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「天地がひっくり返っても俺は絶対に君になんか興味もわかないし夫婦になろうとも思わない。大体あったこともないのに。君の妄想は気持ち悪いな。とにかく小雪の前で醜態をさらすのはいただけない。」
「なっ…」
「一宮殿、申し訳ございません。」
「ああ、だが二度目はないと思てくれよ。」
「まさか、あり得ませんね。絹江、君にはがっかりしたよ。荷物をまとめておくんだな。」
「荷物を…?いや、それだけは…」
「旦那様、お呼びでしょうか?」
「ああ、絹江は腹がいっぱいだそうだ。腹ごしらえに外に出たついでに屋敷に送ってくれ。部屋から出すなよ。それから荷物をまとめるのを手伝ってやってくれ。」
「…畏まりました。奥様参りましょう」
「いやよ!放して!」
「小雪」
「亮真様?」
やっと塞がれていた手から解放されました
「重ね重ね申し訳ございませんでした、一宮様、小雪さん。」
「いや、斎藤殿もあれでよかったのか?」
「ええ、まさか一宮様と小雪さんにあのような無礼なことをわめくなど。もともと私とは年も離れておりましたので、目をつぶっていた部分がありましたが。深く反省しております。幸い息子もおりますし。]
「そうか。」
「さあ、口直しに一杯いかがでしょう?美味い酒を用意させたんですよ。」
「是非とも。小雪も試してみるか?」
「でも…」
「良いじゃないか、俺もいることだし 。」
「では、ほんの少しだけ頂きます。」
お酒にはまだ慣れていない私は少し飲むだけですぐに顔がほんのりと赤くなってしまうそうです。
東吾様に絶対に東吾様の居ない場所で飲まないようにお願いされております
「そうだ、小雪さん、美味しい梅酒があるのですがいかがでしょう。女性はそちらの方が飲みやすいかもしれないと思って、用意させていたんですよ。」
そう言って頂いた梅酒は甘すぎず、爽やかな梅の香りが引き立っていてとても飲みやすいものでした。
「美味いか小雪?」
「ええ…東吾様…」
「…小雪、横になるか?俺の膝に頭を置いてていいぞ?」
「いえ…少しふわふわしてしまって…ふふふっ…」
「…」
「一宮殿がいつも奥様の話をしていたから何となく想像はついておりましたが、なるほど…。一宮殿も小雪さんから目が離せないはずだ。羨ましいな…」
「斎藤殿…」
「いや、いいんですよ。子供は可哀そうだが遅かれ早かれ妻とはこうなるのではないかと思っていたので。その分、子供を可愛がって寂しい思いをさせないように頑張りますよ。さあ、飲みましょう一宮殿。」
「ああ、斎藤殿。」
膝枕は辞退させて頂きましたが、いつの間にかうとうとしていたらしく、気が付いたら東吾様の肩に寄りかかってしまっておりました。
東吾様があのように私を庇って下いましたのに、絹江さまの言葉が心に重い影を落としておりまして何とも言いようのない気分になったのでございました。
「なっ…」
「一宮殿、申し訳ございません。」
「ああ、だが二度目はないと思てくれよ。」
「まさか、あり得ませんね。絹江、君にはがっかりしたよ。荷物をまとめておくんだな。」
「荷物を…?いや、それだけは…」
「旦那様、お呼びでしょうか?」
「ああ、絹江は腹がいっぱいだそうだ。腹ごしらえに外に出たついでに屋敷に送ってくれ。部屋から出すなよ。それから荷物をまとめるのを手伝ってやってくれ。」
「…畏まりました。奥様参りましょう」
「いやよ!放して!」
「小雪」
「亮真様?」
やっと塞がれていた手から解放されました
「重ね重ね申し訳ございませんでした、一宮様、小雪さん。」
「いや、斎藤殿もあれでよかったのか?」
「ええ、まさか一宮様と小雪さんにあのような無礼なことをわめくなど。もともと私とは年も離れておりましたので、目をつぶっていた部分がありましたが。深く反省しております。幸い息子もおりますし。]
「そうか。」
「さあ、口直しに一杯いかがでしょう?美味い酒を用意させたんですよ。」
「是非とも。小雪も試してみるか?」
「でも…」
「良いじゃないか、俺もいることだし 。」
「では、ほんの少しだけ頂きます。」
お酒にはまだ慣れていない私は少し飲むだけですぐに顔がほんのりと赤くなってしまうそうです。
東吾様に絶対に東吾様の居ない場所で飲まないようにお願いされております
「そうだ、小雪さん、美味しい梅酒があるのですがいかがでしょう。女性はそちらの方が飲みやすいかもしれないと思って、用意させていたんですよ。」
そう言って頂いた梅酒は甘すぎず、爽やかな梅の香りが引き立っていてとても飲みやすいものでした。
「美味いか小雪?」
「ええ…東吾様…」
「…小雪、横になるか?俺の膝に頭を置いてていいぞ?」
「いえ…少しふわふわしてしまって…ふふふっ…」
「…」
「一宮殿がいつも奥様の話をしていたから何となく想像はついておりましたが、なるほど…。一宮殿も小雪さんから目が離せないはずだ。羨ましいな…」
「斎藤殿…」
「いや、いいんですよ。子供は可哀そうだが遅かれ早かれ妻とはこうなるのではないかと思っていたので。その分、子供を可愛がって寂しい思いをさせないように頑張りますよ。さあ、飲みましょう一宮殿。」
「ああ、斎藤殿。」
膝枕は辞退させて頂きましたが、いつの間にかうとうとしていたらしく、気が付いたら東吾様の肩に寄りかかってしまっておりました。
東吾様があのように私を庇って下いましたのに、絹江さまの言葉が心に重い影を落としておりまして何とも言いようのない気分になったのでございました。
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