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琴葉4
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それからどのくらいたっただろう。
蝶よ花よと育てられ、太賀と亮真さんに囲まれて生きてきた私は今、一昨日出産したばかりの体にムチ打ち、桑で畑を耕している。
何日も風呂に入ることさえままならない貧しい暮らしで、肌は日に焼け髪はぼさぼさになってしまった。
実家が支援してくれているお金はどうも私には流れては来てはくれないようだ。
十も年の離れた夫にはすでに前妻との間に三人の子供がいる。
貧乏子だくさんとはよく言ったものだ。
誰もが見ほれるような太賀とは程遠い夫は、歯が何本かかけ、日に焼けて真っ黒で髪の毛がすでに薄く口臭も体臭もきつい背の小さな男だった。
怒りっぽくて義母第一の男だ。金がもらえるというから仕方なしに私を娶ってやったんだと言っては、文句を言わずいうことを聞くように耳が痛くなるほど言い聞かされてきた。
生まれたばかりの子供に、私は母乳をあげる以外は近くに行くことさえ夫も義母も許してはくれない。
そして毎日のように近所に住む夫の幼馴染の女が訪ねてくる。嫁ぎ遅れの女で夫もこの女のことを気にして世話してやってるようだ。
子供の産着を作っては持ってきて義母と楽しそうに私の赤ん坊にきてせ嬉しそうにしている。まるで本当の母親と赤子が義母と楽しいひと時を送っているようではないか。
自分の場所がどんどんあの女に奪われていくようでここでも私の居場所がなくなっていくのを感じる。
気が付くと狭い我が家の中にあの女がせっせと持ってきた赤ん坊のものがずらりと並べられいた。
「こんな田舎であんたも大変でしょう?だから私も赤ん坊の世話やらいろいろ手伝ってあげるからね。」
私に悪気なくそう言い放ったその幼馴染の女を夫はますます大事にするようになった。
私は赤子におっぱいをあげていつもお腹がすいて疲れているというのに、夫はその女を甲斐甲斐しく世話をする。
今日もたくさん手伝ってくれたのだから腹がすいてるだろうといって夫は幼馴染のその女を気遣っている。妻の私のことなんて眼中にない。
私の夫が目の前で他の女を気遣い続けるさまを、ただ見ていることしかできない。
妙な既視感を覚え、すとんと腑に落ちた。
しっぺ返しというものなのだろう。
これもすべて藤堂孝一朗の仕業なのかそれとも一宮東吾の仕業なのか。
本当に惨めだ。
ここ以外に行き場のない私はこんな状況なのにこの場所にしがみついて生きていくしかない。
お嬢様として育った私がこんな目に合うなんて…こんなはずじゃなかったのに。誰もが憧れる大河内兄弟の太賀と亮真に囲まれてうらやましがられていたことがずいぶん昔の幻ようだ。
私がこんな目にあっているというのに、小雪さんはあの男達に守られた幸せな暮らしをいまだにしていると思うと悔しくて悔しくてますます自分が惨めになる―――。
気が付けば幼馴染の女は赤子を生んでいた。夫は女を当たり前のようにここに住まわせている。誰も私のことなんて気に留めるものなどいない。
それでもほかに行く当てのない私は、ここで生きていくしかないのだろう。
蝶よ花よと育てられ、太賀と亮真さんに囲まれて生きてきた私は今、一昨日出産したばかりの体にムチ打ち、桑で畑を耕している。
何日も風呂に入ることさえままならない貧しい暮らしで、肌は日に焼け髪はぼさぼさになってしまった。
実家が支援してくれているお金はどうも私には流れては来てはくれないようだ。
十も年の離れた夫にはすでに前妻との間に三人の子供がいる。
貧乏子だくさんとはよく言ったものだ。
誰もが見ほれるような太賀とは程遠い夫は、歯が何本かかけ、日に焼けて真っ黒で髪の毛がすでに薄く口臭も体臭もきつい背の小さな男だった。
怒りっぽくて義母第一の男だ。金がもらえるというから仕方なしに私を娶ってやったんだと言っては、文句を言わずいうことを聞くように耳が痛くなるほど言い聞かされてきた。
生まれたばかりの子供に、私は母乳をあげる以外は近くに行くことさえ夫も義母も許してはくれない。
そして毎日のように近所に住む夫の幼馴染の女が訪ねてくる。嫁ぎ遅れの女で夫もこの女のことを気にして世話してやってるようだ。
子供の産着を作っては持ってきて義母と楽しそうに私の赤ん坊にきてせ嬉しそうにしている。まるで本当の母親と赤子が義母と楽しいひと時を送っているようではないか。
自分の場所がどんどんあの女に奪われていくようでここでも私の居場所がなくなっていくのを感じる。
気が付くと狭い我が家の中にあの女がせっせと持ってきた赤ん坊のものがずらりと並べられいた。
「こんな田舎であんたも大変でしょう?だから私も赤ん坊の世話やらいろいろ手伝ってあげるからね。」
私に悪気なくそう言い放ったその幼馴染の女を夫はますます大事にするようになった。
私は赤子におっぱいをあげていつもお腹がすいて疲れているというのに、夫はその女を甲斐甲斐しく世話をする。
今日もたくさん手伝ってくれたのだから腹がすいてるだろうといって夫は幼馴染のその女を気遣っている。妻の私のことなんて眼中にない。
私の夫が目の前で他の女を気遣い続けるさまを、ただ見ていることしかできない。
妙な既視感を覚え、すとんと腑に落ちた。
しっぺ返しというものなのだろう。
これもすべて藤堂孝一朗の仕業なのかそれとも一宮東吾の仕業なのか。
本当に惨めだ。
ここ以外に行き場のない私はこんな状況なのにこの場所にしがみついて生きていくしかない。
お嬢様として育った私がこんな目に合うなんて…こんなはずじゃなかったのに。誰もが憧れる大河内兄弟の太賀と亮真に囲まれてうらやましがられていたことがずいぶん昔の幻ようだ。
私がこんな目にあっているというのに、小雪さんはあの男達に守られた幸せな暮らしをいまだにしていると思うと悔しくて悔しくてますます自分が惨めになる―――。
気が付けば幼馴染の女は赤子を生んでいた。夫は女を当たり前のようにここに住まわせている。誰も私のことなんて気に留めるものなどいない。
それでもほかに行く当てのない私は、ここで生きていくしかないのだろう。
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