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私は再婚にはなりますのに、一宮様は贅を凝らした見事な衣装を作ってくださいました。
そして何と三か月後には結婚式を行っておりました。
「もう君を搔っ攫われるのはごめんだ。小雪さんにあの時断られても諦めるなんて選択肢はなかったから準備はできる限り進めていた。」
「おいおいおい…東吾、お前怖いぞ…」
「だから小雪さん、もう俺から逃げられると思わないでくれよ?その代わり君を必ず幸せにする。」
◇◇◇◇
そうおっしゃって下さった一宮様と今日、快晴の空のもと、並んで大勢の招客の皆さんの前に一緒に歩んでいきます。
皆さん温かなまなざしでこの良き日をお祝いしてくださっていて一宮様と幸せを噛み締めております。
「小雪さん、幸せ?」
「はい、一宮様…東吾様…」
「っうぐっぅ…」
「東吾様?」
「……」
「小雪、馬鹿は放っておいて私のところに戻っておいで。」
「おい孝一朗!折角幸せに浸っていたのに急に入ってくるなよ。…小雪さん、今のはずるい。ずるいぞ。これじゃあ俺は小雪さんには絶対にかなわないじゃないか」
「東吾様?」
「だから…だからまた…」
「はははっ!!東吾、お前そんな奴だったか?変わったなお前!」
「うるさいぞ孝一朗…ああ、小雪さんちょっとこちらへおいで。そう、もう少しこちらに…捕まえた。」
「きゃっ!東吾様…」
「小雪さん…小雪って呼んでもいい?」
藤堂家に逃げるように帰って来てから毎日のように訪ねて来ては私を癒してくださった東吾様の低くて力強い声を耳にするたびに安心してすべてを委ねたいと思ってしまいます。
東吾様は、実は甘えん坊で結婚すると決まってからは執着心を隠すこともなく、お兄様に大いにあきれられております。そんな東吾様の新たな一面も私にとってはとても愛おしいのでございます。
「…もちろんでございます…それに、私の方が東吾様には絶対にかないません…」
「っぅぐっ…小雪…、俺のことも東吾って呼んでよ」
「…それは…少々お待ちくださいませっ…」
「…もう駄目…後は頼んだぞ孝一朗…行こう小雪さん。」
「え??」
「阿呆かお前は…小雪はもうお前の妻だ。お前が馬鹿なことをしなければ小雪はずっとお前のそばにいることになる。披露宴の間くらい客に愛想を振りまいて小雪にいい思い出を作ってやれ。」
「…それは…そうだな。しかし小雪のこんな顔を皆に見せるのも癪だ」
「東吾様…」
その後何とか式場に戻りぴったりと私の横に寄り添って下さった東吾様は、一時も私のそばを離れることはなく無事にお披露目を終えることが出来ました。
そして何と三か月後には結婚式を行っておりました。
「もう君を搔っ攫われるのはごめんだ。小雪さんにあの時断られても諦めるなんて選択肢はなかったから準備はできる限り進めていた。」
「おいおいおい…東吾、お前怖いぞ…」
「だから小雪さん、もう俺から逃げられると思わないでくれよ?その代わり君を必ず幸せにする。」
◇◇◇◇
そうおっしゃって下さった一宮様と今日、快晴の空のもと、並んで大勢の招客の皆さんの前に一緒に歩んでいきます。
皆さん温かなまなざしでこの良き日をお祝いしてくださっていて一宮様と幸せを噛み締めております。
「小雪さん、幸せ?」
「はい、一宮様…東吾様…」
「っうぐっぅ…」
「東吾様?」
「……」
「小雪、馬鹿は放っておいて私のところに戻っておいで。」
「おい孝一朗!折角幸せに浸っていたのに急に入ってくるなよ。…小雪さん、今のはずるい。ずるいぞ。これじゃあ俺は小雪さんには絶対にかなわないじゃないか」
「東吾様?」
「だから…だからまた…」
「はははっ!!東吾、お前そんな奴だったか?変わったなお前!」
「うるさいぞ孝一朗…ああ、小雪さんちょっとこちらへおいで。そう、もう少しこちらに…捕まえた。」
「きゃっ!東吾様…」
「小雪さん…小雪って呼んでもいい?」
藤堂家に逃げるように帰って来てから毎日のように訪ねて来ては私を癒してくださった東吾様の低くて力強い声を耳にするたびに安心してすべてを委ねたいと思ってしまいます。
東吾様は、実は甘えん坊で結婚すると決まってからは執着心を隠すこともなく、お兄様に大いにあきれられております。そんな東吾様の新たな一面も私にとってはとても愛おしいのでございます。
「…もちろんでございます…それに、私の方が東吾様には絶対にかないません…」
「っぅぐっ…小雪…、俺のことも東吾って呼んでよ」
「…それは…少々お待ちくださいませっ…」
「…もう駄目…後は頼んだぞ孝一朗…行こう小雪さん。」
「え??」
「阿呆かお前は…小雪はもうお前の妻だ。お前が馬鹿なことをしなければ小雪はずっとお前のそばにいることになる。披露宴の間くらい客に愛想を振りまいて小雪にいい思い出を作ってやれ。」
「…それは…そうだな。しかし小雪のこんな顔を皆に見せるのも癪だ」
「東吾様…」
その後何とか式場に戻りぴったりと私の横に寄り添って下さった東吾様は、一時も私のそばを離れることはなく無事にお披露目を終えることが出来ました。
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