、小雪に対する愛情は日々膨らんでいくばかりだった。
それなのに…
あの墓参りで急な雨に見舞われた日、思わず琴葉義姉さんの手を取って雨に濡れないよう急いで車に乗せていた。
小雪がついてきていないのに気が付いた私は愕然とする間もなく小雪のもとに慌てて戻っていった。そして目の前で小雪が倒れるのを目の当たりにして頭の中が真っ白になった。
小雪が倒れた、自分のせいだ…なぜ小雪を一番に助けなかったのだ…
あの時自分に寄り添っていた、いや、私が寄り添っていた義姉さんを優先してしまったことで後悔の念に押しつぶされそうになりながらも小雪が回復するまで側を離れることができなかった。
小雪は回復した後、何事もなかったかのように振舞っていた。
あれだけのことを私がしたというのに小雪は文句ひとつ言ってこなかった。
文句ひとつも言ってこれないほど信用されていないのか、愛想をつかされてしまったのかと気が気ではなかった。
どうにか挽回の機会をうかがっていたというのに、懲りない私は小雪ではなく気か付けば琴葉義姉さんを紅葉狩りに連れて行こうとしていた。
小雪に一緒に行こうと誘われて私が断ったあの場所に、私が琴葉義姉さんを連れて行こうとしていると知った時の小雪の顔は信じられないと、悲しみと戸惑いを湛えていた。
なぜ私はこうも無神経な間違いばかりを犯したのか。
初めて一宮東吾を見た瞬間、彼が小雪を真剣に想っているのだとすぐにわかった。絶対に…絶対に小雪を奪われたくないと強く思った。
小雪を大事にしたい、愛おしいと日々想いは募るばかりなのに、女心など理解のできない私はずいぶん小雪に酷なことをしてきてしまった。
日々元気をなくす小雪を歯がゆくもどうすることもできなくて、ついに小雪は藤堂家に戻ってしまった時には目の前が真っ暗になってしまった。
眠れぬ夜を過ごした私は小雪を迎えに藤堂家に向かった。
小雪が帰りたくないと言えばあの小雪の兄は絶対に私に小雪との離縁を勧めてくることはわかり切っていた。
だから、何とか小雪を連れて帰ることができた私はもう小雪のそばを離れることができないでいた。
小雪に見捨てられたくないと不安に駆られた私は、もう執着ともいえる執拗な束縛で小雪を部屋に軟禁した。
これで小雪が私がいなければ生きていけなくなるようになればいい。
あわよくば小雪が私を許してくれることを願っていた。
そんな状況でも夫婦になってからは特に、小雪に対する愛情は日々膨らんでいくばかりだった。
それなのに…
あの墓参りで急な雨に見舞われた日、思わず琴葉義姉さんの手を取って雨に濡れないよう急いで車に乗せていた。
小雪がついてきていないのに気が付いた私は愕然とする間もなく小雪のもとに慌てて戻っていった。そして目の前で小雪が倒れるのを目の当たりにして頭の中が真っ白になった。
小雪が倒れた、自分のせいだ…なぜ小雪を一番に助けなかったのだ…
あの時自分に寄り添っていた、いや、私が寄り添っていた義姉さんを優先してしまったことで後悔の念に押しつぶされそうになりながらも小雪が回復するまで側を離れることができなかった。
小雪は回復した後、何事もなかったかのように振舞っていた。
あれだけのことを私がしたというのに小雪は文句ひとつ言ってこなかった。
文句ひとつも言ってこれないほど信用されていないのか、愛想をつかされてしまったのかと気が気ではなかった。
どうにか挽回の機会をうかがっていたというのに、懲りない私は小雪ではなく気か付けば琴葉義姉さんを紅葉狩りに連れて行こうとしていた。
小雪に一緒に行こうと誘われて私が断ったあの場所に、私が琴葉義姉さんを連れて行こうとしていると知った時の小雪の顔は信じられないと、悲しみと戸惑いを湛えていた。
なぜ私はこうも無神経な間違いばかりを犯したのか。
初めて一宮東吾を見た瞬間、彼が小雪を真剣に想っているのだとすぐにわかった。絶対に…絶対に小雪を奪われたくないと強く思った。
小雪を大事にしたい、愛おしいと日々想いは募るばかりなのに、女心など理解のできない私はずいぶん小雪に酷なことをしてきてしまった。
日々元気をなくす小雪を歯がゆくもどうすることもできなくて、ついに小雪は藤堂家に戻ってしまった時には目の前が真っ暗になってしまった。
眠れぬ夜を過ごした私は小雪を迎えに藤堂家に向かった。
小雪が帰りたくないと言えばあの小雪の兄は絶対に私に小雪との離縁を勧めてくることはわかり切っていた。
だから、何とか小雪を連れて帰ることができた私はもう小雪のそばを離れることができないでいた。
小雪に見捨てられたくないと不安に駆られた私は、もう執着ともいえる執拗な束縛で小雪を部屋に軟禁した。
これで小雪が私がいなければ生きていけなくなるようになればいい。
あわよくば小雪が私を許してくれることを願っていた。
2,046
お気に入りに追加
4,162
あなたにおすすめの小説

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

〈完結〉【コミカライズ・取り下げ予定】思い上がりも程々に。地味令嬢アメリアの幸せな婚約
ごろごろみかん。
恋愛
「もう少し、背は高い方がいいね」
「もう少し、顔は華やかな方が好みだ」
「もう少し、肉感的な方が好きだな」
あなたがそう言うから、あなたの期待に応えれるように頑張りました。
でも、だめだったのです。
だって、あなたはお姉様が好きだから。
私は、お姉様にはなれません。
想い合うふたりの会話を聞いてしまった私は、父である公爵に婚約の解消をお願いしにいきました。
それが、どんな結末を呼ぶかも知らずに──。


私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。
白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?
*6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」
*外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)

戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

悪名高い私ですので、今さらどう呼ばれようと構いません。
ごろごろみかん。
恋愛
旦那様は、私の言葉を全て【女の嫉妬】と片付けてしまう。
正当な指摘も、注意も、全て無視されてしまうのだ。
忍耐の限界を試されていた伯爵夫人ルナマリアは、夫であるジェラルドに提案する。
──悪名高い私ですので、今さらどう呼ばれようと構いません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる